夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

幻想の赤月 5章 Changes from black to white

注意 ・黒羽様の作品の派生作品で、本編と関係があります。

   ・許可は得ています。

   ・本編を知らない人は一回見るのを推奨します。

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赤く黒い者、青く白い者の争いは続いた。

心の叫びが響く。その声は塔の外でも微かに聞こえた。

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??? ロストタワー最上階層 シルバー

「物理が効かなくても攻撃は出来るんだよ!!」

そう言って一気に鎖が俺を目掛けて襲ってきた。

右に避けた。その上でナイフが降ってくる。

「・・・たとえ形は無かろうとそんなの関係ないさ!!」

ナイフを操り、そのままディアに襲った。

避けた。だが隙が生じた所を俺は見逃さなかった。

煙を利用しそのまま後ろに行った。彼女にはバレてたらしく、すぐに後ろを振り向いた。そのまま接近戦だ。

「・・・羨ましいよ。」

同時攻撃。そのまま遠距離攻撃を仕組めば・・・!!

「グレーバウンド!!」

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結界組 ロストタワー第1階層 ソニック

「ところでテイルスは??」

シャドウが走りながらそんな質問をしてきた。

「ああ、テイルスなら神殿に行ってもらったよ」

「大丈夫だよな??」

俺はやや心配したがウォイスはさらりと「大丈夫だ」と言っておいた。

「・・・つか、一つ言いたいけどさ、これ無重力空間じゃないか??」

上に行けば行くほど、重力が無くなっていく気がする。

「って、何ですか!?これ!!」

目の前に階段が無い。その代わり、岩があちらこちらにあった。一応言っておこう。塔だよ。明らかにオカシイだろ!!!

シャドウ・ウォイスは構わずにそのままピョンピョンと飛んで行っていた。

「ここは殆ど重力が無い!!岩を利用して上に登れ!!」

「三角飛びを利用して行けという訳か。お安い御用さ!!」

月の重力くらいだろうか。案外大変だったが、それなりに楽しめた。

「次はどいつだー!!」

「敵らしいな。さっさと片付けるぞ」

「・・・これで終わればいいですけれどね」

俺らはそのまま攻撃の構えに入った。

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??? ロストタワー最上階層 ???

目の前でお前は倒れた。

ようやく決着が着いたのだ。お前なら分かる筈だ。

・・・お前の生活もまあ悪くなかったが、やはり友人の所の生活の方が楽しい。

でもこれだけは言わせてよ。

何故こんな事をしたかを。お前はこの質問に全く聞いてなかったでしょう??

 

もうこうするしかないんだ。敵になってしまった以上、こうするしかなかったんだ。いやでもこうするしか方法は無かったんだ。

何故気づかなかった?? 裏切るならもっと前にやれば良かったのに。答えろよ・・・。答えてくれよ・・・!!!

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結界組 ロストタワー第1階層 ソニック

「これで全部か??」

「そうみたいだ。・・・シアン、シャオン。あまり魔術は使うな。使えば使う程儀式の成功率が低くなるからな」

ウォイスは念を押した。まあ、当然の事だ。途中で無くなればやり直しになる。最悪、結界に飲み込まれる可能性だってありえるのだ。

つまり彼はお前達の手にかかっている と言いたい訳だ。

「・・・彼はどこにいるんだ・・・??」

シルバーは不安そうに質問してきた。俺はとりあえず

「多分、頂上だと思うぜ。・・・理由は分からないけどな」

と言っておいた。

 

あの結界はウォイスのみ1回行なった事があるらしい。悲しみに囚われた彼は幸せの世界を作ろうと、闇の住民を一回封印したらしい。結果は分からないが、その結果で彼の思考が変わったというらしいが、本当にやったか、また本当に思考が変わったかは不明である。

 

ロストタワー第2階層

この時点の標高は約100m。ここには何故か王宮の様な部屋が沢山あった。

「ここは『彷徨いの鏡の間』・・・。時間などで移動場所が変わるんだ。結果、彷徨ってしまうという嫌な所なんだ・・・。」

「なぁ、此処は何だ??」

「・・・ああ。これは星座ごとで分かれるみたいだな。お前ら、誕生日は何だ??」

「俺は6月23日だぜ」

「・・・僕も6月23日だ」

俺・シャドウは同じ誕生日だ。これにより、日にちごと、月ごとでも抜けるまで必ず共に活動ができる。

「えーと、俺は12月21日だ。ウォイスは??」

「俺は1月23日。・・・シアン・シャオンは何だ??」

「私は3月12日です。」

「僕は3月29日だよ」

 

