夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

不明記録~Inizio della follia

英雄歴100年ー真実と矛盾の狭間

 

貴方が望む結末。

私が望む結末。

君が望む結末。

黒幕が望む結末。

お前が望む結末。

 

誰もが望む結末が一緒な訳が無い。

選択肢なんて幾らでもあるモノだ。

そして皆自身が望む結末へ導こうとする。

無論、私もそうだ。

でもその結末を導けば導く程、狂い始める。

何故、言う事が聞かないのか。

それは自身が望む結末が違うからだ。

貴方が望む世界と、君が望む世界は違う。

似ていても同じには決してならない。

それが人間。十人十色というではないか。

同じ出来事でも人によって解釈が違う様に。

それを認める者もいれば、批判する者もいる。

それは当然だろう。否定するのも自由だ。

だがそれを表に出してはならない。

それが世界のルールである。

 

私は『人間』という種族が知りたいのだ。貴方が言う世界は私にとってもそうなって欲しいと願っている。

人を汚す事を嫌う貴方は、悪の根本を調べ始めた。どうやったらそうやって狂ってしまうのか。私は気になったので、貴方と共に調べる事にした。

「狂っている殺人鬼は狂った原因を知っている事が多い」

単に気がついてないから狂うなんて可笑しすぎる、そう貴方は言っていた。

確かにそうかもしれない。しかし私は「社会に批判された者がなる成れの果ての姿が殺人鬼では」と考えた。貴方はそれを聞いて、賛同した。

「そういう見方もあるのか」

そう言うと、貴方はメモした。考え方が違う事に興味を持っている貴方は輝いて見えた。そして、あの時に見た彼の面影を見えた。

私は貴方を抱きしめた。暖かくて安心して委ねられる。

 

「ーん」

目覚めた時、そこは神殿だった。

要件は分かっているんだ、行動に移すだけだ。

『貴方なら分かると思うから』

そう言って、貴方は私を背を押した。そして目が覚めたのだ。

「・・・分かったよ」と微笑した後、皆が目の前に移った。

 

そこにいるのは、ウォイスとシャオンと紅月だった。

紅月は術を唱え、シャオンを殺そうとしている。

ウォイスは術を構え、紅月の魂を狙っている。

シャオンは術を守り、ウォイスを守ろうとしている。

誰かが行動に移った瞬間が勝負の極めどころだろう。

「ー呪円炎華(じゅえんえんか)!!」

「ー空氷水夢(くうひょうすいむ)!!」

「ー聖乱晴光(せいらんせいこう)!!」

3人が同時に術を唱えた。最初に紅月の術がウォイスの術で弱まる。ウォイスの術はシャオンの術を飲み、威力が弱まる。シャオンの術も水の力に阻まれ、一部の光が全反射しているので、弱まっている。

相討ちだろう、と思った矢先。

スパンと綺麗に何かが切れた音がした。紅月の使う杖が綺麗に真っ二つになった。ウォイスが水圧で杖を壊したのだ。

「・・・何だと?」

「・・・・・・最初からお前の命なんて取る気は無い。欲しいのは・・・お前の中に眠る『悪魔』だ・・・グッ」

「ウォイス・・・!!」

「ー俺を殺さなかったのが仇となったみたいだな・・・・・・。以前の俺ならきっと殺める事を恐れたがー」

「止めて!!」

「貴様・・・ッ!!」

 

視点は1人を捉えている。しかし、俺からすればそれは『2人』だ。微かに見える彼女の面影に狙いを定める。弟子の止める声とはもろともせず、俺は精神攻撃が出来る術を唱え始める。

 

「紅月と呼ぶ理由・・・それはお前の能力からだろう?紅く輝く月は発狂の気を漂わせる。ー俺が真紅に染まる満月と同じ様に」

「・・・さぁ?どうだろうかな・・・?」

「フッ、笑わせる。目の前にいる俺が一体何者だったか、忘れたのか?」

「ーそう、お前はレヴィアーデンに・・・」

ウォイスは嗤う。それがお前がいる何よりの証拠だと言った影の矢先には十六夜の月光が降り注ぐ。

「・・・!!ウォ・・・イス??」

「貴様が・・・全てを奪ったんだよ・・・全てを・・・!!」

目に移した瞬間、雫の様なモノが宙に浮く。彼の髪に着いたそれは、スーと垂れていき、そして『染み込んだ』。

彼の様子も可笑しい。振りかざしたナイフが震えている。泣いている様にすら見えてしまう。

「・・・・・・止めてよ」

「煩い。黙れ・・・・・・」

非常に鋭く、且慌ただしい覇気が放っている彼の声で、シャオンは背筋が凍った。彼本人も分かっているのだろう。今抗えば確実に殺される、と。目の前に立っている彼のせいで起き上がる事すら出来ない。無防備状態である、このままでは確実に封じられるのはでは無く、殺されるだろう。

