夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

幻想の赤月 1-01章 Music for marching

episode 1 People who seek their prey

 

ソニックからすればこんなの退屈で仕方ないのだろうと思っていたが、そうでも無かった様だ。彼は様々な所で興味を示し、笑っていた。草の中、岩の中を探し回っては、不思議な事はどんどん吸収されていく様だった。これでも一応15歳だ。・・・凄いのは、そうやってあちこち探り回っても直ぐに元の場所に戻ってくる。音速の名は伊達じゃないという事か。
一方、シルバーとウォイスは、普通に雑談しながらも周りを探っていた。具体的に言うと、シルバーは不審に思った物を探り、ウォイスは人の目線等を見て敵がいるかどうかの監視をしていた。ただ、シルバーがたまに不思議そうな顔でウォイスを見るのが不思議に思えた。「この道具はどうやって使うのか」「あの事件は~だったのか」等と、疑問をぶつけていた。時々『こんな事も分からないのか?』と思う物の使い方を尋ねる事があったが、それはおそらく未来から来ているからだろう。彼曰く1年位はいると言っていたが、やっぱり彼にとっては新鮮なのだろう。
思い返してみれば、あの大自然や街の光景等の景色が新鮮に思えた時の事もあった。きっとそのワクワクを、彼は今も尚輝き続けているのだろう。・・・いつまで続くかは別として。
僕はエメラルドの監視をしていた。というより監視無しだと不安で仕方ないのだ。「何か不審な事があったらすぐに言え」とは言うけれど、僕は前程力がある訳でもないし、力勝負だったらウォイスにも負けない自信がある。それを言うとウォイスは少々驚いて、「お前もそんな事を言う歳になったのか」と言って頭を撫でた。・・・本当に彼は20代なのか?言っている事が40代の内容の様な気もしなくもない。やっぱり彼には謎が多い。

「そういや、ネイトってどんな所だっけ」
シルバーが何か変わった棒(未来から持って来たのだろうか?)をいじっている最中、そんな質問をぶつけてきた。
ソニックはそのまんま、笑顔でこう答えてきた。
「食べ物に関しては彼処が一番美味しかったぞ?」
「比較的温暖で、住んでる方も多いみたいですよ。あ、でも海が無いので新鮮な魚とかだったらアファレイドの方が美味しいです」
私がソニックの説明の補足を促すと、シルバーが食いかかってきた。
「・・・なあなあ、それって特産品とかってあるのか?? 普通じゃ食べられない物も食べられるのか??」
「え、えーと・・・」
「美味しい物は一番だよな!!うん、うん」
ソニックの目が泳いでいる。其処まで食いつくとは思いもしなかったのだろう。僕も結構危うい。ウォイスは「食べに来たんじゃないぞ」と言うと、シルバーは「分かっているって」と言って膨れた。
「・・・見えてきたぞ」
ウォイスが奥に指差すと、其処にはネイトの街が見えてきた。此処までくればあと少しだ。
「思ったが、あまり山無かったな」
「異変がまだ本格的では無いからであろう。とりあえず、行くぞ」

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「―ん、どちら様だ?」
警備の人が俺達に気付き、声をかける。
「ウォイス・アイラスだ。入村を願いたいのだが」
ウォイスがそう言うと、警備の人は少々顔をしかめた。
「あー・・・ウォイス殿、今ちょっとネイトは大変な事が起きているのでな?入る訳にはいかないのですよ」
「・・・どうして入ってはいけないのだ?」
「脅迫を受けたのですよ。紅月に『ウォイスを入れたら殺す』と」
そう言うと、彼は少々舌打ちをした。そして、溜息をついた後、こう切り出した。
「俺が入らなければまだ良いのだろ?じゃあそうする様に手続きを取って貰えないか?」
「それならば構わないが・・・えーと、ソニックと・・・どちら様で?」
「シルバーとシェイドだ」
「分かった。では今から門を開けよう。ウォイス殿、手伝ってくれないだろうか?」
「・・・反対側の扉を開ければ良いのだな?分かった」
そう言うと、彼は反対側の扉を開けた。扉は重くはなさそうだが、結構分厚い様にも見えた。攻撃をすればそう簡単には通れない仕組みにでもなっているのだろうか。
「お前一人で良いのか?」
「・・・脅迫を受けられた以上は仕方あるまい。お前らはシャドウの方の合流か情報を集めてくればそれで十分だ。あとエメラルドの徴収か」
「分かっているって、じゃあ行ってくるよ」
「気をつけろよ」
彼がそう言うと、ソニック達はそのまま扉の奥の方へと向かった。

