夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

幻想の赤月  0-01章 Beginning of the ruin

The 1st day

 

「~♪」

水を育てていると、作物は大きく育っていく。何の作物は分からないが、育てれば食べられる。美味しいと思うから、育てているのだ。

この作物は友人から貰った物であり、育てている。・・・冬だが、冬に収穫する物もあると聞いて俺は目を疑った。世の中、常識に囚われてはいけない様だ。

俺はあの時を振り返ってみた。春にはもう一人の俺に出会って、夏には彼によって失踪したことにされ、秋にはウォイスの故郷の一つの国の王宮で襲撃に遭ったり・・・よく考えたら俺はよく被害者にされる。大体ウォイスのせいだと言いたいところだが、色々縁があって反論が出来ないのが今の現状である。

「ソニックにとっては未知の冒険ばかりで楽しかったのだろうな」

・・・俺はそういうのはご遠慮願いたいのだが。

と等と考えていると、ふと疑問に思った。

「・・・あれ、この作物こんなに早く育つのか??」

袋の説明には「1月~2月の間に収穫する」と書かれているが、12月に収穫できる位に成長・・・異常なのか、異常じゃないのか分からないが、不思議だ。

(まあ気のせいか)

俺は何も考えず、お昼寝することにした。

 

~中間~

 

客が来たという合図で、俺は目覚めた。慌ててドアを開けるとそこにはソニックとシャドウがいた。

「よ、シルバー!!・・・寝癖立っているが、もしかして寝てたか?」

「・・・あ」

ソニックの助言で気づき、手で頭を触れてみると、ボサボサであった。

「・・・昼寝してたから。くそ・・・」

「準備してくれよ、ちょっと買い物したいからさ」

買い物ならお前一人でやった方が良いだろ・・・等と思っていたが、まあたまには彼らと遊ぶのもいいだろう。

「・・・いいぜ、ただし『全部持たせるのは禁止』な」

「何だと!?」

「お前と一緒にいるといつも荷物係じゃん。こっちの買い物にも付き合ってもらうぞ」

「分かった!!分かったから!!包丁とかをサイコキネシスで浮かばすのは止めてくれ!!怖い!!」

半ば脅迫に近い説得で、彼は怯えていた。・・・包丁がそんなに怖いのか??

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シルバー ステーションスクエア

 

「ふう、いっぱい買ったな。満足満足。はいシャドウお願いな」

「貴様も相当買ってきやがって・・・」

「いいじゃん。交代制でやっているんだし」

「前俺がやったから次はアンタの番だ」

「「ねー」」

「貴様ら!!」

俺とソニックの荷物当番はシャドウに任せて、俺達は色々なもの買ってきた。本格的になっていく冬の為に、防寒着やカイロ、みかん等を買ったり、ゲームセンターで遊んだりした。・・・途中で「ソニックだー!!」等と言われてパニックになったが。

「・・・良いだろ。次はソニックの番だし、文句は言わせないぞ?お前も俺が荷物当番の時散々買わされたんだし」

「・・・・・・ハァ・・・」

ただ、まだ時間もある様だ。午後4時、まだ遊べそうだ。・・・等と思っていたが、突然、俺の携帯電話が鳴った。誰かから電話が来たようだ。

「・・・電話だな。待っててくれ」

「おう」

少しソニック達から離れてから、電話を見る。着信元はウォイスからと書かれている。俺はそのまま通話モードにして、ウォイスの電話に応じた。

「・・・もしもし?シルバーだが」

俺がそう言うと、彼は息を切らしながら話してきた。

『ああ、シルバー・・・か』

「大丈夫か?息切らしているが」

『ああ、ちょっと調べ物をしていてな。追手が来てしまった』

「調べ物・・・?」

それを言うと、少しだけ間が空いて、やがて少しトーンを落として彼は言った。

『ああ、それについてちょっと頼み事があってな・・・かといって電話で出るなりするのも駄目なのだ』

「え・・・?それはどうしてだ??」

『それは・・・!!スリープドロップ!!』

ウォイスが術を唱えた。・・・とりあえず追手が来ていること、時間がないことは間違いないようだ。

『とりあえずだ。俺らはそのままステーションスクエア付近の神殿まで逃げるつもりだから、其処に行ってくれるか?詳しい話は其処でする』

「良いが・・・【俺ら】って一体どういう意味・・・」

『まあ、一緒に行動している人がいてな・・・では、頼んだぞ』

それを言うと、彼はそのまま切った。集中出来ないからなのか・・・?

