夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

不明記録~The way of the flowering plant

ぽつぽつと 雨ガ降ル。 言葉だけでは伝わりキレナイオト。 寂シイ。

イマ、我の前ニ君がイる。アあ、いルトも。彼ガ望んデイたモの。

そレをヤつによっテ・・・。ユっクり朽ちてユく。

・・・モし、我ノ声が聞こえルのなラ、言っテ欲シい。

「彼は、ソ・・・くはい・・・ルんだヨ」

 

 あるべき道は何処にー・・・

 

聞こえた。確かに聞こえた。暗い雲の中、一筋の光の筋が目の前に落ちてきた。

綺麗な花畑。綺麗な一粒の雫。綺麗な花弁。綺麗な空。そして儚い世界・・・。こんな世界が好きだった。

これが最後に見れる平和の象徴なのかもしれない。ねぇ、一緒に見たいんだ。この綺麗で儚い1つの景色を彼と共に見たいんだ。でももう彼は居ない。彼はもう死んでいる。それは分かっている。分かっているけど見せたかった。ああ、もう来れないのかもしれない。これから本格的な戦いが始まってしまうから。全て、私の手に掛かっている。そう、全てが私の手に・・・。

「・・・大好きだから、泣かないで」

そんな声が耳に入ったので横に向いた。そこには彼がいた。

「えー・・・?」

目の前に彼がいた。透明で且色が殆どうっすらだったが間違い無い。彼はいた。

「・・・?どうして此処に・・・?」

彼は何も言わず街の方に指差した。

「・・・俺は時々目を覚ます事がある」

「え?」

「俺は一時期だが羽を伸ばせる。その時はお前の姿が見える」

・・・ああ。そうか。そうなんだな。

「・・・綺麗だよな。この花畑」

全体が青と水色で出来ている花畑。訪れたかった所だった所。

「俺は幸せだ。だって少ない時間とはいえお前と触れ合えるのだから」

「・・・そうだね。幸せだよ。でもこれが長く続かない事も知ってる」

「やはり、起こってしまったんだな。お前が最後か?」

「・・・うん。最後のエメラルドは此処にある」

そう言って私は白い宝石を出した。

「もう彼らは無理だった。やはり限界というのがあるみたいで。・・・だから私は眠っていた力を目覚めさせる・・・」

「・・・あの能力か。だがあれを沢山使えばお前の身体が・・・」

「違う。自分自身ではない。『守護者達』に能力を使う」

「・・・?」

「未だに気がついて無いんだ?いや、死んでしまってるからしょうがないか。守護者達全員能力を持っている。ただ皆気がついてないだけ。私だけを除き」

「・・・まさか」

「あいつらでさえまだ目覚め切れてない。私自身の能力の詳細を知るのはお前と私だけだから」

「奴らは勘違いしてるしな。」

「あの時動かせたのはお前だけだ。その時に告白をしたのだから知る筈が無い」

あの時、彼が死ぬ間際に使ったあの能力。誰も動かなかった。私と彼除き。

その時裏側の行動を指揮された。守護場所に着かず、自由に行動しろという命とこの能力を利用して、守護者達を覚醒し、操れ・・・と。この時点で最後の守護者となるのは理解しきっていた。彼らが守ってくれるだろうから。

 

「そうだな」

「・・・ところでさ。私が出した術にはある秘密があったんだ」

「?」

「・・・ムーンダストブレイク。これ普通に訳すと『月のちりを壊す』だよな?」

「そうだが・・・どうかしたか?」

「これ、何だか分かる?」

「何って・・・青のカーネーションだが?」

「そう。これが『ムーンダスト』・・・。花言葉は『永遠の幸福』。ブレイクは・・・アレは此処に来た時意味を知る・・・」

「・・・彼とは真逆だよな。彼は永遠の悲しみに囚われている。この花、アンモビウムはそんな言葉がある」

そう言って彼は匂いを嗅いだ。

「・・・彼らを助けたい。永遠の悲しみから解き放ち、永遠の幸福をー」

「そうだな。俺には力が無い。だから、人の悲しみを理解出来るお前に託すよ。・・・ありがとう・・・」

「・・・?」

あの言葉を最後に彼は突然消えた。時間切れの様だ。

「・・・この後に起こる出来事が例え滅ぶ運命だったとしても、決して恨まないで。永遠を刻む時となりてー」

 

Missing period...

