夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

再開収録本~Demande d'ami

「お前は一体何者だ?」

そんな事言われ続け、どれくらい経ったのだろうか?友人は皆朽ちていくが、私は全く朽ちた感覚も無かった。友人はこれを「目的の為にこうなったんだね、可哀想だな」と言っていた。いつの間にか友人は成長していて、私よりも大人っぽくなっていた。その子は、英雄の右腕として、英雄に憧れた者として英雄と共に過ごした。でも、その英雄は15というあまりにも早すぎた年齢で亡くなってしまった。友人は英雄が語ってくれた話を誇りに思い、現在は入る事すらとても困難な研究所の教授として生活していた。

私は皆が今何をしているか気になった。だから

 

私は久々に英雄の友人に会いに来てみた。

 

最初に訪れたのは桃色の針鼠の女性、エミー・ローズだった。私は以前彼女に何度か振り回されていた事があった。彼女は今どうしているかと言うと、彼女は自らが考案したデザインが売れ、売れっ子のデザイナーになった。何でも彼女の服はキャンディなど可愛い感じの食べ物を取り入れた物が多く、人気があるそうだ。彼女はとても大きくなっていて、私が知る彼女は今では美しい女性になっていた。彼女は私を見るなり、とても嬉しそうな顔をして私を歓迎してくれた。そして私は取材をして貰った。

「ええ、当然構わないわ。だって私達は友達、でしょ?」

そう言って彼女は私の質問に答えてくれた。そして私はこんな質問をしてみた。「ー貴方は今の状態を幸せだと思うか?」と。すると彼女は「幸せ・・・なのかな?やっぱりソニックが居ないと寂しくて。どうして居ないのかな・・・」と言って、悲しそうに笑った。試しに私は「居たら居たらで追いかけるだろ」と突っ込んだ。彼女は「多分追いかけると思うわ」と言い、ケーキを差し出して貰った。

 

次に訪れたのは赤色のハリモグラ、ナックルズ・ザ・エキドゥナであった。彼は未だにマスターエメラルドを守護している。驚いたのは、彼が既に既婚者であった事、そして彼のお嫁さんに子供を妊娠していた事である。私は「という事は自宅は存在するんだな」と言っていると彼はその事を認めた。ただそれを守るのは一族の役目として守るらしく、お嫁さんもそれを了承していたので、遺族が出来たのはある意味後継者が現れたので良かったのでは無いだろうか?エミーに同じくあの質問をしてみた。彼は「今の生活自体には満足はいているが・・・やはり寂しいものだな」と答えた。やっぱり彼も心の底で彼の死を完全に受け入れて無い様だ。

 

3番目に訪れたのは白色のコウモリ、ルージュ・ザ・バットだ。彼女は未だにエージェントの仕事しており且トレジャーハンターをしていた。しかし、カオスエメラルドには手を出さないと言ってくれた。今はもうカオスエメラルドの存在は友人と守護者と私等特殊な類の人しか知らない。それを奪われても平気じゃないか、そう思っていてもあの力があるのだ、成長した彼女も「それなら他の宝石を貰って売った方が平和で良いわ」と言っていた。彼女に関してはソニックの接点はさほど無いが、あの質問すると「きっと他の友達も言っているでしょうけれど、早すぎる死を受けいられないわ。寿命で死ぬのならまだマシの様な感じがするわ、分からないけれどね」と答えた。「それは一体どういう意味だ」と聞いても、彼女は何も言わずに笑う。「それは君が一番分かっている筈でしょ」とでも言いたげに。

 

4番目は紫色の猫、ブレイズ・ザ・キャットだ。彼女は異世界にいたので少々苦労したが、会う事が出来た。彼女は異世界で皇女として、世界を守っていた。あらかじめ会う事を約束していたので、さほど行った後に~等の事は起こらなかったのでまだ良かっただろう。私は微笑み、手を握った。思えば、様々な出来事を共に経験したのは他でもない、貴方だったから。私は様々な会話をしていた。彼女も此処に戻ってからの会話が続いた。私は皆と同じ様に聞いてみた。

