夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

不明記録~The warding magic

君の声が聞こえる。笑顔で笑う。俺は種の気配を感じていた。

俺の役目は『種』を目覚めさない事。

壊しても良かったのだが、俺はそんな簡単には壊さない。壊したくない。

今夜、君の記憶を『全て』取って偽りの記憶を植え付ける作業を行う。この範囲は君を知る人『全員』を変える。全員変えれば、全く違和感が無い事を知っているからだ。

 

『あの人』が仕向ける前に取っておかなければー。

 

 

 

あれから少々時が流れ俺は魔導王国を訪れた。あの悲劇の王の前代の王が俺の才能を見事に見抜いた。結果、俺は教師をやる事になった。時には王宮を訪れ政治をアドバイスする役も手に入れた。俺はこの役目を貫き通すまでである。

とある日、悲劇の王は生まれた。白毛が何とも可愛らしい。前代の王は懸念を込めて『ラネリウス』と名づけた。

そんなある日だった。ラネリウス王子は何処かに行ってしまい、探している時だった。そこにはラネリウス王子と友人2人がいた。何より驚いたのは友人の中に記憶を完全に消したラヌメットがいた事だ。だが、君から見れば初対面。俺は出来る限り感情を抑えた。

ラネリウス王子を勉強させているが、2~3日に1回は何処かに行ってしまう。子供だから大した事が無いが。そして捕まえては叱る。そんな日が続いた。

王子が王と呼べる様になった頃、俺はラヌメットを弟子にさせた。理由は3つあった。1つ目は彼の血は『イチジク』の種族だった。俺はそれに関しては疑問を抱いた。何故、滅ぼした筈のイチジクの血が宿っているか。俺はソレを恐れたという訳である。そして俺は色々考え抜いた結果、こんな仮説を立てた。

考えたのは3通りである。

1つ目は赤の他人で様々な繋がりを持った結果、似た様な形となった。しかしこの出来事、普通はありえない上あったとしてもどれくらいの確率だか俺には把握しきれない。よって1つ目はありえないだろう。

2つ目は実は妹が生きていてあの人が子孫であったという。ただしこれもほぼ無い。実際俺は脈を測ったが生きていない筈だ。到底適わないだろう。

3つ目は母上が肉体を取り替え別の人と結婚しその子供又は子孫。ただこれは肉体を取り替える時点でイチジクの血は流れてないと思われる。ただし確証は無い。3つの仮説の内一番ありえそうな仮説だった。ただし実際はどうかは本人に聞かないと分からないだろう。

以上が俺が考えた仮説である。ただイチジクの末裔だと分かっている以上、俺は監視をする必要があった。

2つ目はとある集団からの命令によるものだった。とある集団、というのは極秘なので言わないが、貴方方でイメージするとするのなら政治家の会議の様な形だ。その集団が危険を察知し、俺に監視を任されたのだ。・・・この監視、俺が高等部教師の際もやっていたのだが、念の為だそうだ。

そして3つ目は・・・ラネリウス王自らが志願した事だ。何故かは知らない。2つ目に出た集団の市客かもしれないし、本人が望んだのか、ラヌメットの意思なのかは分からない。でも「それが願いだというのなら、それをするのが側近の仕事でしょ」と言われた以上、俺はやらなければならなかった。

動機や狙いはどうであれ、その集団も俺も王も『ラヌメットを弟子にさせたい』という考えがあったのだ。実際監視させる意味もあったので丁度良かったという訳である。王は鈍いフリをしていたが、ラヌメットは完全に勘違いしてる様だった。後に思えばあの時、全てを話したらラヌメットはどう反応していたのだろうか?でも今はそんな事どうでも良いんだ。

最初は口調や態度も子供らしさが残っていたが、やっていくにつれ、ラヌメットは年上には敬語を使う、態度も威張りすぎないなどと、礼儀正しい子になっていた。ふと俺は思った。「こんな奴を生かしておいて本当に良かったのだろうか」と。魔力はラヌメットの方が上。知力は俺より悪いが、普通に頭が良い。本気で戦えば色々と大事になるだろうと思った。そう思うとラヌメットがこうして笑っている顔を見ると心の底で憎く見える様になった。いわゆる嫉妬である。師匠である俺が弟子の奴に嫉妬とは、とは思っていたのだが、不愉快であった。

そう思うのなら殺してしまえば良いじゃないか。

俺はそう思った。元々俺の役目は『悪意の種』を探しだす事だ。大きい子と遊んで何になる。俺は俺の闇に引きずり込まれてしまった。

しかし、俺は殺さなかった。殺せなかった。夜中、俺は奴が眠っている所を狙い首を斬ろうとした。その時満月の力のせいで正気に戻ったからだ。リデァが殺意衝動を抑えたのだ。俺はすぐに冷静になり、俺が行う事がいかに愚かである事が分かり、俺は逃げた。あの人がいる所から。すぐに殺意衝動が発生するであろうと分かっていたから。もしこの時ラヌメットを殺していた時、俺は悪を演じ続けるのだろう。その時無茶している事に気がつくのは誰だろうか?

