夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

幻想の赤月 1-06章 improvement

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「あとどれくらいだ?」
「500m、400、300、200・・・もうすぐで100mになるぜ」
「皆が無事だといいんですけど・・・」
不安気になっていたシェイドを横に、前に進む。報告が正しければ、僕達以外の相手は殆ど機能していないと思われる。急がねば。
「―見えたぞ、出口だ!」
そう叫んでシルバーは地上へ繋がる階段、僕が入ったあの階段をぶち破った。その後、威嚇しながら前に進む・・・其処までは想定内だったのだが、ピタリと止まってしまった。目の前の光景に目を疑っているのだろうか。だとすれば・・・!!
「もしかして、やられてしまいました?」
「・・・ガナール!?」
唖然とした態度に、僕達は逆に首を傾げる事となった。
「えっと、シルバーさん?何が・・・」
「駆けつける意味は無かったなこりゃ。見てみな」
促されて見てみると、其処にはあの黒い奴らが横に倒れている様子が見られた。ピクピクと動いている奴らも見られたが、犯行する程余裕は無いのだろう。
その様子を見ていた僕とシェイドだったのだが、気がかりというと、シェイドがガナールを見て驚いていた事であろうか。
「・・・!!」
「どうしたんだ?ガナールを見て驚いて」
「え、だってあの時・・・」
ハッとした顔で取り繕う様に「な、何でもないです!!」と言っているのだが、正直この言葉に意味をなしてない様な気がする。その顔をしたのに気付いたガナールは微笑んで近寄ってきた。
「・・・黙ってて欲しいって言ったのにな。まあ、ウォイス様が来ていなかっただけまだ良しとしますか」
「どういう意味ですか、それ」
「単純に私と貴方の接触を極端に嫌ってますし、まあ私が何者かだけ考えれば、そうなるんでしょうが・・・」
確かに、とても純粋で礼儀正しいシェイドと殺人鬼であるガナールと共にいてしまったら、考え方がそちらの方に染まってしまいそうだ。まあウォイスもかなり血塗られてはいるけれども、あちらは加減したり覆い隠すタイプだから問題はない・・・だろうか?そこらは分からないが、まあ一緒にするのであれば、常識人組のテイルスやクリーム、シルバー辺が良いのだろう。シルバーは若干世間知らずの部分があるが。
「まあ、そんな所は置いといて・・・ソニックさん達と一緒にお話しなければいけませんね。色々と分かった事があるので。ウォイス様とは別々に報告しておいた方が良いでしょう。お祭り騒ぎはその後で・・・良いでしょ?」
「え、ええ・・・構いませんが」
「そういう訳で、私は此処で待ってますね。シルフィさん達にもお話しなくては」
そういうと『ネイト南西の道の真ん中にあるカフェで』と書かれたメモを渡された。なんか色々と大変なんだな・・・と直々に感じながらも、シルフィ自体に疑問を感じた。
「シルフィも来ているのか?」
「いますよ。ホラ、あそこに。事情徴収されているらしいですね」
ガナールが指差した方向には、GUNの人や警官の人が囲まれている様子が伺えた。あまりの数でシルフィが見えないのだが、いるとしたら多分相当参っているだろう。僕はそのままその群がりの方に近づいてみる。

「で、ですから・・・助けないといけないと思ったので助けただけですってば」
「いやはや!!ただですらあの状況で一般人は入れない状況の中でどうやってそれを切り抜けたのか知りたいのです」
「それは何度も言っているだろ・・・空を飛んできたんだって。アファレイドでは割とよくある事だぜ?」
「魔導王国だからこそ出来る行為でございます!!それに飛んでいる様子を見られたら街中大パニックになることであろう!!」
「騒ぎになったらそんな事気にしている場合じゃないだろ・・・!!」
「―何をしているのだ、貴様らは」
若干茶番の様に見えた状況の中、僕が其処に来た事は彼女らからすれば地獄の最中に仏様の手が天から舞い降りてきたという様な出来事だったらしく、すぐに食いついてきた。
「シャドウ!!お願いだから彼らを説得してやって!!貴方それでもGUNのお仲間さんでしょ?」
「・・・イレギュラーというのは貴様らのことだったんだな。とはいえ、礼を言うぞ。お前らがいなければ、犠牲者はもっと増えていた」
「お前そういう所はいつも通りなんだな」
「・・・どうだか。とりあえず、その事はネイト内の出来事としてくれ。『火災の事故』として扱っておく。マスコミにそう伝えとけ。下手にやったら面倒な事になるぞ」
「はっ」
此処で下手に勘付かれる様な行為をしてしまえば、大変な事になる。まずは、彼女らを放火の容疑者として扱われない様に適当に小細工をしておく。世の中はそんな物だ。

