夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

幻想の赤月 7章 群青の終焉 

 
The end of Ultramarine.
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・黒羽様の派生作品です。
・許可は得てます。よってこれは本編に関係します。
今回で過去編としての物語は終了です。次回は100年後辺りを少しやります。
 
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??? ステーションスクエア シャドウ
久々に平和の空を見た気がする。
あの後はあまり覚えてない。いや、覚えてはいるが、ここ1~2週間は結構大変だったので覚えてる内容が多すぎて言いづらいというのが正しいだろうか。
「ごめんな。ちょっと訳があってな」
そうやって考えている間に彼がやってきた。
「具体的には?」
「あー・・・。まぁ、あいつらの面倒を見ていたからな。今はテイルスとエミーに任せてるぜ」
「そうか。ならしょうがないか。お前なら分かると思ったが。」
「術の反動もそれだけ大きかったんだ。俺達もそうだろ??」
あの結界はとても大変だった。結構強いが、その分反動もあった。一番負担に掛かったのはウォイス達だが、人柱であった僕達もそれなりに負担があった。
「ああ。先週は全く動けなかったからな」
僕達の負担は結界の所有者という負担、そして溢れる魔力に耐え切れるという負担だ。所有者はこの後、復活を望む人にとっては排除すべき相手だ。
「シルバー。お前が何故こんなことになったと思うのだ?」
シルバーは「うーん」と言いながら考える素振りを見せた後、彼は軽くこう言った。
「沢山の偶然が全てを招いた。シャオンが行方不明になったのも、ソニックが死んでしまうのも全て運命の1つだった。ウォイスと俺が出会ったのも、シャドウとソニックが会ったのも全て運命の1つだった。様々なパラレルワールドがあって、これはその1つ。それが、俺の考えだ。」
要はこれも偶然の出来事だったといいたい訳か。
「ところでさ、何故俺を呼んだんだ??ウォイスとか呼んでも良かったんじゃないか??」
「ウォイスは神の方で呼ばれてるみたいでな。後で来る」
「お前にしては準備がいいな」
「からかってるだろ、貴様。」
まぁ、そのからかいが出来る事が平和になった証なのだろう。
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2週間前 結界組 ロストタワー最上階級 シルバー
『我を呼ぶ者、何処や?』
ああ。呼んださ。結界を貼るその為に。
『汝、何を望む?』
平和を望むさ。だから闇の住民を飲んで欲しいんだ。
 
目の前を見てみると、そこには彼がいた。必死になって守ってくれているんだ。
「闇を滅ぼす光となれ!!」
闇の住民は徐々に集まってくる。吸い込まれてるのだ。
「!!ぐぁ・・・!!」
シャオンが急に倒れた。攻撃先を見ると、そこには闇の住民がいるではないか。
犠牲になるくらいなら道連れでもしてしまえと思ったのだろうか。
「!!シャオン!!」
ウォイス達も動揺の表情が見えたが、そのまま術を唱え続けていた。止めたらそこでやり直しになるからだ。
「僕の事など考えないで!!成功することだけ・・・」
彼はそのまま結界の中に入ってしまった。今助けるか??無理だ。もうすぐ完成となる。閉じ込められる可能性も否定出来ない。言い訳してるみたいだが、引き剥がせば、住民の好きな様にやらされる。それだけは避けなくてはいけない。
「シャオン・・・。」
何も出来ない俺が憎い。でもこれしか方法が無いんだと言い聞かせた。
「ルートシャオト・・・イルフ!!」
ウォイス達が術の最後を唱え終えた。結界の扉が閉じたんだ。
これにより、シャオン・闇の住民が出る事は無い。俺達、所有者以外開ける事の無い扉になった。
 
「!!大丈夫か?」
術を唱えるだけでも魔力が殆ど無い筈だが、ウォイスはまだ動ける。それだけ魔力があるのだろう。一方シアンはその後「ふぅ~」と言いながらそのまま倒れてしまった。まあ、これが当然の気がする。一番大変なのは唱える方なのだから。
「もう、疲れたぜ・・・。今までで一番苦労した気がするぜ・・・」
バタリと俺もシャドウも倒れた。決して痛いからでは無く、正直言えば寝たい。
「でも、これで終わったんだ。これで」
「・・・いや、まだ役目はあるだろ。結界を鍵を守る者として」
「・・・そうだな」
俺もシャドウも幸せそうに倒れていた。
「そういや、ソニックは??」
「!!あいつら、置き土産を・・・!!」
ウォイスが険しい顔をしていた。
「・・・?どいゆう事だ??」
「・・・どうやら予知夢通りになってしまったみたいだ。毒だ。この状況で完全に回復など出来る訳無い」
つまり、この後彼に死が訪れる。死のカウントダウンといいたい訳だ。
「俺は・・・大丈・・夫だぜ」
「・・・俺の持ってる魔力をお前の毒の回復に使おう。だが、ただ単に進行を遅めるくらいだ。・・・ソニック、言いづらいが、もうすぐお前は死ぬ。出来るだけ余命を伸ばそう・・・せいぜい1週間が限界だが」
ドストレートに言い放った。死の予言を聞いた彼からは明るい顔で
「・・・もうすぐ死ぬとは分かっているぜ。ウォイス、お願いがある」
「?」
「お前ら含めて、7人集めろ。出来れば強い者で裏切らない者を・・・」
「・・・分かった。お前なりに考えがあるんだろう。彼に伝えておこう・・・」
彼らはそのまま黙ってしまった。俺達は何をすればいいか分からない。ただ、1つ言うならば・・・
 