その後俺は夢を見た。王が何者かに殺される所を見たのだ。その何者かが分からないが、これは裏切り者が現れるという事である。翌日、それを王に報告した。王は少し寂しそうな顔をしてとある命令を下した。俺はその内容を聞いて動揺を隠せなかった。彼は近い死を受け入れ、微笑んだ。そしてその顔には強い決意を意味しているのはもはや感じるのは無理があった。

 

そしてその日は突然やってきた。

 

俺が王子の魔術の練習の最中だ。その日は満月の日だったので、俺は早めに寝る様指摘した。昼のとある日、伝達鳩が飛んできた。その知らせが無くとも、俺は理解しきっていた。飛んでくる1分前に事切られる彼を見たのだ、笑顔で笑って泣いているラヌメットを見たのだ。そしてー。

『ウォイス・・・お前さえ居なければこの世界は収まるというのに』

俺は察した。俺が居ない間にあの人が王宮に潜入した事、そして魔力を持つ彼の前に現れ乗っ取ったと。そして乗っ取られた身体で王を暗殺したのだと。やはりあの時、情けを掛けなければ良かった。魂離術を使わなければ、あの人が此処まで生きられずに種が滅べたのに・・・!!俺は急いで王宮へ戻った。王子は危ないので小屋に置いておいた。

その日の夜。ラヌメットは王宮にいた。暗殺したという顔は一切していない。何故か?簡単だ、犯人が分かってないからだ。あの時いたのは王とラヌメットのみ。それに唐突だったのだ、兵も動いてないだろう。眠ろうとしたが、眠れない。そこで俺はとある場所で気休めしていた。その時、草音が響いたので俺はそこに向かった。

・・・予想通り、奴はそこにいた。奴は俺の存在に気がついて無かった。全てを照らす月は、俺の全てを焼き尽くす。この身は既に限界状態だ。もう分かっている。表に出た。俺は全てを見てしまった。信じたく無い事実。奴は覆い隠した、もう無駄である。王を殺した所を見た、俺はそう伝えると奴は冗談だと流そうとした。

あの時が始めてだ。この国で化物の姿を他人に見せたのは・・・。

当然一部の人を除く皆が知らなかったのだ、奴は完全に動揺を隠しきれてなかった。むしろ当然である。その後は俺もはっきり覚えてない。ただ、リデァの話からだとどうやら俺は相当ヤバイ事になっていたらしい。死にかけていたのか、人間ではなくなりかけていたのかは言ってなかったが、とりあえず今の俺の様な状態では無かったのは間違い無いだろう。

その後どうしたかというと、奴は逃げたそうだ。俺自身も魔力が限界であったのだろうか、あまり深追いはしなかった。俺は王子の元へ訪れ、王宮へ行った。

 

それからは長い戦いが始まったんだ。

 

その後俺は王子を連れて王宮を逃げた。絶対に狙われる・・・そう思ったからだ。それから約3、4年だろうか。俺はソニックの元へ訪れた。

当時ソニック達は何をしていたかというと、裏世界のソニック達と戦っていた。ただシルバーとシルフィはあまり乗り気では無かったのか、あの2人はどちらかというと会話で争っていた覚えがある。しかし終盤戦に入ってくらいだろうか。戦っていた場所が崩れて始めたのだ。想定外の出来事で、その時はソニックやシャドウ、シャック等は完全に気絶状態、シルフィは動けはするものの自分だけでは無いと救えない状態だった。唯一攻撃から身を守ったシルバーも全員を運ぶのは限度があった。俺はシルバーに話した。

「我の心を受け入れれば、彼らを救ってあげよう。時間は無い、応えろ」

当時彼は驚いていた。それもそうだ。姿が半透明であったのだから。だが周りを見てもいつ崩れても可笑しくない状態で彼は迷いが晴れ、俺を受け入れた。その時は彼の身体を借りて、6人全員を救った。以後俺はソニック達と本格的に触れ合う事になった。

