Waltz of desire
今日は我が満ちる日だ。周りの者は、我に向けて祈ったりするのだ。儀式とやらを行う者もいる。皆、我に何かをお願いしているのだ。
・・・だが、見ないで欲しいのだ。今日は・・・
「それを隠してあげようか?」
そんな声が我の耳にあった。しかも、祈っている方向からそれが発している様だった。我は驚いた。我の声、届く筈もない。私はお願いした。・・・それが長く続くかもしれないと、その声の主の忠告を飲み込んで。
私は隠してそれを見下ろしている。他の人はそんな事を知らずに今日もまた、日が過ぎていく。私はそれを永くそれを見てきた。
私はよくお話に出てくる。それに関する伝説等がよく聞いてくる。「一番事故に遭いやすい」等酷い事もあるが、厳しい暑さも和らいだ時期に白くて丸い食べ物(噂ではそれを『団子』と呼ぶらしい)と、何かの植物か何かを飾って私を眺める時期もあり、めでたい(と思われる)時期もあるものだ。
さて、隠してくれた子は一体何をしているのだろうか?探してみても見つからなかった。何処か見えない所に行ってしまったのか? と、あの子は古ぼけた墓の前で祈りを捧げていた。綺麗な赤と青と黄色で囲まれた空間に囲まれながら、あの子は祈っていた。何かブツブツと唱えていた様だったが、何を唱えていたかは分からなかった。
「何を話しているのだか全く分からない」
そう呟いていたのを、あの子は耳にしていたら、困るものだが・・・特に気に留めなかった。この世界の生物は不思議なものだ。
明日は欠けていくのだろう。