此処の空気は一変となっていた。

それもそのはず。彼と会うのは100年ぶりなのだから。部外者は2人の威圧感で押しつぶされてしまう。側近の者でさえ、あまりの恐怖に全く動かないのだ。

「久しぶりだな・・・。久々でもお前だけは忘れなかった・・・」

彼らの輪に入れなかった。彼らはおそらくだが全てを見ていたのだろう。これらの原因も見ているのだ・・・。同時にあの人もー・・・

「・・・お前が強い事は俺が一番よく知ってる。だから、全てお見通しだ。お前がこれからする事を・・・。」

こう言って彼は微笑んだ。その微笑みは全てを凍りつくかの様な冷たく恐ろしい笑みだった。

「逆に貴様の事は我が一番よく知っている・・・。手加減がしないで済む」

「・・・お前では人柱と言うんだったな?だが、おそらく人柱を崩すのは彼以上に苦労するだろうな・・・」

「・・・?何故だ?守護者達はもうあと2人じゃないか。2人がかりでもー」

「お前は重大なミスをしたな。その2人、守護者の中でも特に強い奴らだぞ?さらに言えば、1人は常識外れも良い所だ。ーまだ勝機はあるんだよ・・・」

「・・・2人共今回に関して全く触れてないじゃないか」

あの人はそう言った途端、彼は笑った。馬鹿にしてるらしい。

「ハハハ、お前はそう言った所では知恵が回らないな!!もう2人は他の守護者よりも触れているし、もう対策も練ってあるんだよ・・・」

「・・・!!まさか・・・」

「・・・今更気がついたのか?あれは『偶然』では無い。『運命』だったんだよー」

「嘘・・・だろ?あいつがそんな事出来る筈が・・・」

彼は姿こそ無いものの、ショックを受けていると分かったのは言葉だけで十分だった。明らかに力が抜けているのが分かる。

「・・・だからあの時に勉強すれば良かったのに」

彼はそう言って、霧の様に消えた。

色々あったが、正直言おう。全然意味が分からない。彼は『勉強すれば良かった』と言っていたが、アレを放ったという事は彼からすればあの方を馬鹿だと思っているのだろうか。あるいは夢に囚われすぎるなという敵にしては良い警告を出したのだろうか。真相は不明だ。ただ、これで分かった事がある。これらの一連の事件は、全て彼らが関わっていたという事だ。

 

「・・・これで全員?」

「そうみたいだな、助かったぞ、ガナール」

「ーウォイス達ならおそらく紅月のいる所だろうな」

彼がそう言うと我は奥を見た。

「シャオンに何をしたんだ!!」

「何もしてないんです。魔導王国で彼の懺悔を聞いたら常識外れで思い出した。・・・ラリネウスの霊が記憶を戻してくれたのか、あるいは・・・」

「とりあえず、逃げるぞ!!彼らが時間を稼いでいる内に!!」

「はい!!」

 

 Sakai of the personality...

『ココハ綺麗ナトコロダ』

『・・・貴方がそう言っても私はあまりそう感じて無い』

『貴方モコノ景色ヲ見レバ良イ』

『無理。貴方とは反対にいるのだから』

『ソウ・・・。ソレハ残念ダナ』

『第一何故私が此処にいるの?』

『貴方ニ忠告ヲ』

『・・・?』

『彼ラニ気ヲ付ケロット。』

『紅月の事?まあ気をつけてはいるが』

『イヤ・・・。ソレ以上ニ気ヲ付ケテ・・・』

『どういう事?』

『彼ニ明ラカニ恐ロシイ気配ヲ感ジルカラ』

『ー貴方はそう考えたの?』

『私ハソウ感ジタンデス。貴方モ感ジタ筈』

『私はそんなに感じなかったが・・・。だが良い気配では無かった』

『モウ結果ハ決マッテイルンダヨ。アトハ貴方ガドウ動クカデ決マル』

『なら来てくれ。そして我に力をー』

『・・・了解。貴方ガ全テを話シテ・・・』

 『ーまだいくつかの駒はある。・・・反撃するぞ、いいだろ?』

『イイヨ。貴方ガ私ヲ生ンデクレタ存在ナノダカラ』

『・・・行くぞ』

『分カッタ。』

そう言って私達は薄く微笑み、先を見つめた。

 

・・・Is everything ready? 

Oh and finally here it is. 

 Everyone's happy ending is not necessarily...

 

 

 
Identity of the mystery man...

「一通り大丈夫みたいだな」

私はそう言った。

「しかし、こんな事して良かったのですか?」

薄いピンク色の針鼠ーソシアは心配そうな顔をしている。

「・・・正直抜かれてしまったらとても怖いですよ?」

「そうだな・・・」

私は少々考えてみた。もし、この先にスパイがいたら?あるいはいじめてくる者がいるのでは?確かに彼を見過ごすのにもちょっと不安だ。

そう思った時、咄嗟に思いついた事があった。

「ーなら、これはどうだ?シャドウを使って、ちょっと様子でも見たりして」

「?しかし、彼は今行方不明なのですよ?さらに言えばー」

「だから、その工程を俺がやるって事」

「!!それは止めてください!!それなら別の守護者に頼めばいいじゃないですか!!」

ソシアは反対した。私自身基本それで行くし、そもそも行ったところでの問題もいくつもあった。しかし今回ばかりはそうもいられなくなったのだ。

「・・・悪いな。あいつの弱点を知っているが、それは1人ではないと扱いづらい。」

「1対1でやるのですかー・・・」

「操られているのなら逆に良いな。読み取りやすいし」

「・・・そうですか。十分準備してくださいね」

「ああ。分かってるさ」

 

ー結局その戦いは勝利し、彼を正気にさせた。

 

 