きっと歴史として残り、ここは絶対に知らないんだろうな。
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??? ステーションスクエア、ドロップカフェ シルバー
「・・・良かった。そこにいたか。」
ウォイスだ。今は普段の姿をしている。喜んでるのか悲しんでいるのか分からない表情を浮かべて。
「ここに座ってくれ。女子会っぽくてゴメンな」
「いや、いいんだ。これからの事を3人だけで話をしたかったから」
「お待たせしました。アイスティーとコーヒーです」
「あ、追加でカプチーノ、お願い出来るか?」
「承知しました」
そう言って、メイド(服装がメイド服なのでそいゆう事にしておく)は戻って行った。
「まぁ、これからの事だが・・・。まずソニックだが、俺の持てる魔力を使ったが、余命は今日含めあと3日辺りだろう。俺は俺、シルバー、シャドウ、シアンの他にオクシム、ダイアナ、クレヴァー、ミュルエをソニックが指定した者にした。そして、公の場では誰が封印したか、誰が所有者かは伏せて、とりあえず完全に封印したという事にし、お前らは多分この後今まで通り、生活してくれ。多分、ソニックの友達として、世界を救う者として人気が出るだろう。金は大丈夫だが、万が一足りないならば俺の所に来い。手を貸してやる。」
「・・・俺の方からひとつ。封印した者のみ、結界の移動や声を聞ける。・・・そこで俺はお前が信頼している教会を1つ選び、奥の方に置きたい。そして許可無しでも入れる様にしてほしい。」
「・・・僕の方としては、シルバーを出来るだけ長生きして欲しいな。・・・だからアレをやってほしい。」
「・・・不老不死になれ、と??」
「いや、死を望むなら遅れさせるくらいで構わない。生を望むなら不老不死になればいい。」
「・・・。」
「分かった。だが、不老不死に近い状態で頼む。」
「いいだろう。なら後で神殿に来い。」
「ああ。」
あまりしたくないが、死んでしまえば半分封印が解かれてしまう。負担が掛けたくないのだ。
「予知夢は見たのか?」
「・・・いや、無い。俺の見る予知夢は大体1日~3年前後が多い。無いという事は3年辺りは平和だろうな。」
「そうか。・・・ところで会計は誰がやるんだ??」
「・・・ここはじゃんけんでやろうじゃないか!!」
「フフフ・・・僕が勝つんだろうがな。」
そんなの卑怯だろ!!この際読心術を使ってしまおうか。
「じゃんけん、ポン!!」
俺はチョキ、シャドウはパー、ウォイスはチョキだった。ということは・・・
「ハイ、シャドウお願いな!!」
そういって俺達は出た。
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??? 神々の神殿 ソニック
「・・・よぉ、シルバー。・・・これで全員か?」
「ああ。此処でいいのか??」
「いや、此処では無く、奥の方でやる。・・・ついてこい。」
そういって俺は彼らを連れて行った。
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神々の神殿・華麗なる庭園 シルバー
「此処でやるのがいいと思うが」
「お前、毒の方は大丈夫なのか??」
「これでも結構辛いんだぜ・・・。」
彼はそう言って上にある絵を見ていた。
(・・・申し訳無いが選択はお前には無いんだ)
彼が見ていた絵、『ライラス事件』。花畑に火が、それを見て笑う殺人鬼とそれを見て悲しみを背負いながら羽が出ているある者が描かれていた。
「・・・エメラルドはお前達に任せるぜ。」
エメラルドの守護者は俺、シャドウ、ウォイス、シアン、オクシム、ダイアナ、クレヴァー、ミュルエの8人。内5人は引き継ぎをしながらの守護となる。
「貴様、何故8人なんだ?ウォイス」
「残り1人は此処を守護する者として残ってもらう。いつ襲われても平気の様にな。・・・信者としてな。」
「・・・いいでしょう。私がやります」
結果、ダイアナが此処を守る守護者として残る事になった。
「ウォイス、どこまで公の場に出すんだ??」
この儀式が終わったら残る問題は封印の話をどこまで出すかだ。歴史に残るのはほぼ明確なので、出し方次第では殺しに来る可能性もある。
「・・・とりあえず、封印したという事だけ伝えておく。ただしどこで、誰が、どのような形で封印したかは伏せておく。当然結界の守護者の事もな」
「ああ・・・。ソニック、言いたい事があるならば一斉に出す事が出来るが・・・どうだ??」
俺の質問に反応した様だ。どうやら何か考えているらしい。
「・・・そうだな。明日・・・。天空の公園で。俺とシルバー以外は一般人としていてくれ。シルバー、お前はその時だけガナールとして俺を守ってくれ。」
「・・・分かった」
彼に残された時間はあと2日だ。
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??? ??? ガナール
「・・・ソニック、大丈夫か?」
俺は目の前にいるソニックの様子を見てみた。悪化している事は一目で分かった。
「ああ。大丈夫だ。・・・ガナールこそ、大丈夫か?」
「・・・おそらくバレないかと。」
全体的に黒と白で着替えられた姿。俺が行方不明の時にあった姿だ。
「・・・行きましょう。皆様がお待ちしています。」
丁寧な口調で飾した。
「そうだな・・・」
俺達は2人だけで外に出た。
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??? 天空の公園 ガナール
「・・・ソニック様。皆様待ち望んでいますよ。真の勇者として、ね」
「丁寧な口調は止めてくれないか??」
「・・・この服を着ると何故かこの様な口調になりますが・・・。申し訳ありませんが、タメ口でいると親友関係にあたるのではと狙われるので。せめてこの間だけはご了承を」
「分かった。」
気づかなかった訳でも無いみたいだが、あえてこの姿で行かせてもらおう。
「・・・。」
彼はそのまま笑顔でその後階段を上がり、こういった。
「今後、100年間災厄は免れ(まぬがれ)よう、しかし100年後紅い月が再び昇る時、闇は目覚め、再び世界を闇を落とし入れるだろう。選ばれし者、7つの光を集めし時、世界は災厄から逃れよう」 彼はそう言った。
これが公の場としては最後の生声だった。
「・・・ふぅ~・・・・」
「!!ソニック様!?」
バタリと倒れてしまった。状態が悪化しているのか!!
「・・・急いで救急車を呼んで来い!!」
命令口調で言った。いや側近の人だから、言ってもあまり問題ないだろう。
「・・・悪いな。ちょっと・・・な」
「ちょっとでは済みませんよ、それは」
「そう・・だな」
「救急車を呼んだぞ!!急いでくれ!!」
「・・・分かりました。ソニック、とりあえず乗りましょう。話はそれからで」
「・・・。」
寿命が近づいているのだろう。俺は痛々しい彼を余り見たく無かった。
 