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「酷いったらありゃしないぜ全く!!俺を置いてけぼりにするんだぜ、コイツらは!!」
「ごめんな、お願いだからそんなに騒がないでくれ・・・」
「ごめんなさい・・・完全に忘れてました。で、ですがそのお陰で彼処まで持ちこたえられたのですからイーブンですよ」
「暇になるのはまっぴらゴメンだな。俺は走り続けていたいんだ」
ソニックに処理や面倒な事を押し付けるのはやっぱり無謀だったという事か。なるべく暇にさせない様にさせるべきなんだと改めて感じた俺は、彼の怒りを静ませながらも、シャドウが命じられていたカフェに向かってガナールの話を聞こうとしている。とはいえ、こんな大人数で来られても向こうは逆に迷惑ではなかろうか・・・と思っていると、シャドウはとある提案をした。
『重要な人物だけでお話するのはどうか』
これに反論する人はいなかった。確かに大人数でやれば騒ぐ事になりかねないだろうし、密談の方がよさげである。という訳で、ガナールの呼び出しに応じたのはソニック、シャドウ、シルフィ、俺の四人にしておいた。ルージュやシャック、シェイドは周りの反応を静かにしておく事に専念して貰う事にした。
「貴方達はもう少し静かにして貰った方が良いんじゃない?」
「同感だな、ある程度時間が経ったとはいえ、まだ緊張している筈だ。ただ、カフェなんて開いているのか?」
「悪かったな・・・あと、カフェなら彼処に」
ソニックが指差した方向にはパリの雰囲気を漂わせるカフェがあった。Openと書かれた看板には黒猫が座っているデザインが見られる。そのカフェのガラス越しにはガナールがいて、手を振っている。どうやら此処が目的地だったらしい。
「という訳だ、行こうぜ」
カラランと音と共に、緊張感を高めていき、ガナールの元へ。

「わざわざ指定の場所まで来ていただき、ありがとうございます。おかけになってください」
そう言うと、俺達四人は席に座る。ご親切に席に座った先には俺達が好む飲み物がきちんと置かれていた。
「まずは、ご苦労様でした。貴方様のお好きなお飲み物を頼んでおいたのですが、問題ないですか?」
「ああ、問題ない」
「それは良かったです」
好き好みをきちんと理解出来る辺、ポイント高そうだな。とはいえ、四人は彼がどんな人物かを知っているので油断はしきれてなかった。ガナールはその様子を見て「もう少しリラックスして良いんですよ?」と言うのだが、どうしても緊張してしまうのだ。
「・・・これから話す事はウォイス様にご内密にしておいてください。下手に過去を振り返す事をすると彼怒ってしまいますから」
「ああ、約束しよう」
とりあえず、飲み物を飲んで一息ついた所から、ガナールの話は始まった。
「まず、あの化物について話しておきましょうか。あの化物は昔『闇の住民』と呼ばれ、悪魔やそれに仕えている者、呪術者といった人が操っていたと言われる者です。形こそはあんな黒くて四つん這いになっていますが、実際に戦ってみると、魔法使い以上のランクを持つ魔導師さんではない人では苦戦してしまいます。何せ、あの化物は形があるようでないような物ですから。とはいえ、魔法使い以上の人ならば、光や聖なる器具を使えば割とあっさりと倒せてしまうのですけれど。後者であれば脳筋タイプの人も倒せますしね。其処から考えてみれば、魔導王国に近ければ近い程、あの化物である闇の住民は数が少なく、強力なものになる事が予測されます。また、知識もある程度は備わっているらしく、何かを持っていく・何処に集まって行動するといった簡単な命令であれば、それをこなす事も可能です。其処から考えられるのは、紅月やその周辺の人は闇の住民を操って戦う可能性が非常に高いって事でしょう」
「・・・?これの何処がウォイスに言っちゃいけないんだ?あとその情報は何処から?」
ソニックがそう尋ねると一瞬答えるか迷ったかの様な反応を見せた。そして3秒くらい考えた後に、こう言った。
「・・・本来ならば、その情報はアファレイドの古い書物にあるのですが、時間が無かったもので、ウォイス様の倉庫を勝手に拝借させていただきました。ああいった品物は倉庫や書斎を見た方が早い場合があるんですよ。で、その倉庫が私にも公開されてない情報なので・・・」
「ああ、何となく把握したよ・・・。アイツならやりかねないしな」
普通に良好に見える主従関係は根がかなり深いものの様だ。それが何処までのものかは、俺には想像しきれない物ではあるが、多分相当凄い事になっているのだろう。

