夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

一時の安眠に・・・~Parallel ending

目の前にいる貴方は微笑む。

それは、貴方なのかは分からないけれど。

「ー此処が私が求めた事なんだ」

笑う貴方は眩しく見えたんだ。

平凡な生活の中で、様々な波乱が起こってさ、こうして真剣に顔を合わせた事は無かったかもね。

でも、それで良いんだと私は思うよ。

平和が訪れた世界に、祝福を。

 

 

 

「ねえねえ、これはどうすれば良いかな?」

私がそう尋ねると、貴方は「此処はこうすれば良いんだよ」と言った。気が付けば、私と貴方の身長が追い抜かれてさ、ビックリだよ。でも、それが貴方が望んだ成長なんだよね、きっと。

「ありがと」

「そう言って貰うと嬉しい」

少し照れてそう言う。私はそう書くと、一通りまとめられた。これで、多分大丈夫だろう。貴方がそう言って、穏やかな顔になるのは何年前の出来事以来でしょう?

「・・・結局、これで良かったのかな」

「きっと、良かったんだよ。・・・皆、喜んでいるんじゃない」

「そう、かな。悲しんでいる子がいたが」

あれ以来、皆は平凡に生活していた。私達はこうして日常生活を送れるのは、とても充実していて、普通が特別に感じられた。特別が普通に感じちゃったから、普通がこれほど素晴らしいものか、分かったのかもしれない。

貴方がこう言っていた。「もしもあの事件が無かったらどうだろうか」と。全てが狂った事件、あれが無ければこんな悲劇を起こらずに済んだ。そして、私もだけど沢山の人がいなくなってしまっていたのかもしれない。その数は歴史あればある程増える訳だから、あの事件が存在しなかったらあの国は無かったかもしれない。

もし、貴方があの人を殺せていたらあるいは救えたのかもしれない。そしたら、貴方もこんなに遠回りせずに平和に過ごせて、幸せに普通の人と同じ様に眠れるのかもしれない。実際貴方はそう言っていた。

もしかしたら、こんな日々が幸せと感じているのは、全てが悲しすぎたからかもしれない。もう皆こんな思いをせずに済むのだ。もしかしたら、またこんな事件があるのかもしれない。でも、そうしたら多分私達の様なヒーローが此処に降りてくるんだろうなぁ。そしたら、私達先輩だね。

「ねえ、終わった事だから一つ良い?」

「・・・何だ?」

「どうして、彼の誘いを断ったの?貴方も彼処に残れば良かったんじゃないの、彼らと共にまた生活が出来るんだよ?」

「ちょっと疲れちゃってさ。・・・少しだけ休みたいんだ、1年位」

「そっか」

 少しだけ背伸びして、貴方はベッドに倒れた。貴方がこれほど幸せそうな顔を浮かべたのは初めてなのかもしれない。

ピンポーンと、いつもの音が鳴り響く。嗚呼、きっとあの子なんだね。

「はいはーい。いらっしゃい」

「おお、久しぶりだな。えーと何れ位前だったか?」

「今日で大体1ヶ月ですね。お久しぶり」

彼は微笑む。その傍らにはあのメンバーが立っていた。当然其処にはあの子と彼が立っていた。

「お久しぶりです、シルフィさん。それと・・・あの時はありがとうございました」

「良いのよ、それくらいは。入って入って!!貴方の師匠さんもこの中にいるんだから!!」

今日は久々にパーティーを開こう、という訳で貴方の屋敷をパーティー会場にした。元々敵だった者も、守護者だった者も、皆で笑い合おうよという訳で皆に招待状を送った。

そして、私達個人の方であらかじめ私の家で待ち合わせして、私達だけで小さなパーティーを開こうってなった。執行者は私である。彼らは急な誘いなのにも関わらず、そのパーティーに参上した。何でも色々話がしたいからとか何とか。まあ、関わった時期はそこまで長くないから、きっとこんな機会だから、仲良くなっちゃおう!!っていう些細な気持ちからであろう。

そして、彼らは後から来ると言っていた。

 

「いや~、美味しい!!これ後でレシピ教えてくれる?」

「後で教えてあげるね。んー、今回ちょっと塩加減間違えたかな・・・」

今メンバーは7人。もう既に賑やかである。呼び出したのは4人だったんだけど、きっと乗ってきた人がいるんだろう。皆が笑い合って食事を取る中、貴方は規則正しい食事をしていた。

