夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

夢想の闇夜 第1幕 3章 1つ目の悲しみ

・赤月に出てくるオリソニの過去です。

・一部本編に関連します。

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コテンアの街 ウォイス

「・・・?」

「ようやく目覚めたか。」

「王・・・?父・・・?」

目の前は見覚えの無い部屋。上にはカーテンがあった。ああ、此処は病院か。

「・・・そうだ。あの時変な声を聞いたから・・・」

「変な声・・・?」

「・・・聞き終えた頃には眠気が急に襲ってきて、眠ってしまったんだ・・・」

あまり覚えてないが、あの時仮面をかぶった人がいたのは覚えている。おそらくその人の声だろう。

「フム・・・。とりあえず、睡眠状態だと聞いたから安心したぞ。もうすぐ閉会式だからな」

「・・・閉会・・式?? 止めて・・・。」

「?なぜだ・・・??」

「王を殺そうしてる。仮面の人が言ってた」

「ーだが、それは無理だ・・・」

そう言って王はそのまま台に上がった。

「待って!! っ・・・」

起き上がろうとしたが激痛が走り起き上がる前に倒れてしまった。

「睡眠状態だと言ってたが、何故か筋肉痛みたいな現象が起こっているらしくてな。此処で休んでくれ」

「・・・そういや、ティーマとディアナは・・・?」

「あいつらなら王宮にいる。安全の為な」

「そうか・・・。」

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レヴィベア王宮 ディアナ

「キャハハ、面白いー!!」

「そうだね!!まさか王宮に入れるなんて!!」

トランポリンみたいなので飛んでいた。

コンコンとドアを叩く音が鳴った。使用人だ。

「ディアナ様、ウォイス様がお目覚めになりました」

「・・・良かった~!!急に倒れたって聞いたからビックリしちゃってさー」

「・・・ただ、何故かは知りませんが激痛が走っているという事で」

「でも、意識が無いよりかはまだ良い方だと思うけれど・・・」

ティーマは軽く話の中に入った。

という事はアレは殺人目的では無いのだ。では何の目的であんな行為をしたのだろうか・・・

「ティーマ様、ディアナ様、食事の準備が整いましたが、いかがですか?」

「うん!!食べる食べる~!!」

そのまま私は王宮の中のガレージに行った。

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コテンアの街 グロディア

「・・・もうすぐだな」

「さあさあ、ご覧下さい!!王からのお言葉を頂きましょう!!」

司会者が王を呼んだ。それに反応し、王は立った。

「皆の者・・・。我らは農業王国と二人三脚でここまで発展した。それを成してくれたのは、貴方方のお陰でもある。我らは幸せだ。平和であって過ごしやすい環境に立っている事が我は好きだ。さらにー・・・」