「・・・ところでその知らせって何時届いたんだ?」
ウォイスがそう尋ねると、警備の人が言った。
「大体昨日の今位の時間だな。今ではウォイスの名前があがっただけでも追放対象になっている」
「虐殺があったら困るしな・・・だが、こうしていて殺されないという事は此処はセーフなのだな」
「此処はネイトではございませんので。・・・ああ、そうだ。食材を取ってきますね、貴方に足止めしてしまったお詫びをしなければなりませんので」
「?ああ、よろしく頼む。代わりの人はいるだろうな?」
「ええ、別の人がやってくれているので大丈夫です。では」
そう言うと、警備の人はそのままネイトに続く扉を開けた。閉じた瞬間、バタンと音が鳴り響いた。
「彼も大変だよな、脅迫を受けてこんな事をしないといけないんだもんな」
バサと音がした。彼が慌てて周囲を見渡すと、目の前には黒猫がいた。
「・・・猫?」

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「ウォイスには申し訳ないが、仕方ないよな」
「早いとこエメラルド徴収して、ウォイスの所迎えに行こうぜ」
「そうですよね」
俺達は問題無く入れた時点でまだ恵まれていると思った方が良いのだろうか。まあ彼ならば大丈夫だろう。

さて、俺達が入口付近に来た辺では大勢の人が賑わって商売していた。此処はどうも市場の様で、今日も今晩のおかずを此処で買っているのが見て取れる。その為か、此処は比較的女性が多い様にも見える。
おそらくフードコートの様な場所もあるだろう。ひとまず此処で昼食を取りたい所だ。俺がそう提案すると、彼らはそれに賛同した。
「でも、多分フードコートはきっと奥の方だな」
「ですね、こっちはどちらかと言うと此処周辺に住んでいる人が多いみたいですし・・・あ、情報も集めないといけませんね」
「それは一回全体を見渡して昼食取った後から調査しようか。あ、此処南部・市場とだけは覚えておこうか」
俺達はそう言って街の中心部に移動した。多分フードコート等は其処にあるであろう。

~中間~

「すげえ、結構混んでる・・・」
市場があった方向も凄かったが、中心部のフードコートはもっと凄かった。ある程度は予測していたが、まさかそれほどとは・・・。それはソニックやシェイドも同じの様で、少々慌てていた。
「・・・席取れるよな?」
「取れるだろ、うん」
フードコートのあるあるに近い事かもしれないが、席取りに成功しなければ元も子も無い。
「んーじゃ、俺注文取ってくるよ」
俺がお金を持つと、「適当に探してみるよー」と言って、ソニック達は席を探し始めた。

