無題~Aumentare gradualmente il
日に日に増える予定です。
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Day eyes
「やっ!!今日もいい天気だな~!!」
「・・・そうだな」
「もう~、もう少しノリを上げたらどうだ??ほら笑って笑って!!」
「・・・何であの時僕を助けたの?英雄だからって、あれは」
「理由?いじめられている子を助けるのは普通だと思うぜ?あと、もう1つ言うならば彼がそうして欲しいと願っていたからな、意思を引き継いでいるっていうか・・・俺自身、そういうのが嫌いだからな、それもあるだろうし」
「それって一体・・・」
「まあ、『少しでも多くの笑顔が見られたら』をモットーに動いているからさ、ああやって助けたんだぜ?」
「僕なんか生かしても意味なんて」
「誰も生きている事に意味があるんだよ。自ら命を絶った人でも、意味は存在する。最低でも父親・母親とかは必要とするだろ?・・・俺は自殺が嫌いだ・・・何故、同じ種族なのにも関わらず仲間はずれにするのか?人類が発達しすぎたその代償がそれなのか?」
そう言うと、あの人は空を見た。
あの人は不思議な人だ。此処の風習で忌み嫌われている僕を、助けたのだから。ーあの人は「当然の事だろ」と言って笑っている。でも正直言うと、裏がある気がした。そう、それこそあの人本人がいじめに遭っていたりとかしているのでは、と思うのだ。でも無邪気すぎるその笑顔は、正真正銘と言っていいぐらい輝いている。多分、心の底から笑っているのだろう。
「・・・どうしてそうして笑顔でいられるの?」
「言った筈だよ?まずは自分から笑っていないと!!」
本当にあの人は不思議だな。見ているこっちも笑えてくる。
そんな感じを堪能しつつ、僕はあの人の話を聞いたのだった。
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Giorno 2
ガナールは精神的に負担が掛かっている点がある。
なので、あの方は時々眠りについている。普通の人よりも、少々長い。
ルナはそれをどうにかしようと試みようとしていた。
ガナールは「それで構わない」と言って、寄り添った。
私はアファレイド魔導王国研究所でルナの助手を務める、『ポフィル・フルーフ』である。
赤い眼鏡をしているのが特徴的だとよく言われる。
『ギリシア計画』を進める人の1人である。
ガナールとルファーはその計画で作られた者である。
執行者はルナだ。ウォイスも時々手伝っている。
今、5人目の生命体を作っている。
ガナールは『ε』、ルファーは『α』、今作っているのは『γ』である。
5人の中でもガナールとルファーは少々特殊である。
まず、『ギリシア計画』で作られた者・・・早い話、『Other harf』の者は身体の何処かにそのモチーフとなったギリシャ文字(ガナールだったら『ε』)を入れる場合が多い。
2人はその文字が身体に刻まれていない。
そしてもう1つ。これはガナールにしか無いが・・・。
ガナールのみ、忠誠を誓う者が『ウォイス』である事である。
基本『Other harf』はルナに対しては様付けする。
しかしガナールは例外でルナには普通に接し、ウォイスに様付けする。
そう言った辺、あの方はとても特殊な立場に立っているだろう。
事実、ガナールは『ある人』に似せて作ったという噂がある。
その噂は本当かどうかは知らないが・・・。
ただガナールは言ってみれば『形の無い生命体』だから、そこいらも考えるとそれらしい様にも見える。
・・・ただ、私でも詳しくは知らないけれど。
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Troisième œil
「・・・シルバー、これどうしよう?」
ガナールが急にそう言ってきた。目の前には傷付いた鳥がいる。それで何となくお願いしている事を察した。
「怪我をしているんだな?・・・これは」
「そう。お願い」
「ああ・・・助けてみる」
そう言うと、俺は小鳥を見てみた。
~中間~
Τέσσερα μάτια
「・・・うわ、これ結構傷が深いな・・・意識も朦朧(もうろう)してるじゃないか・・・」
シルバーは小鳥の様子を見ていた。シルバーの言い分では、小鳥の傷は結構深く、最悪治療する所か、悪化するかもしれない。との事だった。
目を蒼くして、彼はこう言った。ー付け狙われていると。
「それは一体・・・!?」
「ノイズが掛かっているから疑問に思ってさ。読心術を使ったら・・・聞こえてしまったんだよ。「ー潜入に成功した」ってね」
「・・・じゃあこの会話も・・・」
「ああ、筒抜けだろうな。そうじゃなかったら背後に敵が現れる訳無いだろうし」
後ろには、敵が3人程度いた。見た感じではおそらくはメイジ辺の実力を持つ魔導師だろう。いつでも私達を殺せる様に準備をしていた。