***********

英雄歴??年

私はとある書物を読んでいた。

 

『昔々、とある国がありました。

その国は王様と女王様と王子様と王女様がいました。

女王様は無い物全てを手に入りたいと願いました。

王様はある物を守りたいと願いました。

それをきっかけに女王は王様とその子供達を殺そうとしました。

それは半分成功しました。

王様と王女様は女王様に殺されてしまいました。

王子様は逃げてしまいました。

邪魔する者が居なくなった女王様は全てを得る為の時間を望みました。

そして遂にそれを成し遂げる事に成功してしまったのです。

それを機に女王様は名を『紅月』と改め全てを手に入れようとしました。

そしてあらゆる所を紅月は支配しました。

全てを飲み込む程に。

しかし全てを手にいれようとした時王子様は現れました。

そう、王子様は全ての時間を得てしまっていたのです。

王子様は紅月を恐れ、封印しました。

支配という鎖から解き放たれた囚人や村人は喜びました。

王子様は英雄と称えられました。

しかし王子様は心の底で喜ぶ事は全くしませんでした。

「どうしてこんなにも虚しいものなのか」

王子様はそう呟いたそうです。』。

 

紅月。以前の異変の黒幕の名前と同じ名前だった。

もし、この書物が事実を書かれていたのなら。

全てが繋がるのだ。

その王子様というのは英雄と称えられたという事に嫉妬でもしたのだろうか?そんな疑問を抱いた後、私は彼女を呼んだ。

「おーい、いるか?」

「はいはい、いますとも。どうしたの?」

「この書物、いつ頃に作られたのだ?」

「・・・それは・・・・・・分かりませんね。しかし、書き方からしても筆記ですね。物語になっているので、おそらくは相当古いのでしょうね」

「なら何故、私がこの書物をペラペラと読めるのだ?この文字はアファレイド魔導王国の奴だぞ?」

「初代、2代目辺じゃないかな?彼処って結構歴史豊かなのよ?」

「14世代だっけな・・・?50年おきに入れ替わるとして、700年前後といった所か」

「それは一体・・・?」

 「700年近くあったら、貴方が知っているのでは?」

「ううん、私その時転生の時を待っていた時間帯だわ。悪いけれど、とても理解出来る年では無いわ」

「・・・だよね。となると分かるのはあの人達だけ・・・か。」

「ウォイス・アイラス、フォルカ・ルアナ。この2人は知っているよね?」

「うん。2人ならきっと・・・。」

「でも、フォルカはともかく、ウォイスは多分殆ど教えてくれないと思うよ?」

「『歴史書物が見つからない限りは話す事はしない』という習慣、どうにかしたいものだな。」

「そうだね。・・・う~ん、でも彼の事だから嘘を見抜かれそうだしな」

「ーどのみち、探さないといけないのか。ハァ~・・・・・・俺でも溜息でるぞ・・・これは。」

「しょうがない事だわ。探さない限りは・・・」

「・・・うん、分かっているから」

そう言うと私はフードを被った。

「何処に行くの?」

「教会。あの人達ならきっと助けてくれるだろうから」

「ウフフ、行ってらっしゃい」

「・・・ああ」

そう言うと、私はドアを開けて遠くに行った。

「アッシュが動けば、結構分かる気がするけどなぁ~・・・まあ、いっか。私は私並に頑張らないと」

彼女は独り言の様にそう言って、館の奥にある図書館に移動した。

(・・・結局、真実を疑っちゃっているな。記憶を書き換えられる事もしなければ、そりゃそうなるだろうけれど)

そう思っている矢先、見覚えのある姿が見えた。

「ーお前か」

「あの書物の解読、出来たか?」

「うん、出来たよ。でも・・・」

「?」

「ただ、これの時代が不確定である以上、これが何の意味を持つか分からないんだ」

「それは仕方の無い事だろう。ー紙はあるか?」

「ハイ。ここに解読内容を書いてある。いい?この解読内容は決してウォイスの手に渡らない様にして。教えたら記憶操作されるかもしれないしね」

「それは理解している」

「じゃあ、私は『其れ』を探しに行ってくる」

「ああ、行ってらっしゃい」

「あ、館には彼女がいるから」

「分かっている」

彼はそう言って、私が先程通った所を通って行った。

 