「・・・あ、でもこれ勝手に注文取ったらヤバイよな」
俺が食べてみたかった店の行列に並んだ時、俺は肝心な事を聞き忘れた。何が良いのか全く聞いてない。・・・これはしくじった。
(俺のだけ買って、後は彼らの自由にしてもらうか)
席取りに体力を使わせに行った俺を許してくれ。念じながら俺は前に進むのを待っていた。
「あ、おかえりなさい」
彼らは席を見つけたらしく、シェイドは手を振っていた。俺はシェイドと相対する様に、彼から見て真正面の左側の位置に座った。
「ソニックは?」
「ソニックさんなら注文取りに行きましたよー。しかし、此処も結構広いんですね・・・」
「多分3日~5日位滞在すると思うから、とりあえずそのつもりで午後は全体を見るだけにしよう」
「ですね、結構歩き疲れましたし。・・・そういえばシャドウさんが言っていた暴動って何ですかね?」
シェイドは暴動について考え始めた。少なくとも俺達が通った所では暴動と思われる事件も見当たらず、普通に皆過ごしている様にも見えた。これの何処が暴動なのだろうか?
「それは明日色々な人に尋ねてみるとしてだ。ウォイスなら多分大丈夫だよな・・・」
「滞在する日時だけは伝えといた方が良いんじゃないですか?彼は彼で調査するでしょうし」
「・・・調査とは?」
「んー僕もあまり分からないんですけど、たまにそんな事をしているので」
「内容までは分からないのか?」
「説明して貰った事が何度かあったんですが、難しくて・・・」
確かに彼がしている事は普通の人だと考えられない行動をとってはいる。目的は、と聞かれれば多方彼は教えているだろうが、多くの人はそれを完全に納得したかどうか、というとそうでもない様な気がする。なので、彼の様に「難しい」と考えるのは別に不思議な事ではない。・・・年齢的にもだ。
「仕方ないか・・・とりあえず、俺達はそのまま宿屋に泊まっておこう。今日はゆっくり休んでいようぜ?」
「ですね」
二人の意見がまとまった所で、ソニックは注文した物を持って来た。結構早いなと思ったら、たこ焼きを頼んでいたのでそれは納得した。因みに俺が注文したのは醤油ラーメンなのだが、茹で上がるのに時間が掛かる様だ。
二人の注文が揃った為、シェイドは席を外した。シェイドが座っていた席の隣、つまり俺の真正面にソニックが座ると、「先に食べてるからな」と言って、たこ焼きを食べ始めた。・・・彼がいない間に俺はシェイドとウォイスについて尋ねる事にした。
「・・・なあ、一つ聞いて良いか?」
「何だ??」
「ウォイスとシェイドの関係って何だと思うか?」
「ん~、美味しい。・・・そうだな、養子として引き取ったとは言っていたけど、見た感じシェイドが幼い頃から彼と一緒にいたよな」
「って事はさ、天気異変起こした時も、襲撃事件が起きた時も、ウォイスはシェイドを育てていたって事になるけどさ、そうなる位ならもっと早いタイミングで会わせても良かったんじゃないのか?」
ソニックが2個目のたこ焼きを食べている最中に、俺がそう質問すると、彼はピクリと動いて、少々硬直した。そして、たこ焼きをゴクンと飲み込むと、こう答えてきた。
「それは多分立場上駄目だったんだろ。普通の友人ならともかく、俺達は有名人だぞ?何かの騒ぎになったら彼も困るだろうし」
「それもそうか・・・で、今回はその騒ぎよりも大きい事件が起こったから引き合わせたと?」
「ああ。天地がどうこうって言っているのだし、その影響はかなりのものだろ。だって何千年とかけて地形が変わるのにそれを1ヶ月や2ヶ月程度で変えるんだろ?それだけでもえらい事になっている筈だが」
「・・・そう言われてみればそうか」
俺が彼の主張を納得した時、シェイドは戻って来た。どうも彼はハンバーグステーキのプレートを頼んだ様だ。・・・そしてそれとほぼ同時に俺の料理が完成したという意味を表すブザーが鳴り響いた。急に鳴ったので少々驚いたが、俺はそのブザーの発声を抑えながら、頼んだ所へ向かった。