「では、次に移りますよ。紅月についてです」
「ああ、それは俺も気になっていたんだ。結局、アイツは一体何者なんだ?」
「・・・紅月の始罪についてはご存知で?」
「?ああ、知っているが」
「あれは、8年前の出来事ですね。多分このニュースを当時リアルタイムで聞いていられたのはソニックのみでしょう。そして、私含む此処にいる人四人は皆干渉どころか此処にいる事ですらいられませんでしたね。・・・ソニックさん、王宮に起きた事件である事も、その影響で王族が絶たれるきっかけを作ってしまった事もご存知で?」
「それも知っている。7歳前後だったからあまり内容は覚えてないが、かなり大騒ぎになっていたのは覚えているぜ・・・ああ怖い怖い」
ソニック曰く、アファレイド以外でも目にも当たられない位の騒ぎだったらしい。父親や母親がウォイスの名前が出た時はある程度安心したらしいが・・・
「でも、確か1ヶ月後に行方不明になったんだよな?俺達の前に姿を現すその時までは」
「ええ、間違っていないですね。確かにウォイス様はその一ヶ月後に行方不明になってます。ついでに言うと、王子も行方不明になってます。今現在のアファレイドは代理の人が代わりに行ってますね・・・ただ、不可解だと思いません?」
「・・・What?」
「―8年間なんですよ?その後で姿を見せるのも何処か不可解だと思いませんか?裏世界でシャック達と戦ったあの時、貴方達の身に何か変化があった筈でしょう?最も、その時期はまだ私は生まれていないので詳しい事は分からないのですが・・・」
「僕達が彼に会って以来、相当大きな事件に巻き込まれた。夏には天気異変、秋には襲撃事件か・・・まあ僕は襲撃事件に関しては直接見た訳でもない、それはソニックとシルバーが知っている」
「・・・・・・それがどうかしたのか?」
「結論から言いますと、その紅月はその王宮に仕えていました。詳しい情報はあまり分からないのですけど、どうやらウォイス様の弟子の様でして・・・シェイドの兄弟子と呼ぶべきでしょうか。・・・ウォイス様の性格からして、基本よっぽどの事が無い限り、関係を結ぶ事は無いんですよね」
「10年間程の間に2人の弟子と1人の従者、そして俺達・・・これは異常なのか?」
「これがただの友達ならば良いですけど、1人の弟子は王宮に仕えている人で、私は特殊な形で生まれて、貴方達の出会いは本来いる筈のない世界で友達になったんですよ?現実味が無さすぎですよ。私が生まれたその意図も完全に明らかになった訳じゃないですし・・・しかも紅月の名が出ただけで彼は不愉快になるし・・・。あらかじめこうなる事を分かっていた様にも思えます。紅月の行動パターンをあの悲劇以降のそれを完全に把握していた可能性も」
「・・・おいおい、幾ら何でもそれはありえなくないか?襲撃事件のそれはタイミングの問題じゃないか?」
「其処は否定しきれないですけど、私の生まれた意味にそういった事をあげてもいいんじゃないですか?・・・シェイドさんのその弟子も少々疑わしいです。年齢的に15歳前後なのでしょう?当時は弟子がウォイス様の意図を理解出来ない年齢ですし、絶好の的であったのでは?」
「紅月を倒す為か・・・?年齢のそれは偶然にしても、それを利用するってか?」
「・・・・・・話が逸れましたね。えっと、紅月はウォイス様の弟子であったのは間違いないですね。そしてその紅月の以前の名前は・・・」
「・・・?」
「『ラヌメット・アファロウス』と呼ばれている人物ですね。あと調べてみたらとある年以前の過去が不明になっております。現在は38歳で、外見年齢だけ見ればウォイス様の方が弟子に見える位のものですね。・・・例えどんなに鍛えたとしても、肉弾戦に持ち込めば十分に倒れる相手です」
「38歳か・・・という事はあの悲劇の時点で30か。よく師匠を敵に回せるな」
「・・・肉弾戦ならばの話ですよ。実際は魔術の研究及び禁忌魔術の使用等である程度の若さを取り戻していますし、何しろ魔力の秘めた量及びその威力はウォイス様の魔術よりも上です。但し、実力及び魔術の利用の仕方といった細かな所はその力でどうにかしている部分がありますので、ウォイス様の方が上ですが」
「一つ良いかしら?貴方とその紅月と戦ったらどうなるのかしら??」
「幾ら歳を重ねているとはいえ、多分肉弾戦では無理ですね。それに、私そもそもまともに戦う事が苦手なので卑怯な手を使わなければいけない駄目な人なんですよ。―でもまあ、裏であるのなら手の平で踊っていられるでしょうね。少なくとも私の正体を自力で暴くのは100%無理ですね。誰かに助けて貰わねば」
「なるほど・・・互角同士を何人かで挑めばきっと倒せると踏んだんでしょうね。或いは殺すしかないと思っているのか・・・」
「殺す!?それだけは駄目だろ!!だって弟子であったんだろ・・・!?」
「その弟子が指名手配レベルまでなってしまったのだ。自責の為に罪を償おうとしたでも十分通じる」
「だが・・・」
「腹をくくる位の覚悟は出来ている筈だぞ。実際、貴様はあの言葉を直に聞いた筈だぞ?」