「・・・貴様、一体・・・」

「ー眠っていて。」

「ー??何故ー」

何か言いかけようとしたがそのまま眠ってしまった。

「ーウォイス様、来てください」

「何の様だ?」

森の木に隠れていたウォイスを呼んだ。

「・・・ちっ、やはり抜かれたか」

「ーどうやら『魔力を完全に』奪われたみたいですね。」

 「奴の弱点を叩いたんだろうな。完全に、か」

「相当無理があった気がしますが・・・。でも魔力を失わせる事は可能ですしね」

「シルバーは大丈夫だよな・・・?」

ウォイスは少々焦っていたみたいだ。

「お言葉ですが、ウォイス様。紅月様とライザの所にいたのなら可能かもしれません」

「・・・どいゆう事だ?」

「あの人達はアーチメイジの者。魔力を奪う魔術はSSで存在します。それにその魔術は人身魔術・・・。紅月様ならおそらく可能かと」

「・・・そこまで考えてなかった。可能性はあるな」

「さらに言えば、最近月の満ち欠けが変なんですよ。おそらく満月の時に抜かれたのでしょう。・・・シャドウは魔力の量として少なかったのですから」

「もしその仮説が本当なら、シルバーは大丈夫だな」

「そうですね。彼は貴方の魔術を習い、今ではアーチメイジ辺りまで来ていますし。その気になれば私自身魔術で彼をサポートすればいいんですし」

「鎖術か。しかし、よくこんなに重たいのを20本操れるな。しかも正確に。」

「ご褒め頂き光栄です、ウォイス様。」

実際鎖は相当重いのだ。私はコレを武器としている為、隙が多いと思われる。何しろ私自身が筋肉体質ではない上、服で全身を覆っていて、足が見えても細いので尚更だ(当然私はマッチョではない)。しかしずっと操っているので軽く感じるのだ。実際20本と言っているが、100本まで一気に操れる自信がある。正確さ重視なら50本くらいだろうか。

「ー守護者達に伝えておくか?この事」

「・・・そうですね。伝達鳩でも使いましょうか。」

「そうだな」

そう言った後ウォイスは指2本を上手に使い口笛を出した。この口笛は鳩を呼び出す音だ。鳩もその音に反応する様に飼育されている。・・・ソシアはそういった意味では凄いかもしれない。

しばらくして鳩が飛んできた。

「・・・ディフェルダアウアーイル!!」

そう言った後鳩は飛んだ。ちなみにディフェルダアウアは守護者に届けると言っている(鳥語なのかは不明だが)。イルはお願いと言っている・・・らしい。

「これで様子を見るか」

「ーそうですね」

 

House of mystery library ~Another one of my

それらと同時に様々な事が起こって今此処にいるのだ。分からないのだろうか?もう結果は出ている事に。後はそれをどうやって形にするかであるのだ・・・。

「貴方にはそれが理解出来るだろうか?」

目の前にいる貴方はきょとんとしていた。まあそうなのだが。

「・・・まあ、よい。いずれ答えは出るもの。その時が来てもまだ不明点はあるでしょうけれど」

「・・・貴方は一体?」

貴方はそう言った。

「ー私はこの事件の関係者でありながら・・・。重要人物のもう1人の姿」

そう言って私は一冊の本を取り出した。

「ーあの本はどうでした・・・?」

「あ、はい。とても感動しました」

「・・・そうですか。その心はきっと清き心なんですね」

「・・・?」

「私はその本の世界の住民。ある方法で此処に来る事が出来たです。貴方が信じるかどうかは貴方次第。でももう1人の私はこの事に気がついている筈」

「知り合いなのですか?もう1人の私と」

「それはー・・・」

そんな良いタイミングでその『私』は入ってきた。

「いるかしら?・・・ウフフ、珍しいわね。お客様?」

「本が見たいって言うから見せて上げているだけ。まあお客様だ」

「じゃ、お茶会でもしましょうか。準備してきますね」

そう言って『私』はこの部屋を後にした。

「・・・この人、とても綺麗な人ですね」

「彼女はシルフィと呼ぶ。彼女は此処の住民であるのだが、表世界を干渉している人でもあるのだ。簡単に言うと私と逆だな」

「なら、貴方はもしかしてー」

「・・・そう。私がこの本の人の証拠になるでしょ?」

「納得です・・・」

「さてと。そろそろ準備出来るから、庭園に行く」

「良いんですか?」

「ああ。大丈夫、此処は幻の図書館だから」

そう言って貴方を連れて、庭園に行った。

・・・そういえばまだ彼女が借りた本はまだ本棚に戻ってなかった。

 

その本は『Leia ~The secret of the temple』と書かれていた。

 

これらの道は幻想の赤月、夢想の闇夜、永遠の月光花の共通の道である。そしてそれらの道はまた分かれるのだー・・・。この本は交差点なのだから・・・。

 

幻想の赤月・夢想の闇夜・永遠の月光花へ続く――

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時系列無視です。なので順番バラバラです。一部理解出来る所もあれば全く理解不明な所もあるかと思います。解釈は自由です。では。

 

 

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。