夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

幻想の赤月 -4章 element sylphid

・・・その四精霊に逢う事が出来るのは『神』と『精霊』と『天使』と『清き人間』のみだ。四精霊は基本肉体を持たない、魂の存在。魂の状態では上記の4つの種族のみだ。・・・しかし、肉体を持つ身体を得た時はまた別だろう。しかし、今探すのは難しい。何しろ四精霊の名が薄れてしまっている上、おそらく気付かれない様偽名で名乗ってくる。多分、普通の人と錯覚するだろう。ただし四精霊だと分かる条件がある。それは『創生の力』だ。創生する力は肉体を得てからでも利用出来る。もし、その力を偶然にも見れたらそれこそ四精霊である。・・・あるいは神様かもしれない。

***********

シルバー ???

「おい、起きろ!!起きてくれ!!」

「・・・!?うわぁ!!此処は??確か僕は時計塔に登って何かを割った後眠くなって・・・」

「大丈夫?貴方、心が完全に閉じこもっていたわよ?」

「何で僕の心を読めるんだ?」

「・・・俺は読心術がある。お前の心の声、聞かせてもらったよ。ー安心して。此処は脳の中。身体には影響を受けないから安心しな」

「ごめんなさいね。私はシルフィ、彼はシルバーよ」

「!?シ・・・シルバー!?何でシルバーがいるの??」

彼は俺の名前を聞いた瞬間、目を輝かせた。

「俺を見て驚くのはまあ無理も無いが・・・。隣の大陸でもコレか・・・」

「・・・人気者だね、シルバー」

シルフィはそう言ってクスクスと笑う。俺の頬が少し赤くなった気がした。

「で、シルフィ・・・は?確か四精霊の名前に何かあった気が・・・?」

一瞬シルフィは曇った顔をしたが、言っている内容が分かったのだろう、すぐに明るい顔になった。

「?・・・ああ、そいゆうことね。貴方が言っているのはシルフ・・・シルフィードの事ね?」

「・・・四精霊?」

「精霊の中でも得に強い精霊達の事。」

「そうか。・・・精霊かあ。いたら良いな。一回話してみたいぜ」

「ところでシルフィ達は、何で僕の所に・・・って馬鹿な質問だね。友達が居ないから、欲しいんだ、友達を」

「・・・友達?何があったんだ」

「ー僕ね。僕の秘められた力が原因で皆遠ざけてしまうんだ」

「?その力って何だ? あれ、何処だ?って、うわぁ!!ビックリした!!」

「・・・ああ、そいゆうことね。『透明になる』力があるのね?」

「うん。時々、身体の一部が透明になるんだ。これでいじめられる」

「それで、誰かがそれを利用されてこんな事を・・・。許せないな、利用した奴」

「安心して。私達が助けてあげるからね、安心して。・・・ところで名前は何?」

「僕?僕はルシフェル。それがどうかしたの?」

「・・・!!ルシ・・・フェル??」

「シルフィ・・・?大丈夫か??」

「うん・・・。立ちくらみがしただけ」

ルシフェルって確かルシファーだったよな?傲慢の悪魔でありながら、大悪魔の奴・・・。彼女の元々の『種族』も考えたらこうなるよな・・・)

「・・・僕の名前に覚えがあるの?」

「・・・お前、幻聴か何か聞こえるか?時々」

「?うん、時々『我の前に委ねろ・・・全てを崩壊させるのだ』って。当然僕は無視してるけど」

(・・・!!間違い無い。この子の何処かに『悪魔』がいる・・・)