王が演説の途中、バンと破裂音が鳴った。更にフラッシュを使われ、前が見えなかった。

「・・・くっそ~・・・。!!王!!」

目が見える様になった時、王が倒れていた。銃の様な物で狙われたのだろう。

「・・・ぐっ・・・あいつが言ってたのはこの事だったのか・・・」

「王、しっかりしてください!」

「あいつらの軍団、処置しないとマズイな・・・」

そうこう言っている間にも民衆はザワザワとしていた。

「王が倒れたぞ!!」

「誰だ!!殺したのは・・・?」

「とりあえず医者を呼んで!!」

パニックに陥ってしまった。一番危ない方向に行っている。

「俺もそんなに長くない・・・だろうな」

「そんな・・・」

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コテンアの街 ウォイス

「間に合わなかった・・・」

病院の中で見ていた。銃の先は仮面をした、気を失う前にいたあの子だ。

「ウォイスー!!」

「!!や・・・止めろ!!痛!!」

「止めようとはしたけれどね・・・」

ティーマとディアナだ。俺を抱きしめ、泣いているディアナとその様子に呆れたティーマはどうやら今の状況に気がついて無いようだ。

「・・・ところでどうしてこうなったの?」

「いや、俺も詳しい事がまだ分かってなくてな・・・」

「とりあえず起きたという報告を聞いたから来たけど・・・。大丈夫?」

「ああ。ある程度の刺激を受けると激痛が・・・っぐ・・・!!」

「!!ああ!!ゴメン!!」

「痛!!!」

めちゃくちゃ痛い。よく気がつかなったんだなと思った程だ。

「祭りは楽しいね!!」

「うん!久々だよ、この経験!!」

どうやらこの2人は今の状況を理解してないみたいだ。

「あ・・・あの、ちょ・・・」

「美味しい食事が並んでるしさ、人々は笑っているし、本当に良かったと思うよ!!」

「祭りってこんなに楽しいんだね!!誘ってくれて本当にありがとう!!」

こんなノリを崩すのは何かと嫌な気分なので、今は喋らないでおく事にした。

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??? グロディア

「王・・・。」

「フフッ、こうしてみるとこんな立場になるのは久々だな、グロディア

「・・・?ああ、貴方が王になる前の時のアレですか。」

アルベア王が王になる前、いじめられていた俺をアルベア王が助けたのだ。その時に大怪我を負ってしまい、こうやって助けた事があった。

「あれ以来だよな、親しくなったのは・・・ 年齢の差など関係無いと思った」

「そうですか・・・」

「ハァ・・・」

「王・・・!!」

「もう無理だ。王はお前がやってくれ・・・」

「分かりました・・・。」

もう無理だと分かった。

「犯人を探さなくては・・・ 妻・・・新女王にはさせない・・・ 絶対に・・・」

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いささか不安に思った事は事実になってしまった。

次の日にはもう知れ渡っていた・・・。

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コテンアの街『教会』 ウォイス

「・・・王」

この時初めて彼の死体を見た。彼の死体は死んだにも関わらず、生きている様な形をしていた。おそらく死んでからまだまもないからだろう・・・

「・・・これも妻の思うがままにやっているんだよな」

今いるのは父と俺だけだった。母、妹、友人はまだ見せていない。それもそのはず。母が主犯だし、彼女達はまだこれを知らない。事情を知っている上に味方だというのは父だけだった。

「これから・・・俺が王となってこの国を守る。絶対に彼女の我侭についていかない・・・」

「父・・・。」

「これからはお前が王子だ。事情もある程度知って貰わないとな」

「・・・ああ。ところで墓はどうするの?」

「俺とお前しかしらないある所に入れる。いい・・・だろ?」

「分かった・・・」

 

あの後、殺したのではなく長旅に出たという事だけ伝えた。王はあらかじめ後継者を決めていた父、グロディアが新たな王となった。

 

『王暗殺事件』。これが魔導王国の大悲劇の1つとなった・・・。

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あれ以来、俺は日頃の出来事を日記として書くようになった。今の日記で50冊目だ。色々な事があってもこれだけは毎日続いていた。それは不老不死となった今も書いていて、もう数え切れない程になっていたので、魔術を使い俺は完璧に覚えさせ、そのページを呼べる様になっている。日記帳とか用意しても、1000冊とか行ってしまって、意味が無い。だから俺はあの事件の日を知ってる上、内容も明確なのだ。

王暗殺事件、天気異変、結界など全て分かっている。俺自体が過去を持っているのに等しい。日記がこれほど役に立つとは。

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??? ウォイス

「・・・何か懐かしい夢を見た気がするな・・・」

夢でも見ていたのだろうか。時々だが過去の夢を見る。

勘違いしないで欲しいが、俺は予知夢と夢を両方見れる。予知夢かどうか判断するには手段が少ない(新聞やテレビなど日付が分かる物を見るなど)。時には予知夢か判断出来ないまま実際の出来事になってしまう、なんて事もある。

さて。さっきまで夢であった事をまとめよう。

今さっき見た夢は俺が死があった話とシャドウと喋っている(内容は結界に関する事)話と奴と再開した話だ。2つ目はさほど関係が無いだろう。だが3つ目は重要だ。これらをメモするのも忘れない為だ。

コンコンと音が鳴った。誰かが来たみたいだ。

「・・・あ、シアンとシルバーじゃないか。」

「あ、って何だよ!!用があって来たのにさ!!」

「ゴメンゴメン・・・。用って何だ?」

一応言っておくが、俺は不老不死、シルバーは成長を遅れさせている(大体100~500年で1年(1歳年を取る)くらいのペース)ので結界を貼った当時から全く変わっていないが、シアンは別だ。おそらく結界に関わった人の中で一番の一般人だ。当然死がある。

「転生魔術をしようかと思って」

「・・・ほう、転生魔術か」

転生魔術。それは自分を切り捨てて、新しい自分を呼ぶ魔術。普通死んだら霊となって天国か地獄に行って次の生を待つのだが、これを省いて使った時に次の生が生まれる魔術。つまり、この術を使えば『シアンの人生』が終わり『シアンの次の生』が始まる。

「転生魔術ってどれくらい凄い事なんだ?」

「ランクはSS、人体魔術に入るな」

「・・・?何だ、それって」

「あー・・・。シルバーはそこんとこ知らなかったな。まあここんとこ説明するよ」

そう言って、シルバーとシアンを家に招いた。ちなみに今午前2時。

「・・・まぁ、転生魔術っていうのは言ってみれば生まれ変わる魔術だ。」

「それは分かってるが、ランクや人体魔術って何だって聞きたいんだ」

「あー・・・。最近ランク付けが義務付けられたんだ。30年前は魔導師がいるという常識は無かったからな。んで30年経ったら何気に増えてきたからランク付けが必要になった訳だ。」