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「シャドウ、此処よ」
ルージュが指差した所は何処かジャズの音楽が似合いそうな感じがしたバーだった。外見はドアや建物全体が木を使っている様に見える。・・・おそらく中は普通にタイルを使ったと思うが。
「―此処か、雰囲気的には僕達の方が似合っているな。ソニックよりも」
「だから極秘にしたんでしょうね」
ルージュはそう言うと、通信機に声を掛けた。
「・・・こちらルージュ、ターゲットの店を発見したわ。突入時刻は11時半位にするつもりよ。・・・夜中に決まっているじゃない」
何やら揉めている所で、僕は誰かがその店に入る所を目撃した。見た感じは20代後半のエレガントな女性だろうか。後ろ姿だけではそれくらいしか把握出来ない。
「ルージュ、女性が店に入ったぞ。此処の開店時間は何時だ?」
「・・・夜中の9時頃から。―多分オーナーの方じゃないかしら?」
「その割には彼女の荷物だけしか運んでいなかった様だが」
「出勤よ、しゅっ・き・ん」
「・・・。」
僕は呆れながらも、先を見た。午後は作戦を練って、夜には表向きには客としてこのバーに入る予定だ。・・・寝る時間が惜しいとは思わないが、ハードだと思う。
「とりあえず、ひとまず宿屋に向かいましょう。作戦を練って休憩して潜入するわよ」
「・・・一つ聞いて良いか?僕と貴様でどんな設定で入るのだ?」
「え、カップルに決まっているじゃない」
迷うことなく彼女はそう言った。いや、待て待て。僕はそんな事一度も真似した事が無いぞ。想定していた回答を上回る回答、そしてカップルという何かが揺らぐ言葉を聞いて僕は赤く染まった。
「・・・あら?カップルっていう言葉を恥ずかしく思ったのかしら?」
図星だが、僕は適当にはぐらかした。
「知らんな、そんな事よりいつ潜入するのだ?」
「11時を目安に入ろうと思っているけど・・・それで構わないよね?」
「ああ、了解した。11時・・・か。では4時には睡眠を取っておくべきだな」
「そうね、9時に起床しましょ」
12:30と書かれている電子板に、『21:00 起床』とアラームを掛けた。そして「戻りましょ」という彼女の声と共に、此処を後にした。

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「・・・猫?」
黒猫が開いていたドアからひょこひょこと出てきた。もしかして飼っているのか?そう思うと、意図的の様にも見える動きで、俺の膝の上に飛び移って、丸くなった。・・・暖かく、眠ってしまいそうだ。
「よしよし、でも俺は彼処に入れないからな、もうすぐ管理人が戻ってくるからその時に餌をやろうか」
猫を何となく撫でると、猫は「にゃあ」と言って、顔をスリスリと寄せてきた。・・・人懐っこい性格なのだろうか。

「只今戻ったぞー」
一瞬夢から目を覚ます様な感覚をさせる様な声が木霊する。振り返ると先程の人が俺に向けて「やっ」と手を上げる。猫はそれに釣られて、彼に寄って来た。
「ありゃりゃ、また猫か」
「また?」
「ああ、これ位の時間になるといつの間にか此処にやって来るんだよ。食べたかったのかと思うとすぐ何処かに行っちゃうしな」
「猫は気まぐれだからな・・・何買ってきたのだ?」
様々な袋を持って来た。猫が来る事も予測していたのか、キャットフードもあった。彼が机にその袋を豪快に置くと、袋の中からゴソゴソと漁り、そして俺に向けて幾つかその袋を投げてきた。
「お前さん位の贅沢は流石に出来なかったが、これでもこの街の名産品は結構人気でな。食べてみると良い」
「ありがとう・・・というか、俺の出身何処か分かるのか?」
俺が尋ねると彼は笑う。
「アッハッハ、こんなんでも俺様、昔アファレイドに住んでいたもんでな、お前さんの噂は聞いていたぞ」
「・・・それは意外だな。とりあえず、ありがたくこれを戴くぞ」
俺はその袋を開けて中に入っている物を見る。どうやらレタスと肉が挟んだサンドの様だ。そしてそれを豪快に食べると、この街の独特なソースが良い感じに効いて、美味しい。
「結構美味しいな」
「ハハ、そりゃどーも。俺様がオススメする食事をお気に召してくれて俺様も嬉しいぞ。・・・猫ちゃんはこれだ」
キャットフードを皿に乗せて黒猫の目の前に置くと、猫はそれを見て直ぐに寄って来て、中身を食べ始めた。
「・・・結構食べるな」
「運動してたらそりゃお腹も空くだろうな」
果たしてそういう物だろうか。そもそも食事取らなくても生きていける身体になったからか、その意見には賛同しづらい。中には其処まで変わらない人もいると思うのだが・・・不老不死以前の食事の光景を思い浮かんでみるが、ハッキリしない。流石にその時の腹具合までは思い出せない様だ。献立すら忘れている。まあ普通の日でその日の献立を1年後に癒えるかと言われて出来る人など殆どいないだろう。それと同じだ。
「この黒猫、お前のペットではないのは分かるのだが、具体的にどれくらい前からなのだ?」
茶色になった肉を引っ張り出して、それを貪っていると、ふと疑問に思ったのはそれだ。彼は笑いながら言った。
「あー・・・ここ最近だな。1週間程前って訳じゃないが、大体一ヶ月位前といった所か?」
「脅迫が昨日辺だったな。じゃあ考え難いか・・・」
「何がだ?」
俺は近くにあった水を飲む。目を細めながら飲みきると、元の場所に戻した。
コトンと心地よいガラスの音が鳴り響いた。此処の場を変えるのには十分な音であった。俺は静かに口を開いた。
「この黒猫が、紅月のスパイである可能性だ」