疑問を解く為、私は歩まなければならない。

***********

英雄歴100年

結局彼が封じたのは『偽物』だったのだ。

本物は一体何処に、というと光が出来た時にはもう封じていた。

私がそれに完全に気がついたのは10年程前だった。

厳密に言うと薄々と理解していた。

しかし、絶対とは言い切れなかったから

蒼く澄んだ目は、それに気がついたというとそうでもなかった。

あの人ですら理解出来なかったのだから驚きである。

 

私は怯えていた。

誰も知らなかった話を話すなんて、照れくさい。

見方が変われば、人の扱いも変わる様に、この話も人によって解釈が違う訳なのだが・・・。

あまり考えたく無いので、これはまた別の話にしようかな。

・・・いや、言いたくない訳では無いんだよ?でも言った所で信じるかは皆に任せるし、仮にそれが『本当』だったとして、それを止められるかと言うとそうでもなさそうだ。

ー私はある策を思いついた。

以前ウォイスが教えてくれた術、『魂離術』。

仮に『あの人』が生きていたとして、私の元に引き寄せられたら。

1人で『2人』である私ならば。

あの人を沈める事が出来るかもしれない。

でも、もしこれで私が敗れてしまったら。

あの紅月と同じ様に狂ってしまう。

ルナに教えてもらった『最終手段』を使うのなら話は別だが。

ただアレのままだったら・・・。

***********

???(年代不明)

私は既に死んでいるんだ。まあ、それは病気のせいなんだけれどね。此処から50年くらい前に、私は当時『忌まわしき病』と呼ばれた病気に罹ってしまって、何も為す術も無く、私はそのまま死んでしまった。でも、これでも凄い方だったんだって。何故かって?本来その病は罹ってから早くて2ヶ月、遅くて6ヶ月、平均で4ヶ月で寿命を迎える筈が、私は1年3ヶ月続いたからね。しかもその前半は普通に遊んでいられたのだから驚きだよ。私も何があったか分からないけれどね。でも親友であるあの子の性質を考えたら、何となくあの子がいたからこうなったんだなと思ったよ。

親友のあの子は、最初は全く私に関わろうとしなかったけれどね。とある事件をきっかけに、仲良くなったんだ。そうだな・・・『レヴィアの崩壊』。何年も前に『レヴィアーデン』があったんだけれど、その文化が地味に残っていた国。親友は当時レヴィアで『最高権力者』として、レヴィアを動かしていたんだ。でも、とある女性が『ぴかぴかするはなび』でレヴィアを崩壊させたんだ。親友はそれを何度も経験していたから、戦ったけれど、親友は死にかけていた。それを知った私は、レヴィアに向かった。ー街は崩壊していたけれど、親友は生きていた。そして、私は確かに見たんだ。親友であるあの子が天使様になっていくのを。この街では『天使様』がいたんだ。あの子は最初こそ驚いたけれど、やがて私に真実を話した。何度も体験した理由、それは生きてもいないし、死んでもいない様な時を過ごしたからなんだって。私は驚いたけれど、それでもあの子を受け入れた。当時10歳だった。

その後、行く場所を失ったあの子は、私に相談してきたよ。「何処か私を受け入れられる場所は無いか」と。私は当時其処で働いていた魔導王国に連れて行ったんだ。そして私は言ったんだ。「此処で2人で過ごそうよ」って。あの子は悲しそうな笑顔で「いいよ」って言ってくれた。こうして私とあの子は魔導王国に留まる事となったんだ。あの子は魔導師だったのもあって、入ってから1年程で学校でいう高等部並の知力を得ていたんだ。魔術の種類も増え、あの子の実力はお城までも響いた。それは私にとってとても幸せだった。でもね、それと同時に少々嫉妬を貰っちゃったけれどね。

とある日、いつも通り生活したら、1人の女性に会ったんだ。「××を見て嫉妬しているだろう」と、私を突っついてきた。そして「ー殺せば良い」と言って、一緒にあの子を殺さないか、そう言ってきた。ー嫉妬はしているけれど、私はあの子が大好きだよ。私は1人の女性の悪魔の誘いには乗らずに、その事をあの子に報告したんだ。同時に城にも知らせた。この時点であの子は多くの人が知る有名人だった。だから、国が動いて、1人の女性を捕らえたよ。彼女はナイフで多くの人を暗殺した、その罪で死刑となって、処刑された。