・・・これで分かった。俺とシャドウはかに座。♋ シルバーはいて座。♐ ウォイスはやぎ座。♑ シアンはうお座。♓ シャオンはおひつじ座。♈

「・・・よし、行くぞ。正直な所に行け。嘘つけば殺される可能性も否定出来ないからな」

♈、♉、♊、♋、♌、♍、♎、♏、♐、♑、♒、♓。 十二星座ごとに扉がバラバラだった。皆指定の位置に着く。

「いいか??もし大変なことがあったら、通信機を使え」

「了解!!」

俺達は目の前のドアを開けた。

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「・・・やはり、負けるとは思っていたけど。」

「・・・申し訳無いが、これも運命の一つだ。敵として現れた以上、止めを刺さなくてはならないんだ」

「貴方はそれを望んでいるの・・・??」

「・・・そんなの・・・望んでなんか・・・・いな・・・いさ」

「・・・何故敵なのに泣いてるのよ??」

「殺したくない・・・。」

「そう・・・それなら殺すんじゃないかなァ!!」

「・・・!!」

グサッ・・・。

 

此処にあったのは絶望だった。

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??? 真実の鏡 ツィンク

殺したくない彼の気持ちがあるのは、弱さなのか、それとも優しさからなんだろうか。今まで犠牲を見てきた彼なら分かる筈だ。何故言葉で解決しないのだろうか、と。彼は平和主義者だ。おそらくだが、ソニック達の友達の中でも平和を誰よりも愛してると思う。だからこそこの犠牲が守ろうとする力を生じるんだろう。時には覚醒する者もいる程だ。

「・・・シルバーさん、可哀想ですね」

フォルカがぽつりと呟いた。

確かに彼も可哀想だ。殺したくないのに殺さなくてはならない・・・。それは大変な事だろうと思った。

「・・・ソニックの方はどうなんだ??」

「はい。それがー」

「・・・何だコレ??」

「彷徨ってます」

「いや、それは分かるから。聞きたいのは何故こんな差があるんだという事だ」

「?ああ、脳の錯覚みたいなものですよ。トリックアートみたいなものです」

脳内で彷徨っているというのはまあ、現実では無い事を。となると幻術を見破れる彼はどうなっているんだ??

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結界組 ロストタワー第2階層 ウォイス

「・・・!!幻術か!!」

入った後およそ1分で気づいた。そのお陰で全く彷徨わずに済んだ。一方ソニック達はというと・・・

「Noooooooo!!!」

ソニックの悲鳴が響く。目立つよ。目立って敵に見つかるよ!!

シルバー・シアン・シャドウ・シャオンは俺程ではないが、やや曇った顔をしていた。おそらく何かに気がついたのだろう。そしてそこから出る方法を探している(又は実行中)のだろうか。

ちなみに山羊座(やぎ座)は大自然に囲まれた所があった。おそらくだが、その星座のイメージが幻術となって出てくるのだろう。まあ、双子座・天秤座・乙女座が何なのか知りたいが。

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??? ロストタワー最上階級 シルバー

目の前にいる者の魂が抜けたのが見て取れた。

これがディアの最期だ。

透明だったけれど、感情は実物だったみたいだ。

形の無い感情(何て言えばいいか分からないが、もやもやみたいなもの)があった。

敵のグループは青ざめていた。死んでしまったことにショックを受けてるのだろう。

「・・・だから裏切るなら早くやれというったのにな」

「貴様ァ!!許せないぞ!!」

敵が怒ってしまった。物理関係の攻撃するにしても無駄だというのに。

「お前達の勝手な欲望で全て壊れてしまうんだよ!!!!」

悲しみに囚われてしまっている事自体、分かっているさ。

 「!!」

カオスエメラルドが輝いている。ディアの分合わせて7つ、俺の前にあった。

「・・・カオスエメラルド。もし俺の声が聞こえるなら応えてくれ・・・」

「キシィアアア!!」

「俺はやりたくなかった事をやりざるを得なかった。だがそれは言い訳にしか過ぎない。でも皆それを望みたくなかったんだ」

「・・・貴様!!!」

「もう、終わりにしたいんだ。意見が違うだけで変わってしまうなど見たくない。だからカオスエメラルドー」

「行け!!」

カオスエメラルド!!!皆が望む世界を創る鍵になってくれ!!!!