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ふみゃ~お・・・
作戦は上手くいった様だ。ただ、この場にいるとは思ってもいなかったが・・・残念な事に事実上其処はネイトではない。戻るしかないのだろうか。
そういえば、先程入った奴らは反応しなかったな。当然と言えば当然だが。
「それは無いだろ」
「ありえなくはない。俺達を監視していたって別に不思議じゃない。だからその脅迫があるんだろうに」
彼奴は本当に注意深い。明らかに可笑しい行動を起こせば、まず攻撃されるであろう。幸い、見張りに入り始めた時期が少々早かった為に、一応警戒はしとく程度に抑えられたので、多少は大丈夫だろう。まあこの企みも心を読まれない限りは大丈夫だろう。
(超能力を操るシルバーには若干注意せねばならんが)
未知の粋に入る超能力に心を読む力があっても不思議では無い。謎が多すぎる彼奴も一応注意せねば。
(しかし、カースの奴本当に飛ばされたのか・・・どうやって生きているんだ彼奴)
考えても今はこの場を乗り切るしかない。ついでに言えばこのタイミングで来ない様にすると、探られるだろう。疑われずに行くならば、毎日この状況を突破せねばならない。しかも紅月様の宿敵である彼を間近に見ていて、攻撃しないとは。丸腰も良い所だ。
「・・・まあ、それは無いと思ってはいるがな。名前ってあるのか?」
・・・は?
「ああ、そういえば決めてなかった。じゃあ『モコ』で良いんじゃないか?」
「いや此処は『メルモ』が良いのではないのか?」
「うーむ、では『ポチ』はどうだ?」
「それは犬の名前だろ!!」

・・・そのまま自分の名前を決めるのに口論を3時間程続けていた。流石の私もうんざりだ。そして挙句の果てに、ついに私はウォイスに名前を貰った。
「今日からお前の名前は『ポンチョ』だ。よろしくな」
ポンチョ。私は別の名前を手に入れた。嬉しいかと聞かれると全然嬉しくないが・・・半ば強制で決められるのが非常に腹がたつ。
「ほら、ポンチョおいで」
彼はそう言って、猫じゃらしを揺らす。おい、馬鹿、止めろ。そんなの目の前にあったら、やりたくなっちゃうではないか。・・・あ、いや今は黒猫だからじゃれて良いのか。そうこうしている間にも私は無意識にそれを抑えずにはいられず、二人に遊ばれた。だが、紅月様から見ればこれは黒猫として振舞っている様に見える。・・・何気に最高ではないのか??

「ポンチョは可愛いな」
ハッ・・・
ウォイスの一言で私は目が覚めた。何故敵なのに思い切り甘えなければならないのだ。ぷいっと不敵腐れると、「ツンデレだよな、ホント」と言われて、更に私の体温が上がった様な気がした。

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続く。

next 1-02章  蟠りがある中で

 

ようやく漫画でやってきた部分を終わって、導入部分終わった・・・。これで2日目、これ何文字使わせるんだろ・・・

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。