『・・・これでハッキリした。―お前をやれば良いのだろう?』

その言葉。『やれば良い』というのはきっと殺さなければならないと確信した時の言葉だったのだろう。言われなくても気付いてはいたが、状況が色々と大変であったし、あまり信じたくはなかったのだが・・・
「・・・。」
「Don't worry!!俺達でどうにかしてやるからさ!!」
「ソニック・・・そうだな、彼を説得しなければな!!」
「待って!!」
ガナールは叫ぶ。カフェに数名の客が一気にガナールに視線がいく。見られているのが気付いたガナールは、徐々に頬が赤くなっていき、最終的にマフラー(?)の中に顔をうずめ、何かを言おうとしたその勢いは何処へやらに消えてしまった。こんな時に聞き出せる能力があれば・・・あれば・・・
(~~~!!)
ノイズだ。ガナールがいつもやっている心理学を真似して見ても思考はいつもエラーを吐き出すばかりだ。どうも自分にはそういった類のことは苦手の様だ。
「・・・ガナール、お願いだから何で止めたか教えてくれないか?メモ書きでも良いからさ」
そう言ってメモとペンを差し出す。すると、ガナールは顔を埋めているのにも関わらずスラスラと達者な文字を書いて渡した。
『この事は「ウォイス様には知られてはいけない」。後は分かるよね?』
「・・・黙っていろって事か。ただ、こんな機会があったのは他ならぬあの門番が言っていたあの脅迫だからな・・・いつ言えるのかよく分からないぞ」
ソニックの会話に続いて、次はこんなメモを渡してきた。
『貴方達が同じ時刻に寝てたら催眠術でも掛けて作戦会議が出来るからその時に』
メモ書きしている時だけ何故か口調が変わっている様な気がするが・・・気のせいか?
「あの~いつになったらそのメモ書き止めるのかしら・・・?見苦しいわよ」
シルフィの一言には
『・・・・・・・・・・眠いからこれが終わったら眠る』
と謎の言葉を残していた。会話が完全に別の方向に飛んでしまっている。眠いから聞き間違えたのか?とはいえ、もう既に深夜だ。眠くなっても可笑しくない。
「分かった分かった。俺が肩背負うから暴れるなよ?というか恥ずかしい・・・」
『ありがとう』
と書いて、むくりと起き上がると俺の肩に腕を掛けた。少々疲れているのか、フラフラしていたのだが、それは俺のカバーでどうにかなった。
こうして、ネイトの一夜の騒動は終わりを告げたのである・・・。

