とある日の出来事。
注意 ・番外編です。
・少し腐向け
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今日は珍しく彼女が散歩している。その隣には誰かがいた様だが、俺にはさほど関係無い様だった。
ハロウィンだから、と言われて無理矢理着させられたが・・・正直これもまあ良いかと思う位に似合っていたものだから、このまま着ていた。
着替えた時の姿を鏡で見てみた。ローブみたいな黒い服、そして白いシャツを着て、下はズボン。俺が着ている服と少し似ているのは俺の事を思っての事であろう。そうでなければ、「もっと独特の服装しときゃ良かったかなぁ」と呟かない筈が。
彼奴は俺の格好に気づいた様だ。少々驚いた様な顔を浮かべると、俺の元に歩み寄って来た。
「・・・何やってるの?」
「言うか」
「面白い格好しているんだねぇ。ああ、Your fatherとか言ったからものだから、これくらいは・・・」
「煩い、黙れ。血吸おうか?」
最初は冗談混じりで言ったのだが、彼女はスイッチが入った様だ。
「貴方に吸われて死んだらそれで本願だ」
「・・・俺、殺せる程血飲めないぞ」
いや、厳密に言えば『理性を保った状態』でやるのが無理なだけだ。別に理性をブッ飛ぶ程血を吸うつもりなどない。・・・冗談混じりで言ったから、尚更だ。
「少食なんだねぇ」
「違う、主食は血じゃない。俺も普通のモノを食べる。むしろそっちが主食だ」
そう言って睨むと、彼女は何かを言いたげだったが、言おうとした時、彼奴が急に耳元に囁いてきた。
「・・・貴方ってそんな事をしてたのですか」
急に私の耳元に囁かれた上、背筋を凍らせる様な声で言うのだ、私は猫の様に奇声を上げてしまった。
「う・・・うわぁ!!何だ、一体・・・お前には関係無いだろう」
「大アリですよ!!私の生活を邪魔して!!」
「ああそうかいそうかい」と適当に誤魔化しながら、彼を品定めするかの様に全身を見た。吸血する為だ。あまりしないので、そういう目で見なかったが、見てみると意外と美味しいかもしれない。・・・ちょっと甘そうだ。
ー知らない間に俺は彼に歩み寄っていた様だ。彼は少しだけ怯えている様な顔で私を見る。
「なんです?」
「・・・美味しそうだ」
俺は彼の頬に右手を優しく当てる。俺は少しだけ微笑むと静かに「ー貰うぞ」と言って、彼の首筋を噛んだ。やがて、少しずつその液は俺の舌を通り始める。・・・絶妙な甘さと少しほろ苦い、大人向けのチョコレートの様な味がした。彼は驚いていた。無理も無い。今俺がやっている行為は、明らかに人間とはかけ離れているのだから。
「・・・っ」
沈黙が走る。俺達の所だけ時が止まったかの様な感覚がする。小声で何かを囁いていた様だが俺にはそんな声は聞こえなかった。やがてその状態が10秒程続くと、噛むのを止めて、彼の元を離れた。俺が噛んでいた所には穴が空いていた。
「すまないな」
「いえ・・・・・・」
彼には気づいて無かったかもしれないが、俺は気づいていた。ただそれを表に出さず、この後の会話をしていた。だが、何をしていたかは・・・いや、言わないでおこう。その後何があったかは、ご想像に任せよう。ああ、それが良い。