夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

日記ノ十二ノ巻~???

眠っている。見た感じは、だが。眠っているが、起きているんだ、多分。

多分起こそうとしたら、捕まるパターンであろう。

詳しい事は知らない。しかし、そんな気がするだけである。

やけに余裕のある空気が流れているから、尚更罠があるんじゃと思ってしまう。寝顔を見ていると癒されるのは、多分夢を見ているだと思う。

「おい、貴様。いつまで寝ているのだ」

グレファが強く言っても、相手はまだ反応しなかった。「むにゃむにゃ・・・もう少し」と言ってはいたが、起きている様には見えない。相当眠かったのだろうか。

「起きろ。・・・お前といえど、寝すぎだろ!!」

彼は無理矢理布団を上げて、眠っている彼ーアッシュを起こした。

「うぅ~。もう少し、寝ても良いじゃないか・・・・・・眠いし、寒いし」

「お前は熊か!!待たされているんだぞこっちは!!」

「だってさ~、まだ何時だと思っているの?まだ3時、近所迷惑この上ない。後で謝ってよ??私のせいにされても、困るし」

「アッシュ、お前もう少しビシッとしたらどうだ」

「・・・ビシッとはなっている。こんなんでも結構頑張っているんだよ?」

アッシュはそう言って笑顔で答える。ほのぼのしている顔が、彼を更に怒らさせた様だ。

「貴様、喧嘩売っているだろ。集中した時のお前はそんな事、やってないだろう?」

「良いじゃない、別に遊んで。此処、結構気に入っているんだよ?」

そう言って、アッシュは新しい機種のフォンを自由に操っていた。相当早いスピードで何かを打っているが、何を打っているかは全く分からなかった。

「ねえねえ、一つ気になっているんだけどさ」

「・・・何だ、変な質問するなよ?以前『私って和風、洋風どっちが合う?』って聞いた時、本気で迷ったのだからな?」

「いや、今回は本気なんだ。あ、紅茶無い?」

アッシュは「喉が渇いたから」と言って、私に質問してきた。ある、そう言うと私は砂糖を多めに入れた紅茶を注ぎ、彼に渡した。彼は甘党であるが、科学関連の甘い物はそこまで好きではない事を知っていた。よくエクレアやシュークリームを食べているのを目にする。たまに「そんなに入れて糖尿病になるんじゃないのか」と思う位甘い物を食べるが・・・。と考えている内に運び終え、「ありがと」と言った後、彼は微笑んでグレファに質問してきた。

「んーとね。アファレイドの書物って無いかなぁ、ってさ」

「割と本気だな」

「割とって・・・私の基準可笑しいでしょ?まあ、そんなのは良いんだけどさ。何か魔術の過去って何かと不明点多いからさ。あの人に聞くのも良いけどさ、あの人の事だからさ」

「断ってしまう、と」

「うん。だからあの人とっ捕まえようよ」

・・・・・・何か明らかに可笑しい言い方をした奴がいるが、大丈夫だろうか?捕まえるって一体何で捕まえる?第一あの人勘鋭い上、既に周り警戒しているのにどうやって捕まえると?

それを言おうとしたらアッシュは笑った。多分、顔が表に出ていたのだろう。

「可笑しいでしょ?でもさ、面白いの好きなんだよね。あとこんな私だからこそ、出来る事って、あるでしょ?だーかーら。遊ぶ!!」

「「はい??」」

「ほらほら、もう少し遊びたいんだし、行こうよ、ね?」

そう言うと、彼はグレファと私の服を掴んで、走り始めた。

「お前、何か変わったな」

「ん?そうかな??そんな感じ全くしてないんだけどなぁ」

「態度もだが、雰囲気が変わった感じがしてな。ほんわかな雰囲気を出して、人を惹きつける様な部分、あるのではないのか?」

「んー、あるといえばあるかな?私、極力悲しい事思い出したくないから、+思考でやろうかな、ってさ。いつまでも過去引きずるの嫌だし」

「でも、たまに思い出してしまう、と」

「・・・うん。あーもう!!暗くならずに、笑顔笑顔!!暗かったらいつまでたっても明るくならないよー!!」

そう言うと、アッシュは腕をパタパタ動かし、プクーと可愛らしく膨れ上がる。可愛らしく、怒っているけれど、笑っている様にも見えた。

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。