カオスエメラルドも一個手に入り、コアの破壊にも成功。心残りがあるのはあの暴走により傷を負った兵士達と、あの地下にいたあのロボット。結局気絶したと判断した後は何もしなかったけど、問題無かったのだろうか・・・?

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『2日目~In the first incident
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どうやら最初の事件が起きた様だ。今回の事件はネイトの街で起きた放火事件。しかし、その放火の実行犯は紅月側でも、ウォイス側でもない、第三者の実行犯であった。とはいえ、あくまでも第三者に過ぎないのだ、いずれ敵になる時が来るであろう。が、その逆も然りである。奴らについては後で考える事としよう。

今回の事件は比較的早かった様に思える。まだ始まってまもないのに、もう既にカオスエメラルドの所在が一個明らかになっている。ソニックらからすればこれは普通の様に思えるかもしれないが、今回はこの大陸内を探さねばならないのだ。残り33日・・・いや、日記を書いている時点で32日となると思うのだが、とにかく5日に1個見つけるペースに持ち込めたのはかなり大きいと思う。それでもまだ遅い。もっともっと早く、早く見つけて対策を練らなければ。どうにかすればいけない。最悪、私が伸ばすしかないのだろう。しかし、カオスコントロール等が出来ない私はそれを上手に成し遂げられるのだろうか・・・??

さて、今日は色々と用事があったせいで、あの子との接触は出来なかった。あの子は私との約束をきちんと果たしてくれるのだろうか。あの人が言っていた通り、ノリが良くて少々お調子者だ。きっとウォイスも骨が折れていたのだろう。とはいえ、ムードメーカーだったのだ、とても可愛らしいし、何より周りが明るくなれるそんな雰囲気は士気を上げるにはうってつけと言っていいかもしれない。病は気からとは言うが、その気次第では何でも出来るのではないだろうか?・・・いやはや、考えすぎかもしれないし、過大評価かもしれないが。まあ、私としてもそれは喜ばしい事なので、そういう事にしておくとしよう。

もうあと4日程で満月だ。明後日を迎えれば、ウォイスはきっと牙をむく筈だ。数少ない日数の中、夜中暴れられるのは一番大きい事だろう。ただ・・・私が一番危惧しているのはウォイスの弟子・・・シェイドとかいう人物はその姿を見られる事だ。きっとウォイスは無理矢理にでも彼に姿を見せようとしないだろう。
ガナールからすればそれはチャンスの様に見えるだろう。なにせ、夜中に牙を隠す為には自分らのグループから一旦離れなくてはならないのだから。従者の裏切り・・・とまでは行かないだろうが、少々動きが変の様な気がする。まるで『他の人が演じているかの様な』感じがするのだ。あれは一体どういう意味だろう?誰か教えて欲しい。

・・・・・・少々眠くなってきた。今日は少々無理をしたのかもしれない。ゆっくり休んで、また次の災難に備えなければ。全てはあの子の為に。

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続く
next 2-01章 Justice is sometimes become evil

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様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。