切った事を確認したのか、ソニックは俺に歩み寄ってきて、質問してきた。

「なあなあ、誰なんだ?何て言ってたんだ??」

一瞬言うか迷ったが、追手が来てるという事はおそらくただ事では済まされないだろう。ここは言う事にした。

「・・・ウォイスから。話したい事があるから、神殿に来いってさ」

「話したい事・・・それは一体何だ?」

「・・・・・・それは分からない。それは行ってかららしい」

「この前の誘惑みたいな事しないだろうな・・・まあ、行くか」

「?シャドウ、何処にー「決まっているだろ、その神殿に行くぞ」

俺たちの有無言わせず、彼は神殿の方向に向かって歩き出した。・・・行先を把握しているだろうから、多分大丈夫だが。

「・・・行くか。ま、行って罠だとしても三人いれば大丈夫だろ。-ガナールもいないだろうし」

「だな、行くか」

多少の不安を抱えながら、俺たちは神殿に行ってみることにした。

 

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シャドウ 神殿

 

「・・・ウォイス、何処だ。いるんだろ??」

一足早く着いた僕は神殿内で高々と声を出した。ステーションスクエアと比べ、全くといっていいくらい人がいない。人が少々珍しいくらいだ。僕の声に反応したのか、先にあるステンドグラスがゆらゆらと揺らいで、やがて見覚えのある姿が現れた。隣には白いフードを被った子がいて、その人に対しては初対面だ。・・・間違い無く、ウォイス・アイラス、魔導師である。

「結構早かったな・・・」

「当然だ、近くにいたのだからな。・・・怪我、してるな」

「・・・シルバーから聞かされてなかったのか?俺達は追手を追い払っている最中だったと」

「話したい事があるから神殿に来い、とだけ言っていたぞ・・・」

「そうか・・・まあそこまで重要じゃないと判断したんだな・・・」

そう言いながら、神殿の上から飛び降りて綺麗に着地した。二階(?)から直接である。隣の子は近くにあった階段を下りて行った。

「・・・で、その白いフードの人は誰だ」

「それはー「おーい、ウォイスーどうしたんだー??」

空気読んでくれ、シルバー。まあ二度紹介するのは面倒か。誤解等されると困るし、この件は後にしよう。シルバーの後ろにはソニックがいて、二人はそのまま僕たちの元まで歩き始めた。

「・・・ああ、シルバーか」

「追手、大丈夫か?」

「振り払いましたよ。ウォイス様、この人達がソニックの・・・!!」

「ああそうだ・・・ああ、紹介するよ。シェイドだ」

「宜しくお願いします」

そう言うと、白いフードを被った子ーシェイドは丁寧にお辞儀した。青い髪が綺麗であり、男の子だ。

「・・・シェイド?・・・なあ、彼の本名は??」

シルバーが少し戸惑った顔をする。何かに気付いたのかもしれないが、僕には分からない。

「・・・ああ、小さい頃に拾ったからな、本名も分からないのだ。・・・とりあえず、シェイドと呼んでくれ」

「ああ、よろしくなシェイド!!」

納得した、とでもいう様な顔をしながら、シェイドと握手した。少しだけ疑っていたのだろうか?でもそれは何の意味でそうなったのだろうか・・・??

「よろしくです!!」

シェイドは元気な声でそれに対応した。ウォイスを遠目で見てみると、少し溜息が出ていた。・・・何となく出た理由は把握したが、念のためウォイスに歩み寄った。

「・・・何だ?シェイドに挨拶、しないのか」

「苦労したのだろう?」

「・・・ああ、とってもな。お前にだけ言っておくと、数年前から一緒に行動しててな、隠すのが一苦労で」

「何故なんだ?何故そんな事をー「紅月だ。彼奴が俺達を狙っていた。・・・それは秋の頃の襲撃でも分かっているだろう?」

若干早口で言って、小声で話す彼の姿は威圧感出す時とそっくりだった。おそらく口封じする時の技か何かであろう。・・・それにしても、そんなに身長変わらないのに、相当威圧を感じるのはどうしてだろうか?