ああ、だから詳細を教えなかったのか。そう、これは彼自身が以前言った事なのだが・・・覚醒の力は、諸刃の剣なのだそうだ。覚醒すると、慣れてない身体になる為、後遺症が強いそうだ。ダメージが無い場合もあるが、軽傷だったら筋肉痛、最悪失明などもする場合があるらしい。自我に目覚めてない者に使えばそれは付いていけるので、そういう後遺症は無い。今回のシルバーの場合だと『見えすぎて』精神的に辛いだろう。把握している分、比較的無茶をせずに戦えるのだが、覚醒した状態で身体を休めるのは出来ないのだ。回復は出来ても、身体の疲労感は溜まっていくのだ。ーシルバーは最初から理解しきっていて、無茶をしなかったんだと此処でようやく分かった。
『ーシャドウだったら、『逆』なのかも知れないけれどな』
何となくそんな声がした。確かに『あの能力』を考えてみても、そんな気がする。
「シルバー。此処は私が抑えるから、君は補助を頼む」
「ああ。分かっている、ガナール」
私は幾多のナイフを構え、そして影に当たる様に勢い良く投げた。
「・・・影踏静止、止まれ」
冷淡にそう言う私の後ろには、半分個体の縄の様なモノを持ったシルバーがいた。目の色は黄色、覚醒能力は使っていないだろう。
「傷巻水華!!」
縄の様なモノは徐々に氷となっていく。5秒もしない内に相手は氷に貼られ、動けない状態となった。
そして、私が投げたナイフは2人の相手の影に命中し、全く動けなくなった。
「俺達を舐めてもらっては困るな。こうなんでも普通にソニックと対等に戦える力は未だに健在しているんだぜ?」
「・・・私も、ウォイス様の従者ですから、これくらいはやらなければ、ウォイス様に愚痴られますよ。さて、シルバー。この人達をフライにするかベイクにするか、どちらが良いかな?」
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五日目
ああ、暇。
誰だ?そんなに暇を持て余している奴は?
握って、壊せば良いのか。
そんなのあってたまるものか・・・・・・。
意思がこんなに小さいとは思っていないけれどさ。
でも流石にそんなになったら酷くない?
それが貴方の望む世界なら。
静寂を求むモノに次いだ、膨大なるセカイ。
邪魔だ、オレの邪魔をするな。
お前の求むモノがオレを求むモノとは違うのは明確だ。
だから、オレはお前の意見を拒んだじゃないか・・・。
邪魔と拒んだ者は叫ぶ。
「それがお前の望む世界なのか」とお前に問ふ。
私はそれを目に映っておられたのだ。
邪魔と拒んだ者ーもといオレはお前の理想を拒んでいる。
本人は理解しきっている。
『貴方の望むモノと君の望むモノは違っても、どちらにせよ絶望は誕生するだろう』
私がそういう類を信じた。
傍観者である私は、第三者の考え、つまり正論を言う権利がある。
どちらが正しいか。そんなの私以外理解し得ない。
・・・まあ、因縁なんて、たかが知れているだろう。
そう考えてしまった私がいた。
けれど、その因縁ってとてつもなく大きすぎて、理解しきれないよ。
だって、この『全て』が其処で此処で起こっているのだから。
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Day 6
・・・苦しい。
この状況もそうだが、頭痛がする。
多分、アレなのだろう。
「!!」
目が覚めた。目の前にはシルフィがいる。
「大丈夫?戯言の森で倒れていたのよ?外部に怪我は無いけれど、内部の怪我が凄かったから、独断で悪いけれど、裏世界に行かせて貰ったわ。んで、此処は私の家よ」
「ーああ、ありがとう」
目覚めた後も耳鳴りがする。まだ頭が痛いし・・・、気分が悪い。
「・・・やっぱり。はい、これで少しは良くなると思うよ。結構熱あるみたいだけど、大丈夫?」
「うん」と縦に顔を振る。正直言うと、こうして返事をするのですら億劫(おっくう)だ。
「ゆっくり休んでていてね、シルバー」
「ああ・・・・・」
ふかふかのベッドで死ぬ様にして眠った。
~中間~
めかのな
『応答しろシルバー!!応答しろ!!』
叫ぶ声。目を開けるとシャドウとルミールがいた。但しシャドウは掠れている感じがした。言ってみるなら、今にも消えそうなモニターという感じだろう。
「ー痛っ・・・。・・・シャドウ、ルミールじゃないか、どうかしたのか?」
「どうかって言われても!!シルバーさっきから叫んでいるのに唸っているんだよ!!」
「・・・え、それは一体・・・?」
『反応が凄いのだ。人柱の鼓動がな・・・、抜かれている僕ですら少々貴様の声がするのだからな』
「鼓動・・・?人柱・・・っ!!」
「大丈夫!?」
「ああ、大丈夫だ・・・人柱、そうだ。呼ばれているんだよ・・・自然と身体がフラ~って移動しちゃって。抗いすぎると頭が痛くなって・・・」
「拒んでいるの!?今すぐにでも結界の所に行かないと!!」
「ああ・・・今行く。嫌な予感がする・・・けどさ」
ああ、目眩がする。もしこれが結界を拒んだのなら・・・私は何を求めているのだろうか?