「・・・そこまで緊張しなくても良いのよ?」

「うん、ちょっとな。・・・まだ、この空気に慣れてなくてな」

「・・・頂き!!」

「あー!!私のが!?・・・食べたでしょ?」

「いや、ほってない取ってない」

「絶対食べてるでしょ!!」

彼は彼女の肉を食べたらしく、彼女は殴ろうとしていた。

「何か、面白い事になってますね・・・」

「まあ、あれが日課だから、気にしなくていいよ」

そう言って、呑気に他の料理に移す者もいた。

「おい、こんなに暴れるな・・・ってあれ?俺のチキンは」

「頂き~!!」

彼の手にはまだ手つけずのチキンが・・・。

「あ、おい!!俺のチキンだぞ!!」

貴方は怒って、そのチキンを取ろうとした。ー貴方も随分と丸くなったと思う。怒っている貴方も、顔が澄んでいて、笑顔であった。

 

 

 

 

 

「久しぶり」

貴方は健やかな笑顔で私達を迎えた。相変わらず貴方の顔は年齢の割に幼くて、可愛かった。

「久しぶりだね、調子はどう?」

「大丈夫。もうこれで縛られなくて、済むんだよね?」

「そうね、ようやく自由になれるよ」

「良かった・・・」

少し貴方はホッとした顔をして、私を見た。

「・・・で、この様子だと暴れまわったみたいだな」

「皆元気が良すぎちゃってね。彼の笑顔が見られて嬉しいんだけどね」

「そうか。ーあ、シャドウこっちこっち」

貴方はシャドウを呼んで来た。シャドウはこっちに気づいたらしく、こっちに寄って来た。

「久しぶりだな、1ヶ月しか差があったのだが、もう1年位経った様な気分だ」

「貴方も散々でしたからね、後は十分に休んでくださいね。休暇は取っている?」

「ああ、長官が気遣ってくれてな。時々休暇を入れてもらっている。・・・まあ、身体をずっと使わないでおくと身体が弱ってしまうからな、最低源やらねばならない事はやるがな」

「そういえば、昨日アンタ俺の近くにいただろ?」

「近く・・・か?」

「いや、だってあの時アンタ立っていただろ?誰かと待ち合わせしてたのか?」

「ああ、ウォイスがな。彼らの服を選んで欲しいって言われてな・・・」

「それなら俺も呼んで欲しかったのに~」

「昨日、お前小説の発売だか何だかで、握手会か何かやってたのではないのか?それを放棄するのは・・・」

「あのな、それ終わったの午後3時!! それ以降はフリータイムだったんだぞ!!正直見ながら羨ましいって思ったんだぞ?」

何か軽い喧嘩が始まった様だ。少々呆れながらも、私は奥を見た。ーいた。

「・・・不気味ですかね?」

「いえいえ、別に不気味じゃないですよ・・・顔、出てて良いんです?」

「ーちょっと位なら、って。可笑しいですか?」

「いえいえ。貴方も素敵だと思いますよ」

「そう・・・。それと、あの時はありがとう。もしかしたら、死んでいたかも」

「そんな縁起でもない事言わないでくださいよ。貴方も望んでいたのでしょ?」

「そんなんですけれどね・・・」

「で、貴方はこの後どうするの?やっぱりあの子と一緒に過ごすの?」

「そうするつもりですよ。あの風景を、私は見たいのですから」

「そうなんだ」

君が笑うと、先を見つめた。もう此処は夜で光がロマンティックに光っている。君はきっとこんな風景が好きなんでしょうかね。ーもう、ああやって攻撃する事も無くなったから、もう消えちゃうのかなって思ったら、君は反対したんだよね。確かあの子も反対だった。これからも一緒に生きていきたい、と言っていたと思う。

 

・・・私が見ていていたこの光景が、夢みたいで嬉しかった。終わっていたから、綺麗な星が見えてさ、綺麗だったんだ。こんな経験が何程前にあったかなんて、もう忘れてしまった。ーでも、だから、これで良いんだと、私はそう思うんだ。

 

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終わり。

 

あとがき

パラレルワールドの出来事。実際になるかは、分からないのですが。視点はシルフィ統一でやりましたが、色々なキャラを出しました。こんな雰囲気になったら良いなー位な感じで書いたので、少々あれですが、気にしないで良いです(

・・・ノリでこういう雰囲気になったのは、分からないんですが。では、終わらせて頂きます。 閲覧、ありがとうございます。

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。