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??? 病院 シルバー
「・・・大丈夫か??」
薬が並んでる。医者からだと、やはり薬はあくまでも遅れされるくらいだそうだ。余命は1日だと言う。
「此処は??」
「病院だ。もう時間が無い。皆を呼んでくるぜ。」
「・・・」
彼の寿命はあと一日。
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??? 病院 ウォイス
今いるのはソニック、シャドウ、シルバー、テイルス、ナックルズ、ルージュ、ブレイズ、カオティクスの者、俺、他数名。。初めての人と挨拶をした後、俺達はソニックの部屋に来た。
「・・・すまないな」
「いや、いいんだ。ここが平和になったなら」
「100年後というのは何だ??」
「・・・俺、最後の夢を見たんだ。予知夢だと分かったんだ。100年後、確実に狙ってくる夢を」
「・・・もうあの時には戻れないんだね・・・エミーは??」
「・・・彼女は言わなかった。言えなかったんだ」
「そうか・・・・。」
「・・・シルバー、ちょっと起こしてくれ」
彼の言う通り、シルバーはソニックを起こした。
「いいか??これからはお前が物語を作るんだ。シャドウと共にな。お前ならきっと出来るさ。人の悲しみを理解出来るお前なら」
「・・・。」
彼は泣きそうな顔をしていた。
「・・・シルバー、笑顔を忘れない、忘れない」
「ああ。わかってるさ、ソニック」
「シャドウも宜しくな」
「・・・分かった」
そう言ったシャドウも結構辛いのだろう。
「俺は、お前達に囲まれて幸せだぜ・・・」
「・・・?ソニック??」
笑顔で、一筋の涙を流し眠った。
「・・・おい、目を覚ましてくれよ!!ソニック・・・」
様々な事件を解決してきた英雄が
 
今日、天国に行った。
 
「うわぁあああぁぁあああぁああ!!!!」
シルバーの泣き声がこの部屋全体に響いた。
 
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・・・ソニックが行なった事は瞬く間に広がった。それは絵本として、歴史として残った。けれど、あの事は全く触れてないままで。あの事を知っているのは、シルバー、シャドウ、ウォイス、シャオン、シアンだけだった。100年経つ頃にはシルバーとシャドウとウォイスだけしか真実を知らなかった。復活を望む者もこれだけは知る事が出来なかったのだ。これは100年経っても、1000年経っても一生残るであろうー・・・。
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続く。
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過去編終了~!!ここまで見てくださってありがとうございます!!一応終章として未来編があるのでそこまで見てくれると幸いです。一応本編として関係はあります。少しでは留まらないでしょうね。ちょっととした小ネタ、没設定とかは次回になると思います。
この後も宜しくお願いします!!では。
 
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「もう、終焉の歯車は廻っているのだから」
 
様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。