「そうか。・・・あ、ちなみに俺は何のランクに入るんだ・・・?」

「・・・お前は平均はSB。ギリギリでメイジに入るな」

あれ以来万が一に備え、俺はシルバーとシャドウの魔力を上げる為に魔導師に育て上げる様になった。結界が溶けるのに必要な条件が『その人物を殺す』『魔力を失わせる』『自ら封印を解く』のどれかを満たす事だ。

彼らは本気になれば、俺でさえ苦戦する相手だ。殺すのは特別な事でもしない限り無理だろう。さらに言えばシャドウは不老不死だ。これに対する対策はあまり必要無いだろう。

自ら封印を解く(尚、相手がやる事を俺達は『溶ける』、自分自らなら『解く』と呼んでいる)というのは操られば行う行為だが、それは心配無いだろう。実際、呪印を入れる際にこれを防止する様にした。解くのは『俺が魔力切れで呪印が溶けた後になってようやく操って溶けられる』という三人連続で倒さない(俺の魔力が復活すれば再度呪印が貼られる。俺の魔力の回復ペースは非常に早い為)といけない上、3人共とても強い(俺が言うのもなんだが)。敵ならそんなめんどくさい事などしない筈だ。したとしても大変だ。

そして魔力を失わせるのは弱点だった。特にシャドウはこの傾向があり、早急に魔力をできる限りやらないと確実に溶けてしまうと分かっていた。ここを付くのが一番なのだが、魔力を奪う魔術は覚えている限りではメイジ以上が使える高度な魔術だった筈だが、戦う間に術を使えば魔力が弱まってしまうのだから本当にズバリである。

「だが俺の場合時を止めて逃げるって事も出来ると思うのだが・・・?」

「ああ。だが、いつまでも逃げていたらお前の性格も変わっていくだろ?それに少しは運動くらいしないと」

「・・・その発言は満月のお前からか?好戦的っぽいぞ?お前の言う運動は人間の言う運動のレベルでは無い事ご存知ですが・・・?」

「そうですよ。遊びたいって起こしたあの異変、メチャクチャ怖かったですから!!」

遊ぶ目的、か。遊びたいからという身勝手な考えと同時にある事も伝えたかったのだが。まあ遊んでいたのは間違い無い。あれが神のお遊戯である。一番怖いらしいが。

「実際俺も反抗してたしな・・・」

ぽっそりと呟いた。

「これの影響でお前の遊びが危ないと分かったぜ」

そう言ってシルバーは睨んだ。まあ実際俺が悪いのだが。

「・・・話を変えるぜ。ウォイス、何か夢を見ていたらしいが、何だ?」

「・・・それはなー」

ここであの話をした。

「魔導王国の前にも王国があったなんて・・・」

「実質生み出した人の側近だったからな。さらに言えば当時魔導師であった父と母がいたから、俺は第一の生粋魔導師だった訳」

「んで、マリンフリーズなどの術を容易く出来る訳か・・・。アレは怖いぜ」

マリンフリーズ。俺の得意魔術の1つ。これは対象物の水分が0,01%でもあれば瞬間的に氷の彫刻の様になる魔術である。ランクはSAでこれの上位魔術がオールフリーズアイである。見た物全てを凍らせる魔術であり、メデューサがやる石化に似た様な形である。普通にXを超えるが、イマイチ使いどころが出来ない。敵味方関係無しでやってくるのは明らかに・・・

「ところでさ、その夢の後ってどうなんだ?」

「へ?」

「いや、だってさ。過去なんだろ?ならお前なら先知ってると思っててさ」

「聞きたいのか?この先が危ないのだが」

「魔導王国、知りたいからさ」

軽く言った。実際他に理由という物は無いみたいだ。単純に知らないから一応知る価値くらいはあるんじゃないか、そう思っているのだろう。

「まぁ、いいさ。シャドウも後で似た様な話をすればいいんだし。まあ、話をするとだなー」

そう言って俺は夢の続き(?)を話す事とした。

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続く。

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裏事情その1が登場しましたw 黒羽sと話してる際にふと考えた内容です。裏事情なのかね?知っている方はいるだろうからね・・・。

 

あ、私の勝手な過去ですが、悪ノPの新作買いました。解釈をちょっと入れてみます。色々と。

 

あ、ウォイスとシルバーとシアンの会話は結界から30年経った話です。一応英雄の友人は全員生きています。動物にもよるけれど、人間と動物のハーフに位置するのですから、多分これくらいは生きてるのではないだろうか、くらいで書きました。一応衣装は考えてますが、100年後のとは違うと思います。70年どうやって取っておけと言うんだろうか。

 

 

 

 

 

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。