夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

日記の三の巻~Nuit d'orage

闇と光は反対の意味を持つ。しかし、人によっては闇が光に、あるいはその逆になる場合がある。例えば、今日の天気が晴れだったとしよう。運動会等をやる場合は『喜び』を表せるが、長く続く晴天の場合、農家達が『困った』という感情を生むだろう。あるいは暑くて農家の人達以外にも迷惑に感じる場合があるかもしれない。

善と悪も似た様なモノであろう。良いと悪いは流石に最低源のボーダーラインがあるだろうが、「誰かの為に嘘をつく」という行為は、時として善に繋がる事がある。しかし『嘘』自体はある程度の人は嫌う。まあ、そういうものである。

見方は人それぞれ。だからこそ、誤解を招くのだ。だが、同じだとつまらない。

俺はそれを利用した事があった。天気を操り、全ての人類に悪影響を与えた。誰もがその先の天気が分からないのだ。それもそうだ。『皆、皆天気が違う』のだから、誰の話を信じれば良いのか分からなくなる。むしろ信じるのは自分の目だけと考えた方が良いだろう。実は、あれは異変起こす前の感情をそのままにして表したモノでもあった。結果、遊び気分が晴れを呼び、慎重に物事を進めようとする気分ならば雷を呼んだのだ。

ガナールは一体何を考えているのだろうか。その考えは彼の入れ知恵なのか、それともガナール本人が心から望んでいるのか、あの人の意識を引き継いだからなのか。他人だから、俺には理解しきれない。予測は出来ても、真理は辿り着く事は無い。・・・シルバーの持つ『あの力』を持っているのであれば別の話ではあるが。ただ、あの力は魔術でも解明させる事は出来ない。それに、もしそれが成り立つのであれば、大変だろう。俺の母国にもそんな術は無かった。つまり・・・あれは超能力の類だ。ならば、俺がどんなに研究を続けても、無意味であるという訳である。

 

エメラルド守護者。それはかつての英雄『ソニック』が守る様指導し、選ばれた守り人。その守り人は生涯カオスエメラルドを守護するのを目的としている。そして、守護者の為に輪廻転生の輪を外れた者は、役目を終わると同時に老いていく。俺は一生朽ちる事の無いこの鉢でこの世界を見守っていく事であろう。輪廻転生の輪からは離れず、特殊な方法で輪廻転生を早めている彼女は、微妙ではあるが。ただ、確実に居なくなるであろう人が幾つかいた。その内の中には、俺が認めた魔導師等もいる。俺はその感情を抑えながら、生きなければならない。

結末は分からない。だが、使命を果たすにはどうすれば良いのか、それを知っているだけ、マシだ。どう動けば良いか。簡単であろう。奴を殺せば終わるのだ。・・・悪魔の種を植えつけ、最終的には宿主の心を乗っ取ろうとする悪魔・・・。俺はその悪魔の血を引いている。それは、俺がどう拒んでも変える事の無い宿命である。だから、嫌だった。さっさと消え失せて貰いたかった。・・・だから、奴を成仏させる。策はあるのだ・・・、必ず生きて帰らせてやるからな・・・ラヌメット。だから、それまでは我慢してくれ。

 

ー何、心配いらないさ。俺を誰だと思っているのだ?

 

『誰もが認める『永遠の魔導師』なのだぞ?』

 

永遠ならば・・・此処で死ぬなんて、出来ないだろう?

 

貴方の手がどんなに汚れていようが、俺には関係無い。俺は貴方が嫌いだ。だが、気持ちは分かるのだ。・・・この世界は醜い。だから愛してしまったのだ。こんなに一生懸命に生きようとする生物を。その醜い世界を、貴方の独断で潰せはさせない。あってたまるモノだろうか。そんな簡単にこの世界は渡しはしないさ。それが俺の『悪』であり、『善』であるのだ。

『お前はかつて、罪を犯した。それは俺にも及んだ・・・覚えているのだろう?』

忘れたとは、言わせないぞ?それで、最愛の妹を、父を、亡くしたのだからな。

嘘ハツカセナイノダカラ・・・。

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続く。

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。