夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

全テノ始マリ

レヴィアーデンは、昔々栄えた国で此処では初の魔導王国であった。レヴィアーデンは元々はレヴィアエデンと呼ばれていた。楽園えと続く国、神聖なる場所であると現在ではそう伝えられているが、実際の所はレヴィアタンと呼ばれる海の怪物(他の書物では悪魔とされている)がいたとされている。だが、神聖なる神様のお陰で、そのレヴィアタンは消滅し、楽園となった。それが、レヴィアエデンと呼ばれる様になった理由だ。

魔導歴0年、当時の王『アルベア』とその周囲の貴族ら20名程度の人は、魔術を誕生させた。以前、レヴィアエデンと呼ばれた時代は神様のみが扱える術が欲しかったのだ。それをアルベア王は知り、そしてこの国に魔術文化が欲しくなった、という訳である。それに関わった内の1人で、私の父であったグロディアは後にアルベアの王位を引き継ぐ事となり、王となる人物だ。そして、私の母であるルフィアは闇魔術に魅入られ、狂気を仰ぐ事となり、今現在も誰かを乗っ取り、操っているのだろう。

それ以来、レヴィアエデンは文化が急速に発達し始めた。魔術という攻撃手段を得て、敵国の攻撃を防ぎ、見事その領土を勝ち取る事に成功していた。この時頃に『レヴィアーデン』と呼ばれる様になり、この名は今現在も子孫の国とも言うべき国、『アファレイド魔導王国』で語り継がれている。レヴィアーデンは、当時では最も豊かに過ごせる国とされており、隣国であるラトルシェーンとは仲が良く、食文化も発達した。

そして魔導歴15年、この頃になると魔力を持った子供が誕生する時期になった。特にこの時代の子供はそれなりに強い魔力を持っていた為、レヴィアーデンは多くの子供を生まれた。実際私も、その中の一人である。私は魔導歴15年1月23日に生まれた。この時点で魔力とは別に、水を操る能力があったので、水と氷、water・iceで『ウォイス』と呼ばれる様になった。魔術の創生に関わった者同士の中で生まれたというのもあり、周りからは『生粋の魔導師』と言われ、私は期待されていた。そして2年後に、妹『ディアナ』が生まれた。これもまた期待されていた。

 

魔導歴23年、アルベア王はルフィアにより射殺された。皆の前で演説をしている時に狙われていたのだ。この時点でルフィアは闇魔術に魅了されていた。幸い、アルベア王は妻が妊娠出来ない身体になっている事を理由に、後継者を決めていた。その後継者が私の父・グロディアだった。「王位を継ぐ為の戦争なんてゴメンだ」、そう言って父は王位を引き継いだ。アルベア王が書いた直々の書物があった為、戦争もなく、非を唱える者は殆どいなかった。母はそれを望んでいたというのを知ったのは、随分後の話である。

父が王位を引き継いだ為、私はレヴィアーデンの王子となった。当時7歳で、何で自分が王子となったのか、何故王宮に住んでいるのか等、当時の私にはそんな出来事は到底理解出来なかった。幼すぎたのだ。何故こうなったかは、私が物事を判断するくらいの年齢になってから、知った。

ロディアが行った行為は、戦争をしない様に心がけた事くらいだろう。正直、王になってなかった私は、街の様子を見て、それを報告するといった、住民と関わる事が多かった。母、リフィアはそれを望んでいなかった。後で分かった事だが、この時母は父に悪魔を擦り付け、戦争にまみれた世界を作ろうとした。彼女は他人の悲鳴を聞くのが好きだったからので、こういう事をしようとしたのだろう。

平和主義であった父と、好戦的な性格をした母の衝突は何度かあった。私と妹はよくその衝突を抑えるのに苦労したのを、私はよく覚えている。

 

魔導歴30年、レヴィアーデンは滅びた。理由は母、リフィア率いるテロ組織がこの国を徹底的に排除に掛かったからだ。当然、父や私、妹は止めに入ったが、圧倒的強さに敗れ、レヴィアーデンの住民の殆どは殺されてしまった(テロ組織も)。生き延びた人は私や母ぐらいだろう。30年という短い期間の間で、この魔術文化は成長するのを止めてしまった。しかし、その魔術文化はとても優れており、何万年も経っても尚、成長を続けている。

そしてその後、リフィアは大量殺人を行い始め、私は彷徨い始めた。「行くところが無い」、ラトルシェーンで私は弱音を吐いた。レヴィアーデンは滅んでしまったのだ、私はどうすれば良いか、悩んだ。すると、フォルカは『悪意の種の回収』をお願いしてきた。

「悪意の種を1000万個、集められたら罪は浄化され、悪意に囚われた者は闇から開放される」

それは、とてもとても長くなる指令でもあった。

その時既に私は、呪いに罹っていた。『不老不死』という、永久に滅ぶ事が無くなる呪いと、満月とその周辺の3日の夜に姿を変えてしまう呪いを・・・。その呪いの嫌気が少しだけ救われる、そんな様な感じがした。しかし、私からすればそれは只の暇つぶしぐらいにしかならなかった。

