夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

日記の二の巻~Mortal sin

さて、『私』が言った事を整えた所で、『ワタシ』の結論・・・というよりかは推理だけども・・・それを言おうかな。

『ワタシ』だと『私』とごちゃごちゃになっちゃうから、以後『ワタシ』はアイと言っておこうかな。

私は同一人物であり、他人でもある。それ以上言っても訳分からないだろうから、これ以上は言わないでおこう。

 

アイは悩んでいたんだ。『何故こんな事が起こってしまうか』ってね。単純にアイは自分の存在もそうだけれども、使命等でアイ自身が耐え切れなかったんだと思うよ、今になって思うと。多分私は無茶をしていたんだ。使命だけ果たし、他は切り捨てる。それが例え愛情であろうが、アイは切り捨てた。当然、何も感じずに切り捨てた訳ではない。アイ自身も心があったから、泣いている日々が多かったと思う。ただ、他人には誰にも見せたくなかった。こんな泣き顔を、情けない様子を他人に見せたくなかったんでしょう。だって、アイは他人を誰よりも愛している上、自分を犠牲にしてまで他人を助ける覚悟を持っている。だから自己犠牲をよくしていた。泣いている姿を見せるのは『私』や相方ぐらいしかいない。あの方ですら、冷静になって振舞ったり、笑って周りを和ませようとしたりするのだから、アイにとっては相当辛かった。だからアイは時々自殺を図ろうとした。しかし、アイは多分、使命という鎖に阻まれていたんだと思う。当然だろうな、アイの使命は誰よりも重かった。少なからずアイがいる時間の間でアイの使命は多分一番辛いのだろうな。色々複雑な理由がある上、極秘情報だから、詳細は言えないけれど、アイの使命は『普通の人より重い』のは見て取れた。死にたかったけれど、死ぬ訳にはいけなかった使命・・・って一体何だろうね?少なからずアイにとっては使命が一番だと考えていたのだろう。

『使命』が嫌いという意味ではない。しかし『使命』は希望になれば絶望にもなったのだ。アイの場合、友情面で豊かになったというのが希望になり、死んではならないというのが絶望になった。『使命』を果たす、その為ならば多少の犠牲も必要な事である。そう考えなければならなかった。しかし、アイがそんな事出来る訳が無かった。何故なら、アイ自身が『仲間が殺される』という事にトラウマを抱いてしまっていたからである。アイは目の前で仲間で死んでいくのを見たのをきっかけに、仲間を犠牲にするというのは非常に心が痛くなってしまった。だから、目の前で其れを見たりすると、発作や暴走を招いた。いや、最悪言われただけでそんな事が起こる場合があったから、重症であろう。しかも、あの事件ー相方が行方不明になった時以来、そのトラウマが大きくなったのか、その発作や暴走は尚更強くなってしまった。だから、なるべく一人にさせない様にした。いつアイの異変になっても対応出来る様、友人がつきっきりでいたりしている。アイは『寂しがり屋』、というイメージが強いかと思われるが、それでもアイは他人を傷付ける事は一切しなかった。仲間が殺されるその光景を見てさえいなければの話だが。

以前アイは自身の能力を最大限に発揮し、アーチメイジ3人をアイ1人でボロボロにさせた事があった。しかも、それは圧倒的差で勝ってしまったのだから、皆が恐れた。『アイを暴走させない方が良い』、それは敵・味方関係なく怯えてしまってそう考えたから、皆怯えていた。それはアイ自身が一番理解しきっていた。ボロボロにした後、アイは泣いていた。「何でこんな事、しちゃったんだろう・・・・」と言っていた。その泣き声は『私』によって殆ど忘れかかっていたけれど、多分敵がアイを見た時は、何となく『刺激させたら大変な事になる』と感じるのだろう。何故かその恐怖は覚えていたらしいから。因みにその時のアイはその和やかな雰囲気とは打って変わっており、殺気とも言うべき禍々しい気配を装った静かな感じになっていた。静かな狂気、それで皆凍りついた。アイは何処か子供らしい所と大人らしい所を持つのと加え、何か人間離れした独特の雰囲気を持つ子だ。だから誰もが寄せてくる。その独特な雰囲気は誰もが癒される様な感じを持つ。特にその雰囲気は歌を歌っている時等に多く、その時は大抵笑っている。だからアイは好まれるんだ。あんな大きな事件があっても、『絶対アイはやってない』と完全に信じ込ませてしまうから、何処に行っても、アイの周りに友人は絶えない。それがアイにとっても喜ばしい事であった。アイ曰く友人の一部はいじめられていた人達も混ざっているという。アイは愛されていた。だから少し羨ましい様にも見えた。

 

・・・アイについては、大体これくらいだろうか。あと、アイという名前ではない。『ワタシ』を具体的に現した名前をアイとしているだけで、『ワタシ』は『ワタシ』で名前がある。つまりアイというのは偽名だ。でも、アイは生きている。使命もちゃんと果たしている。暴走も、起こらないでいる。

だから怖いのだ。『暴走』が起こらないのは良い事だ。だが、その分溜まっているのでは、と感じるからだ。何となくだが、この後暴走を起こす。何となくそんな気がして・・・。

***********

続く。

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。