「ーやはりな。その声は悪魔の声だ・・・。それに委ねてしまえば、悪魔と契約し自分ではいられなくなる・・・」

「!?それって僕が悪魔と見てるの??」

「違う。ーちょっと眠っていいか?」

「うん・・・」

そう言ってルシフェルは眠った。もしかしたら『悪魔』の影響かもしれない。

「シルフィ、大丈夫か?」

「うん。何とか。悪魔の気配・・・あった、これよ」

そこには呪印が施されていた。これで間違い無い。

「・・・準備はいいか?悪魔祓い!!」

「グォオオ!!」

その呪印から悪魔が出てきた。成功だ。

『・・・畜生、ようやく完成すると思ったが・・・貴様ら・・・』

「ルシファー・・・。まさかお前がこんな子に宿っているとは」

『まあ良い、貴様の中に入れて・・・!?き・・・貴様は!!』

「・・・ウフフ、お久しぶりですわね、傲慢の悪魔、堕天使『ルシファー』。見た目も変わらずで何よりですね。神が創った『天使』の種族の裏切り者」

『何故貴様が此処にいる・・・。お前は我が殺した筈だぞ!!』

「あれ?知りませんでした?私達の種族は元々霊ですよ?」

『・・・では、何故、何故お前そっくりの子がいる!?まさか悪魔憑きならぬ・・・』

「ーそっくりなのは彼がもう1人の私だからですよ、学びませんでした?『表世界』と『裏世界』の事」

『肉体がある・・・?そんな筈が無いだろう!!四精霊の一人『シルフィード』が肉体を持つ事など!!』

「肉体を持ったのはもう少し先の話。ー過去に行っているだけだよ、シルバーと共にね」

「・・・待てよ。お前ら因縁あったのかよ!?」

『ほう、シルバーと言うのか?・・・いい身体、目つきだな。さては相当の手馴れだろう?人間にしては』

「ルシファーも元天使なだけあって、戦いの目は持つのか・・・。そして今こう思っているだろ。『俺に悪魔憑きをすれば強くなれる』ってさ。でもそれは無理だと思うぜ?」

『・・・!?な・・・何故我の心が』

「読めてしまうんだよな、神の心も悪魔の心も人間の心も全て、全て。」

「・・・恐ろしいわね、貴方の『第三の眼』は」

『・・・貴様!!さては、神秘たる力を持っているな??』

「この力はその一部にしか過ぎないわ。流石に凄いですわね、読心術は」

『シルフィード!!何故シルバーという人間と関わる?本来精霊は人間と干渉してはいけないと「それはもう許可得ての行動なの」・・・!?』

シルフィはそう言って微笑む。

「・・・ウォイス様とフォルカ様、他の上位の神々の令からなの。『四精霊』は『人』に紛れて生活しなさい、悪魔がいたら退治しなさいというミッションが課せられているの。・・・だから私は『人間』扱いなの。『精霊』扱いをされる時もあるけど、基本『人間』よ。」

「ウォイスがそんな事に関して全く気がついてないけどな。シルフィが四精霊シルフィードである事は俺と本人以外気がついてない。・・・そりゃそうだよな。姿まで特定されてないしな。俺も言われるまで気がつかなったが」

『き・・・貴様ら』

「さてと。お話は此処までにして。流石に分かるでしょ?今の状況。シルバーに悪魔憑きなんて出来ないわ。ウォイス様は彼の事を好んでいるのですから」

「・・・?好む?」

とりあえずこの好むは『恋愛』ではないと思うので飛ばしておこう。・・・まあとりあえず情報は得られた。

 

どうやら『俺』が魔物や獣、悪魔などに強い理由・・・それは俺の友人『ウォイス』の力によるものらしい。ー彼は現人神だからだ。

 

『・・・こうなったら外に出て異変を大きくしてくれる!!』

「そうはさせませんよ、ルシファー」

『グッ・・・』

「・・・前にも言った筈です。『四精霊は神に等しいくらい強い』って」

シルフィは目を青くして、攻撃した。おそらく目が青いのは精霊だった時の目の色だからだろう。

「俺も手伝うぜ、シルフィ・・・シルフィードって言って正解か?」

「・・・今はシルフィードです。久々ですよ。『空気』を創造するのは」

「そうか。ーシルフィード、手足を幅るぞ」

「了解、シルバーさん」

『!?おい、俺はマダ何もしてないぞ!!』

「散々神戦で力を使ったのに何もしてないなんて言わないで!!」

ガン!!彼女の拳は彼(?)の腹にクリーンヒットした。そして彼は飛ばされたら・・・

「それに、『まだ』って事はさらにやる気だろ!!そうはさせないぞ!!」

俺は飛ばされた彼(?)を魔術でぶっ飛ばした。

 「疾風霧斬!!」「スピンホーリーライト!!」

『・・・我の力を・・・舐めるなぁああ、この人間無勢が!!』

「人間無勢が?私は元『精霊』なのですよ??」

「-それに俺は未来から来た。この時代の人間じゃないぞ」

「どのみち私達は『普通の人間』ではないわ。それだけは確かよ」

『・・・!!』

「じゃあね、ルシファー。天使だから長命でしょうけど・・・。『ネプトゥヌス』に宜しく伝えといてね。」

『貴様ら・・・貴様ラァ!!』

「・・・ごめんな、ルシファー。でもこうしなければならないのだ・・・」

俺はそう言って『ある物』をルシファーに刺した。

その後に出てきた液(しる)は俺が見ていた液と何故か似ていた。どうしてだろう?その液の色からして、天使が流す液ではないのに。・・・そう考えると悲しかった。空しく感じた。

「なあ、どうして人はこうしてまでして自分の欲望を突き通すんだ?」

俺はシルフィに訪ねてみた。

「・・・私は、そんな『悪』の存在、『善』の存在を全部ひっくるめて『人間』と呼んでるわ。これが人間の特徴の1つなのよ。私は・・・人間じゃないからそう呼べるのでしょうけど」