「・・・それは彼、シェイドにも分かっているのか?」

「当然だ。というより、俺が関連している時点で察してくれ・・・」

「それは失礼した」

ウォイスと僕はシェイドの周りを見た。周りは花が咲き誇っている様な雰囲気がした。

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シェイド 神殿

 

「ウォイス様、この後どうするのですか?」

僕がそう言うと、彼はすぐに向きなおって事情を話した。

彼が話したこと。昨日の調査結果と異変について。そして僕についてだ。僕については、少し嘘を含んでいたが、9割は正しい事を言っており、ソニックらはすぐに把握した。

「OK、で俺達はどうすれば良いんだ?」

「地変自体を完全に元に戻す事は出来ない。・・・だから主犯の暴走を止める。タイムリミットが迫る前に・・・」

「タイムリミットは?」

「・・・・・・それは俺も分からない。進行スピードが正直掴めきれてないのだ。少なくとも言えることは、この土地が限界を迎えれば確実に周りに影響を及ぶであろうな。当然それに伴い死者も大勢現れる事であろう」

彼ですら限界が読めないとは・・・でも、初期段階でそれに気付いた時点で凄いと言えるだろう。周りを見ても異変と見る者はいない。そう考えるとやはりウォイスは凄いな・・・と思った。

「因みにその情報って誰かに言ったか?」

シルバーの問いをした時、僕に目配りしてくた。「話してもいいか?」と言っている様なので、僕は縦に首を振ると、彼は答えた。

「・・・極秘ではあるがな。影響のある地域の長には言った。アファレイド、アポトス、ステーションスクエア付近の市街には伝えてある。・・・悪いな、正直気付いたのが昨日で対応が遅れてしまった」

「いや、むしろ1日で3つ訪れただけでも相当凄いよ・・・カオスエメラルド集めるべきなのか??」

「今のところは・・・な。犯人が誰かは検討がついている・・・が、強いのが厄介だ」

彼は少し間を開けると、やがて奴の名前を口にした。

「・・・紅い髪をしたウサギ・・・紅月。多分そいつが・・・」

「紅月!?」

思いもしなかった名があがって、ソニックとシルバーが少々慌てた。

「おい!!あの襲撃のリーダーがこんな事をしたのか!?」

「・・・しかも秋の頃よりもメンバーが増えている・・・・・・厄介だぞ。友人とは話をしている所だが、それで対応出来るか・・・」

「お前のコネは何処から来ているんだ・・・」とソニックはポロリとそう呟いていたのを聞こえた。

「とりあえずだ。紅月の活性化を止める事とカオスエメラルドを集める。これが目的だ。・・・良いか?」

「おう!!」「やってやる!!」「フン・・・」

三人の答えを聞くと彼は少し安心したのか、少し頬が緩んだ気がした。

「よーし、こうなったら早速探しますか!!」

「ああ、行くぜ!!」

そう言うとソニックとシルバーは走ったり飛んだりして神殿を飛び出した。続くシャドウ、ウォイスも歩きながら神殿を後にした。

僕も後を追おうとした時、何か後ろで声がした様な気がした。

「クスクス」

「!!誰!?」

後ろを振り向いても、そこには人の姿なんて見えなかった。

「・・・・・・気のせい、かな。ウォイス様~!!」

僕も彼らの後に続く様に走って行った。

 

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??? 神殿の上

 

「・・・始まった様ですね」

彼らが此処を出たのを私は見ていた。見覚えのない子もいて、面白そうだ。

「さてと、私は何しようかな。見ているのも面白いけど何より・・・気になるな、あの子」

やっぱり見覚えのない子がいるのだ。こっちにも、むこうにも。調べてみると結構面白そうな感じになりそう・・・調べてみたいものだ。

「・・・・・・フフフ、今月は面白い事がありそうな予感。何が起こるか、遠目で見てますよ・・・紅月、ウォイス・・・フフフ」

どっちを妨害してみようかな?等と考えつつ、私は一つの物語を見ている事にした。

 

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続く。

next 0-02章 Onslaught

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少しだけ内容を変えさせて貰いました。少しずつ話が進めればと思います。では。

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。