 

それからしばらく経ったある時、俺は自らの手で此処を分からなくさせてしまった。

 

俺の酔狂と彼の実験で起こした異変『天気異変』。アレは紅月とは全く関係無い。その代わり、といえば良いのだろうか。俺は友人に頼みガナールを作った。友人は素直に喜び、それ以降の開発は月の研究に加え、人を作る様になる。それが後に『ギリシア計画』になるのだが、俺はそれを肯定し、一部を手伝う事を約束した。事実、ギリシア計画で誕生した人(人格)は、全員狂わず且綺麗に事を進め、本当に人である様に行動していた。今では殆どは全滅してしまった。誰のせいかはもはや言うまでもない。だが、一部の人は生き残っており今現在も生きている。ガナールもその1人である。この天気異変で様々な事が分かった。彼もまたかなり複雑な関係であった。その人とその人は赤の他人だ、その人とその人は同一人物だ、その人とその人は兄弟だ等様々な情報が出た気がする。

異変が起った年の秋頃、ルナは襲われた。命に別状は無かったが、重症であった。他にも助手や作られた人などアファレイドで俺に関係した人物をメインに襲われたのだ。実際、俺・ガナール・シルバー・ソニックも目撃者である。そう、食事会の時に黒い奴が現れて俺達を襲ったのだ。その時はガナールは眠っていたが、残る3人は実際にいたのだから間違い無くサプライズという感じでは無かった。俺達は黒い奴を退治する事になるのだが、相当大きい上弱点らしい特徴も見当たらず、3人でも苦戦を強いられた。その後色々あったが言えば長くなる。またいずれ話すとしよう。

もうこれで御終い、かと思ったら大間違いである。この2つの事件に後大きな事件が発生する。事実、この事件は今もなお実在する事件である上、全く情報が無いという調べ難い事件でもある。今思えばあれほど動いたのはどれくらい前だろうか。

俺はアファレイド魔導王国に来た時からあの事件までを『英雄悲劇五大事件』と呼んでいる。ラネリウス暗殺事件、天気異変、アファレイド襲撃事件、天地異変・ソニック暗殺事件。ー残り1つの事件は・・・。

 

・・・俺でも分からないのだ。その事件が何だったのか忘れてしまった様だ。しかし俺はそれを大きな大きな事件だと思っている。何故なら、此処の過去は完全にハッキリ覚えているのにも関わらずその事件だけ分からない。つまり誰かが俺の記憶を奪ったのだ。俺が触れてはいけない所を触れてしまったのだろうか?誰が記憶を奪った?それを知るのはきっと犯人だけだろう。

 

「眼で見たこの記憶 返してよ」

***********

これは俺が見た記録の一部である。

一応言っておくが、この出来事はいずれ事実になろう。友人であった俺が言うのだから、多少信じられそうだが、信じるかはお前達次第だ。

ー信じないのなら、内容を忘れて貰いたい。信じるのなら、内容を決して伝えずに奨めて貰いたい。信じるかはお前達次第。見るか否かそれもお前達が決める事だ。

 

ある力を持つ様になった彼は、影の使者と共に、永遠の魔導師を守ろうとしたんだって。それと同時に調べたんだ。ー永遠の原因は何か、何故こうまでして守ろうとしたか。とある日に世界を揺るがす程の情報を手に入れたんだ。

その後どうなったと思う?本人に話してしまって、記憶を消去されてしまったんだ。でもね、何故か消去していた記憶は、再生し増殖してしまって消去は無意味になったんだ。彼はこう考えていたんだって。「貴方がいるから絶対に記憶は取れないんだ」って。永遠の魔導師は気がついてなかったみたい。『記憶が戻っていた事』に。永遠の魔導師は当時とても焦っていたそうだよ。普段感情を表に現れず、只々与えられた使命を果たすだけの彼が、焦る程の情報って一体何だろうね?

その情報は今どうしているかって?簡単、誰にも言わずに隠しているんだって。でもね、俺は完全に隠している様には見えないんだ。実際、彼らの行動を見てみても、明らかに単独で行動している様には見えないんだ。2人だけでは行動し難かったのだろうな、多分数名教えている筈だ。彼の友人の精霊や、魔導師の親友、選ばれし者を選ぶ者とか教えているんじゃないかな?

