夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

日記ノ十三ノ巻~Scream

「どうしてこうなったの・・・」

「嘘つくな。貴様がやったのだろうに」

「私が?どうして・・・?」

「覚えてない・・・?どういう事だ」

「分からない・・・分からないよ。助けてよ、君が全てを・・・アア、助けてよ、私を」

「助けて・・・?人殺しをしたお前に、助けを求めるのか?」

「嫌・・・人を殺すのは嫌、もう見たくない・・・・・・殺めるなんて、嫌だ・・・・・・嫌なんだ・・・・・っ!!」

そういう彼の胸元には、淡く薄い光が漂っていた。その瘴気は彼を覆って、そして黒く変色したり、蒼くなったりとしていた。そして、彼の微かな声には悪魔の召喚術が・・・。

「イヤ・・・止めて!!!これ以上、私を混乱させるなァアアア!!」

最後の部分は悲しんでいる様にも見えた。そして、苦しんでいる様にも見える彼の周りには、無数の白い得体の知れないモノが。悪魔の召喚ではない、これは・・・何だ?

「お願い・・・・・・あの人を・・・眠らせて・・・・」

そう言うと、彼は倒れた。倒れている間も口が動いていた。分からないが、おそらく術を操っているだろう。そうでもしなければ、白い化物が自分を襲う筈が無いからだ。

『イヤ・・・』

ただ、悲しげにそんな声が脳裏の中で刻まれていくのだった。

「・・・おいおい、何故こんなに悲鳴をあげているのだ?ってうわっ!!」

白い化物が斬りかかって来た。しかも、かなり強い。

「ちっ・・・大人しく眠っていろ!!」

睡眠魔術を唱えたが効かない。契約の解除の仕方も分からないし、知ってても、多分効かないと察した。全ての支配権は彼にある。彼を殺せば・・・。

『ーだから、嫌なんだ・・・・』

それが心臓を貫いた様な感じがして、震えた。ー彼、心を読めるのか??

・・・詳しい事は後にしよう。今は白い化物を排除する事からだ。会話を試みたいが、それより前にくたばりそうで怖い。

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。