「私はソニックと共に戦った仲だ、私も分かると思うが、この事件は壮大すぎた。ー私も力があれば良いのに。だが、不老不死は辛いだろう・・・永遠の魔導師である彼ーウォイスと言ったか?あの人は相当過去から来たと読める、お前は彼を守っていきな。カオスエメラルドと共に」

ソニックの死について触れようとすると彼女は流したのだ。彼女は私に彼を守って貰いたい、そう言った。皇女の命令は絶対だ、そう言った。

 

最後に訪れたのは、ソニックの右腕になった人物、マイルス・パウアーだった。私が最後に訪れたかったのは、一番長く話をするであろう、そう確信したからだ。ソニックの死は友達全員が悲しんだ。その中でもテイルスと私はショックが大きく、他の人がつきっきりでいないと崩れてしまうくらいであった。ウォイスやシャドウですら、考えさせられた程である。

彼も今は立派な教授である。彼は今ある属性の開発を試みていた。私に似合う筈だ、そう言って彼は私にその属性の宿る石を渡した。

「一体コレは何だ?」

「う~んとね、これはね『属性の石』って言うんだ」

「属性の・・・石?」

「魔力を宿す石ーこれが沢山あるんだ。僕ね、その1つを見つけたんだ」

「1つ?全部でどれくらいあるんだ?」

「難しいな・・・多分30種類くらいあるんじゃないかな?」

「だがそんなにあったら、誰かに見つかっている可能性があるだろ」

「だから君に頼みたいんだ。その石と似た物を探して欲しいんだ。見せるくらいで良いんだ。手に入れた物は君ので問題無いから」

「そう・・・か。探してみるよ」

「あ、君にあげるよ。確認の際にも、力にもなるでしょ?」

「ありがとう、テイルス。ーこれは『雪』の属性の石だな」

テイルスは私に『属性の石』を渡し、それを託した。結果として5年後にはあの宝石含む10種類見つけたが、宝石の『意思』に尋ねてみても明らかに30種類程度では済まない。以降私はあの旅に『属性の石を探す』目的も増えた。

5年経って分かった事が幾つかある。

1つ目は前記にある通り、1つ1つに意思を宿している。ただし、それによる会話は石の種類によってやり方や都合が違う様だ。石に直接話をするタイプもあれば、魔力を宿す者同士でテレパシーをするタイプもあるし、心で会話するタイプもある。そういう意味では人間と似ている気がする。

2つ目は幾つかの属性を組み合わせて使える事だ。例として、『火』と『草』を混じれば火の勢いが強くなって強化される。当然多く組合せば組み合わせる。ただしこの戦法、言ってみれば足し算であるが、裏を返せば引き算でもある。なのでこれに関しては試行錯誤する必要がある。ウォイスが扱う魔術に関しても一部がそれに入るので、ある意味勉強になって尚良い。ウォイスに聞くのが一番良い案だろうが。

3つ目はある程度その石に使い慣れていれば、『意思』を具体化させて現実世界に出す事が出来る事である。いわば召喚術の一部である。召喚術は物によるが、基本『人身魔術』の類である。召喚出来る種類は様々だが、石1つにつき召喚出来るのは1種類のみである。『水』で炎を操る魔物関連が出ることは決して無い。

4つ目は魔術に留まらず、何かの物や技に属性付与が可能である事。無属性である武術に炎を加える等が例に挙げられるだろう。なので友人であるシャドウにも幾つか分けている。彼も武術を得意とする者だ(一部魔術は扱えるが)。この石は結構役立っていると言っているのだ、私も愛用している。

というのが私の理解しきっている範囲である。一応言っておくが、これを利用する人は稀である。それ以前にこの石の存在は全く知られてない。実際、テイルスが私にこれを渡してなければ、今でもあの石の存在を知る事は無かった。中々の物である。

 

私はこれを読み返してみるのだが・・・。この石の存在は様々な意味で丁重に扱うべき存在だろう。偶然見つかったのなら、それは秘密にした方が良いのかもしれない。理由は簡単である。手に取った人、貴方が狙われるからである。もし、これと同じ石を見つけたのなら、テイルスの元へ寄ってもらいたい。ー世界に安らぎをもたらす為にも。

悲劇は繰り返えさせないー。絶対に・・・。

 

筆記者 Silver The Hedgehog 英雄歴15年

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。