何で隠すんだろうと考えてみても、俺はこんな噂を信じているんだ。

 

『100年前に起こった異変・・・簡単に言ってしまえばヒーローが居なくなったあの事件の解決方法は“全滅”ではなく、“封印”だったんじゃないかと。そしてそのヒーローの友人がその“封印”に巻き込まれた。その友人は今も尚その姿のままで生きている』。

 

噂・・・よりかは多少信用出来る話。でもこの噂は皆困っているみたい。ヒーローが全滅させたという話が多いし、この噂に関連する事件の真相は未だに闇に包まれているんだ。

 

でももしこれが本当なら、この世界は本当に危ないかもしれない。その友人が『封印』の解き方を知っていたら操られてしまえば平和であった此処は御終いだろう。また、もしこれを聞いて、英雄を拒む者が友人を襲う事になったらー。

 

きっと皆は英雄の予言を信じてるだろう。

でも、それは私が見たのと同じ。

教えてあげて、言って欲しいそう言ったから。

 

 

あとこんな出来事があったんだ

でもこの出来事は誰も知られてない

あったこと自体忘れている

魔導師ですら知らなかった出来事

知るのは英雄と友人だけ

創造主だ、我は

それを知る人ならば

創造主だと言っても構わない筈

だって、知る人は我以外いないのだ

語る術は私しか居ない

英雄はもう居ない

 

だから・・・

 

「出来事を知るのは私だけ その時は私が創造主でしょ」

 

誰もが知らない出来事を 私が紡ぐんだ

私が出来る事 それはこれを抱く事

抱く事が出来るのは私だけ

伝えたらいけない出来事

教えれば 何か起こるから

知る人は 誰も居ない

魔導師ですら 知らない

忘れて しまったのだ

 

私がこの事件を紡ぐんだ

誰も知らないから 1人で全てを負う

紡がラナイと 忘れてしまう

知っているのは 私と彼だけで良い

知ってしまえば 皆動けなくなるから・・・

***********

「シルバーは何処?」

「彼ももうすぐ帰ってくるよ」

「何でこんなに忙しいの、シルバーは」

「ああ、それは新しい本を作る為だからな」

「それを50年続けているんだ」

「ああ、まあ今は普通に此処ら辺を探っているだろ」

「でもさ、何で全く老いらないの?それは俺もそうだけど」

「彼は元人間の不老不死だ。厳密に言えば、不老不死ではないが似た様な感じだ」

「ー?それは一体「俺は元々此処を守る為に生きているから」」

「・・・シルバー、帰っていたのか」

「窓から入るって、ダイナミックお邪魔しますって・・・」

「まあまあ。まあ、此処を守る為に俺は生きているんだ、友達もこれを承知の上で行動している。テイルスとかな」

「ハハハ、面白いね、君は」

「アッシュも元気そうで何よりだ」

「でもさ、何でウォイスには黙っているの?黙っている必要なんて必要無いと思うんだけど」

「ウォイスには黙っているのは、お前の容姿の影響だが」

「奴が不老不死だと思ってないだろう。彼からすればもうお前は老人なのだぞ?普通に考えろ、50歳だと言っていた人が15歳だったらどうなる?」

「そう、だよね・・・ゴメン、シャドウ。変な事言って」

「いや、良いのだ」

「しかしよく隠せたな・・・。ム」

「シルバー、シャドウ大丈夫」

「ああ、大丈夫だ・・・共鳴反応か」

「結界の所有者だから起こるんだよね・・・可哀想」

「そうか?ルミールに話が出来るのは幸福だ」

「ーちょっと待ってろよ・・・」

そう言うと彼らは眼を閉じた後、パタリと倒れた。家で且カーペットだったので痛くは無いだろう。そして服の隙間で見えた胸元には人柱の印が出ている。シャドウは太陽朱い光を、シルバーは三日月蒼い光を放っていた。だが、放っている光は服で遮断されていて、普通では全く見えない。成程、だから服を着ているのかと思った。・・・シルバーは趣味などからして決してそんな理由では無いのだろうけど。

「そう、彼らは結界の所有者。だから、生きないといけないんだね」

そう言って俺は彼らに布団を掛けた。寒くならない様に。少し皮膚に触れた、すると不思議な事に温もりを感じられた、何というか、親に抱かれた時の愛して欲しい感じが込上がってきたのだ。

「シルバー、シャドウ、甘えて甘えて~♥」

言ってみたかっただけ。起きたら抱きしめて貰おう。

***********

続きは後で。結構疲れてしまいました。というのもテストですので。

しばらく居なくなります1週間程・・・

では。

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。