でもね、これを心から喜ぶ事は無かったんだ。あの子はそのまま何処かにふらりと移動したから、ついてきたんだ。そしたらあの子は「どうしてああなったんだろうか・・・?」って言っていた。あの子曰く彼女は元々はそんな事をしなかったと言っていた。あの子は最後に「ーこれも満月の夜に目覚める悪魔のせいなのかもな」と言った。

それから約1年後。私は急に息が出来なくなった。急いで病院に行ったよ。そしてその症状から2時間くらい経った時、私は知ってしまった。その病気は不治の病だった。原因不明なのか、その症状を罹った人で生きていられるのは3ヶ月くらいだった、と医者が言っていた。あの子は悲しんだ。目の前で大泣きしたんだ。もしかしたら、私の目の前であの子が泣くのは今回が初めてだったかもしれない。

景色が朦朧(もうろう)として見える。声も掠れて聞こえる。もう5分もしない内に私は此処を去るだろう。あの子は無理して笑っていた。多分、病気に罹った時から約束していたのがあったからだろう。「ーせめて笑って欲しい」って私が無茶難題を言ったからだろうな。しかと握り絞めているあの子の手は暖かった。もっと一緒に暮らしたいよ・・・とそんな掠れてしまった心の声を叫び、「また会える気がするよ」と声を発した後、私は静かに眠りについた。

 

ー私は人間界に戻っていた。可笑しいな、確かにあの時確実に永遠の眠りについた、そんな感じがしたんだけれどなぁ。と思っていたら、身体があったのに気がついた。見覚えの無い服があり、そして何より暖かった。誰が私を呼び起こしたのだろう?目の前にガラスの様なドアがあったので、開けてみる。説明すると、まず部屋は大体1LDKくらいの広さで、奥側(此処が奥側と思われる)にドア(らしきもの)がある。そして私目線右側には多分1000冊はあるであろう本棚があり、左側には手術室と思わせる実験台があった。手前には実験に使いそうなメスなどがある。そして先程私が入っていたカプセルの様なモノは、おそらくは何かを改造する際に使うのだろう。とりあえず一言でまとめれば、此処はどうやら『研究室』の様だ。まさか、私が研究されて生き返った?そうゆう思考回路を辿っていた。その時、向こうのドア(?)から人がやってきた。

「大丈夫か?」

その声には聞き覚えがあった。恐る恐るその声の主を辿っていく。・・・やはりそうだった。その声の主は、『あの子』そのものだった。全く動じない無愛想の顔、人と人形の堺目にいる様な雰囲気、冷淡で感情が分からない声、成長するのも老いるのもしない身体、全てが当時のあの子と一緒だった。強いて言うのなら、更に感情の変化が乏しくなった事くらいだろうか。いや、でもその感情の変化はおそらくは更に悲しい経験をしたのだろう。そうでも無かったら、こうして私を再び目覚めさせたり等と、しないと思う。でも今の私は他人なのだと、何となくだがそう感じた。それを頷ける情報がいくつかある。そう、大事な人だったのは覚えているけれど・・・。

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 英雄歴0年ー夏

「ーようやく目が醒めたか」

「・・・此処は・・・」

「立てるか、ガナール」

「はい、立てます」

むくりとゆっくりと倒れていた身体を立たせた。

「名前、分かるか?」

「・・・・・ガナール。・・・ガナール・・・・イプシオン」

「そうだ。それがお前の名前だ」

「・・・そうですね・・・ウォイス様」

「そう・・・痛い所とか無いか?」

「今の所問題はありません。少し頭痛がしますが・・・」

「それは多分後遺症なのだろう、しばらくすれば治るだろう」

「そうですか。それなら問題無いですね」

「・・・ああ。それともう1つ。『その姿でいるのは止めた方が良いだろう』」

「え、それは一体・・・」

「・・・・・・狙われない為だ」

「ー了解です、ウォイス様」

「そう・・・いい子だな。・・・宜しくな、ガナール」

「・・・ハイ」

そう言ってガナールはウォイスの手をしっかり握った。ウォイスも微笑んで、ガナールの手を握り返した。

***********

continue

next Inizio della follia

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場面少々少なかったww あと文字数がね・・・ww

ある程度進んだのは良かったんですけれど、途中でサーバーが切れたりして・・・ね。なので、一部未公開のままにしちゃいました。続きみたいなの出しますね。では。因みにこれの関連カテゴリーは未公開です。不明記録という事と本編に関連する事以外は教える気がありません。

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。