『・・・先程僕の方にも身体が。ー限界なのか、それとも新たな導きをするのか?』
「とりあえず、結界のある所ーアポトスの教会へ行こうよ。カオスコントロール、出来るんでしょ?」
「そう、だな。んじゃあ俺は行くとするか・・・カオスコントロール!!」
『あ、おい待て!!シルー』
何か言いたげだったシャドウの声は途中で途切れ、目の前には元々宗教大国だったあの風景が目に浮かんだ。
「ーさてと、始めようかな」
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Hari ke-8
「ガナール」
「・・・何ですか、ウォイス様」
そう言い、私は微笑を浮かべる。
「ーこれから、俺は戦う」
「・・・なら私も一緒に戦いますよ」
「いや、戦わないでくれ」
「どうしてでしょうか?」
「・・・お前になら全てを打ち明けても良さそうだな」
ウォイス様は私を見て、頬が緩んだ。そして彼は悲しげに笑った。
「・・・どうしたのですか、ウォイス様?」
「ーあの事件を引き起こしたのは、俺があの人を殺せなかったから起こった事件だ」
「・・・?それは一体」
「この事件の黒幕はあの人ではない。他でも無い、俺なんだよ・・・全ては俺が行った行為で、大切な人ーそれこそソニックやスペードが死んでしまう結果となってしまった」
「ー知ってましたよ。認めたくありませんでしたけれど、自らこう口にするのを、私はずっと待っていました」
「こんな俺でも・・・忠誠を誓うのか?」
「ーええ。貴方の笑顔が私にとっては一番の悦楽なのですから」
私は微笑んだその瞬間、彼は私を抱きしめた。彼は珍しく泣きそうな声で耳元に囁いた。
「・・・お願いだ。俺が時間を稼ぐから、お前はシャドウとシルバーと共に・・・逃げろ。必ず、逃げ切ってくれ」
「ウォイス様はー?」
「あの人にいる『あいつ』を引っこ抜いてくる。安心しろ、俺は不老不死なのだぞ?また戻ってくる」
彼は笑う。しかし私にとってその言葉は『死』を決意していると察した。それこそ、本当に天国に行ってしまう覚悟を持って。
「・・・死なないでください、見えるんです。貴方とあの人が血まみれになって争う所がー」
「大丈夫だ。俺は死なない。死ねない身体になっているのだ、何も焦ることも無い。ーただ1つお願いがある。あの人らを生かしてくれ。名前は・・・言わなくても分かるだろう?」
「ええ。ウォイス様の願いとあれば、私はそれに従います」
「そうか」
彼は後ろを向く。月の光に反応して、姿を変えていく。やがてその姿はかつて彼が「化物」だと恐れたあの姿となった。
「ーもう、化物だなんて言わないのですね?」
「・・・もう化物だとは言わせたくないのだ。今までは怯えていたが、今ならば大丈夫だろうな」
「そうですか。・・・ウォイス様、必ず生きて帰ってきてくださいね」
「ああ。分かっている。本当にお前は彼に似てるな」
ウォイス様はぽそり呟いた『彼』はおそらくは私の事を指しているのだろう。ウォイスはその後は何も言わず、ただ歩いていき闇と同化して消えた。
「ウォイス様の願いは、叶えてみせます。シャドウ、シルバー、スパーク、サファリ、シャオン、ステア・・・あとあの人達も」
私も時間稼ぎしてもらっている間に逃げなければ。私はウォイスの進んだ方向とは逆の方向に走り出した。
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Nove occhi
久々に訪れた場所。私は屋上に立っていた。この景色は綺麗である。
「ああ、綺麗だな」
海に照らし出される月はユラユラ揺れ、光は乱反射させて大人の気配を漂わせる。
私は静かに歌い始めた。この歌声が誰かの人に届くのなら、それで良い。
「~♪」
私の歌声を聴いて、耳元を傾ける者。窓を開けてより大きな声を聞きたい人。
私は『形の無い歌手』である。
よく此処いらではこんな噂が流れる。『月が儚げに海に映りだされた時に天使の歌声が聴こえてくる』と。ロマンチックな話だが、ネタ明かしをすればその天使の歌声とやらは私の歌声である。
時々私は教会の上に立って子守唄を歌う訳なのだが、その歌声が偶然上にいた人が私の歌声に惚れ惚れしてしまって広まって出来たのだろう。
因みにこれを知る人は誰もいなかったりする。
今宵もまた、歌い続けるのだ。少しでも人が心から笑える為に。
ゆっくり冷たい空気を吸う。
今日歌う曲は『Benedizione di pace』である。
皆に届け、安らぎの声をー。平和の祝福を・・・。
『ー少しでも多くの人に、心の祝福を』