「・・・人間じゃないから、か。」

「人間じゃないから基本そんな事に疑問を抱くのは滅多に無いわ。でもどうしても分からない事が1つだけあるのよ」

「?それは何だ?」

「人間は何故、普段は神が居ないと信じ込んでるのにいざという時に神様、お願いしますなんて事をやっているのか、私には理解出来ないわ。」

「・・・悪い、俺神がいる事を知っているから何とも言えないや。」

「そうだよね・・・。ゴメン、変な質問を」

「いや、良いんだ。ルシファー、これで元に戻れば良いが」

「とりあえず、元の世界に戻りましょ。私は瑠璃の森にいたから離れ離れになってしまうけど・・・今からそっちに向かうよ」

「了解。」

***********

 シルバー 時計塔―頂上

「・・・!!」

「あー!!シルバー、お帰り!!どうだった??」

「奴の邪気は消えている・・・。奴の霊は取れたのか?」

シアンは俺を見て、喜ぶ。一方シャドウはルシフェルの身体を見て疑問に浸かっていた。

「・・・ああ、奴の悪魔は取れたよ。シルフィと共にな」

「シルフィも入ったというより、何故?」

「?ああ、俺が呼んだ。ちょっと色々あってな」

「・・・その色々が気になるんだが」

「まあまあ。とりあえず、邪気は取れたからこの異変も終わると思うが・・・。」

「・・・シ・・・シャドウさん、シルバーさん」

「? !!」

「ゲッ!!お前まだいたのかよ!?」

『貴様ー!!よくも痛い目に遭わせたな!!お前から排除してやる!!』

「堕天使ルシファー。ウォイス呼ぶべきだろうか?」

「ウォイスさんは今別の大陸にいるんですよ!?それなのに何故!?」

「・・・いや、その件に関しては多分大丈夫だ」

「?」

「『彼女』がどうにかしてくれるだろう。だってそろそろ来る筈だ」

そう言った矢先、光の矢が目の前を横切る。

「お待たせ、シルバー。・・・ルシファー、出るとは思っていたけど。」

『!!シルフィード!!』

「まあいいわ。それにウォイスも来ているし」

「ルシファーか・・・。俺らが作った種族の『裏切り者』・・・。創造者にはどうという事もならないな」

『・・・!!ウォイス様・・・??』

ルシファーは驚いた顔して彼を見た。

(・・・ああ、そうか。彼、元人間の神様だったな。天使を創生出来るなら、十分にありえるじゃないか。ルシファー目線、誕生した親の様なモノだしな)

そうつぐつぐ思っていると、ウォイスは目を蒼く光らせて嗤う。

「ハハハ、笑えるな。裏切っても尚、俺の事を敬意に払うとは。しかし、今更敬意払っても、お前を地獄へ突き落すのは変わらないがな」

この人は本当に人間外れだろ、能力や口調、注意深さなど色々な意味で!!などと叫んでみたいが、こんな事言った末にはウォイスが半殺しにしてくるかもしれないので黙っておく。

「・・・アララ?敬意を示すのは私もではありませんの?ルシファー。位なら私の方が上ですが・・・?」

『ウォイス様は別だ!!お前、天使と神の身分の差を覚えているのか??むしろ敬意を払ってないお前の方が殺されるぞ、シルフィード』

「? おい、待て。シルフィード・・・まさか、お前が!?」

「・・・貴方が自ら四精霊に命じたんじゃないですか、ウォイス『様』」

「確かに命じたのは俺だ。しかし人間姿になってもまだ接触するのか、お前は!?」

ウォイスとシルフィがどうこう言っている間にもルシファーはこの場を去ろうとしていたのを俺とシャドウはしかと見ていた。

「生きて帰らせると思ったのか?『悪魔』が」「このまま場を去るつもりだろ、貴様」

『!!』

ルシファーは「頼む、今回は本当に勘弁してください」なんて顔をしているが、無意味だ。

「ホーリースピアレヴィレ!!」 「レヴィレダークスピア!!」

本当に息ピッタリな感覚で同時攻撃を仕掛けた。

『人間如きにぃいい!!』

「・・・強制搬送。地界葬送輸送結界!!」

ウォイスは軽く術を唱えると彼(?)は霧となって消えた。

 

「アララ、こりゃアレですわね。集団リンチって奴ですね」

「・・・悪魔といえど、集団リンチされるとこの様な形になってしまうんだ・・・」

シルフィは軽く笑い、シアンは少々引いた様な顔をした。

「とりあえず、近くに喫茶店があるから4人で話をしましょう。シアン、ウォイスを手当てしてあげて。シルバーとシャドウはやっておくから」

「うん、分かった!!」

シアンは「回復なら任せて!!」と言って、ウォイスに向かって走り出す。

そして彼女は俺達の傷の手当てを始めた。

「フフフ、可愛いわね」

「・・・でも俺はあまり良い思い出が無いな、小さい頃の思い出」

「僕は・・・アークのマリアと共に過ごせた事が幸せだった・・・」

シャドウはそう言った。俺は知らないが、ソニック曰く50年くらい前マリアという女の子がいたそうだ。生まれつき病気でアークというスペースコロニーに育てられたが、襲撃されて亡くなった・・・そしてシャドウはコールドスリープをし、50年経って彼は解き放った・・・という事しか知らない。

「まあ、昔話は此処までにして。状況をとりあえず掴みましょう。話はそこからよ」

「ああ・・・」

傷の手当てが終わった後、俺達はクロノス都市の中でも有名な喫茶店に行った。

**********

続く

**********

シルフィが過去に何があったかは、夢想の闇夜の第3幕(又は第2期第1幕)でやろうと思います。

 

next -5章 It does not settle down!

 

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。