 

そして、英雄歴が使われる様な時代が訪れた。

 

英雄歴-70年頃、私は親友ガラルと共に過ごしていた。ガラルは明るく、そして優しかった。基本敬語に近い口調で喋っていた。私にとってこのガラルの存在が何程救われていたのか分からないくらい、仲が良かった。彼の紹介で、私はアファレイド魔導王国に住む事になった。今にして思えば、あの事件の発端は此処からかもしれない。彼との生活は楽しかった。しかし、長くは続かなかった。13歳に不治の病に犯され、14歳というあまりにも若い年齢で、彼の生は終えた。

それから何時頃いたのかは分からなかった。だが、前代の王は私を見て、王宮に連れて行かれた。理由は魔術の才能からであった。私は元々レヴィアーデンの魔術を扱えたので、此処アファレイド魔導王国の魔術を覚えるのは容易であった。それがこの国ではとても珍しい出来事だったらしく、私は称えられた。その為なのかは分からないが、職に就いたらどうだ、と勧めてきた。私はその誘いを受け入れた。そして、噂が噂を呼び、前代の王が亡くなり、ラネリウス王子が王になった時には既に『永遠の魔導師ウォイス』の名を知らぬ者はいなかった。そして、この時期から、私は本格的に宮廷魔導師になり、この国を動かした。

それは15年くらい前の事であっただろうか。私の弟子は何故か闇魔術に魅入られた。そして、ラネリウス王を暗殺した。私はあのトラウマを思い出した。あの出来事が、類似して起こっていた。この時点で誰がこれを招いたのは誰か、直ぐに分かった。私は怯えていた。もし、王位を継ぐ相手を決めるのに、戦争が起こったら。そして王位を継いだ王子を殺して、弟子が王になってしまったら。・・・私はそれを恐れ、王子を連れて、脱走した。

ソニックらに会ったのはその後である。当時ソニックらは裏世界にいた。それを見ていた私は助けを求めた者に手を貸し、ソニックらを助けた。それ以来私はソニックと友人になり、時には強さを競い合ったりして、楽しかった。だが、私は心に穴が空いていた様な気がした。なので、私はルナと協力して、『従者』を作った。それが、後に鎖術師と呼ばれる様になったガナールである。ガナールはあの人達の意思が詰まっている。私はガナールを温かく愛した。そうして私達は豊かに生活していた。しかし、それも長くは続かなかった。ソニックは闇を封じる際、猛毒を受けてしまった。もう長くはない、私はそう告げると、ソニックは重すぎる現実を受け入れた。だが、周りの友人、特にテイルスとシルバーは受け入れられなかった。テイルスはソニックの右腕とも言うべき相手だったのだから、当然だろう。一方シルバーは、未来で仲間と呼べる人が少ないのからか、目の前で消えていく命を見るのが彼はとても辛かったのだろうと、私はそう思う。

そして、英雄歴0年。ソニックは仲間達に見守りながら、静かに息を引き取った。そして、ソニックの伝説は『伝説の風の使い』等と称えられ、100年経った今でも、伝説の話は今も綴られている(つづられている)。そして、ソニックは私達に「カオスエメラルドを守ってくれ」という使命を与えられ、今もこうして、カオスエメラルドを守護している訳である。特に、シャドウとシルバーの使命は重かった。彼の生命は、この平和を保つ事に繋がっていた。その為、彼らが死亡したら、この世界は再び闇に包まれてしまう。両者も不安であった。シルバーに関しては、英雄歴90年辺に起こったアレ以来、その心は不安定になり、時々暴走も引き起こした。

先程少し言ったが、英雄歴90年前後は激動であった。まず、シャドウの柱が崩れ、結界は不安定になった。そのせいで、紅月は不完全に復活し、肉体は得てない、それこそ本来のガナールに近い形になっていた。

また、エメラルドを守っていた場所の一つ、アポトスで崩落事件が起こり、カオスエメラルドを一個強奪された。その時の悲劇は、シルバーがよく分かっている。

アポトス同様、エメラルドを守っていた場所の一つ、ライデン村で激闘の末、守護者であるスペードが死亡、その妻ルシアもその後の悲劇で亡くなった。幸運にも、カオスエメラルドは無事だったが、あの悲劇以降、そのカオスエメラルドの行方は分かっていない。いや、感づいているが、本当かどうかは分からない。それらの事件で、エメラルド守護者の者達は厳重に警戒をした。

そして、英雄歴100年。スペードの息子であるスパークと、その仲間達が動き出した。その中には私が探していた人物もいた。私は、会いたいという気持ちと、エメラルドを守らなければという気持ちが混ざり合って、混乱した時期が一時期あった。

激動するこの事件の間にも関わらず、彼はまだ帰って来ない。いつになったら帰ってくるのだろうか・・・。おそらく、もうすぐ来るとは思うが・・・。

そして久々に夢を見た。『襲ってくる守護者と戦っている様子』を私は見ていた。そして、その中には彼の姿があった。だから、もうすぐ来るだろう。そう信じて、私は眠った。

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end.

 

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。