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 結界組 射手座の王宮 シルバー

「!! 誰だ!!!」

急に幻聴の様な声がした。周りを探してもいない。

(・・・気のせいか??いや、そんな筈がない。)

 王宮内は静かなのだが、声が響く。これでは心霊スポットではないか!!

『助けてよー もう一人の俺・・・』

はっとした時に見えたのは泣いている俺だった。

「・・・助けないと・・・。」

この時俺は俺に洗脳されたのかもしれない。そして此処は幻術で作られた王宮だと気がついた。

幻術から元に戻る方法。それはー。

「痛!!」

ほっぺを引っ張るなりして、ショックを与える事だ。

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 結界組 牡羊座の雲 シャオン

ふわふわしていて気持ちいい。でもちょっとおかしい気がする。

『おい、シャオン聞こえるか??』

ウォイスからだ。テレパシーの能力を使ってるみたいだ。

『聞こえてます。何があったんですか??』

『・・・そこ、幻術で作られた世界だ。目を覚めせ。』

『え・・・??』

彼がいうからには多分正しいと思う。けれど・・・

『どうやったら元に戻れるんですか??』

『んじゃ夢から覚めるのと同じ事をしろ。』

『・・・了解しました、落ちます』

『え・・・!?頬を引っ張るとかは無いのか!?』

ウォイスの話を無視して落ちた。あまりにも速く落ちるので、怖かった。

 

ロストタワー第2階層

「うわぁあぁぁああ!!」

「うわぁ!!何だ急に!?」

僕の悲鳴にシルバーが驚いたみたいだ。

「うわぁ!!スミマセン!!」

「いや、俺も悪かったぜ。・・・まるで悪夢を見た時の起き方みたいだぜ」

「・・・本当に落ちたんだな。悪夢だっただろ??」

「ウォイスの警告を無視しなきゃ良かった・・・」

僕は僕のやった事に少々後悔した。

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??? ロストタワー最高階層 シルバー

「・・・。」

殺しはしなかった。ただ、気絶状態にしただけだ。そして脳を刺激させた。

これで攻撃は出来なくなった筈だ。

時には知らない方が良い事もある。知りたがり屋は若死にする なんて冗談(なんだろうか)は通じるかもしれない。

「まぁ、此処にいるのは儀式の為だしな」

このまま戻るのもあまりやりたくないので俺はそのまま此処で待機をし、あえて演技をするのもいいかもしれない。

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結界組 ロストタワー第2階層 ウォイス

「ふぅ~。大変だった。」

シアンもゴールしたみたいだ。問題はソニック・シャドウだ。

ソニックとシャドウは魔力を持たない(厳密に言えば殆ど無い)。結果、テレパシーが使えないのだ。エメラルド繋がりでもあり、尚且つ超能力を扱えるシルバーは、出来るかもしれないが、エメラルドが無い上、必ずしも使えるとは限らないので、事実上テレパシーは出来ない。

さらに、通信機が使えないのだ。幻想世界は脳内再生によるものが多い。脳内再生中の彼らは幻想世界を現実世界として見ている。あくまで幻術なので気づけばその場で元の世界に戻るが、それまでは反転した様な感覚になるらしい(俺は幻術・洗脳系の能力・魔術は効かないので全く分からないが)。

ただし、夢の中でも魔力は存在しており、幻想・現実世界別々でもテレパシーが使えるようだ。

「テレパシー能力は無いのか?シルバー」

「・・・やってみる」

蟹座の台に立っている彼らの頭を両手で掴んだ。

「・・・少し待っててくれ」といって、そのままテレパシーを試してみた。

 

「・・・聞こえるか?? お前達がいる世界は実は幻想世界だ。目を覚ましてくれ。・・・頼む。」

成功したのだろうか。成功を祈りながら、彼の話(?)を聞いていた。

「・・・大丈夫ですよね、ウォイスさん」

「・・・・。」

「ふぅ~。成功したみたい。多分目覚めると思う」

「よしっ!!お疲れ様!!」

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??? ??? ???

「お前は誰だ??」

「ディアを探す者、グデァリア」

「・・・お前は闇の住民か?」

「ああ、そうさ。ディアはどこだ」

「残念だな。ディアはもういない」

「・・・貴様が殺したのか??」

「そうだ と言ったら??」

「殺すしかないようだな」

「だが、あっちにも非はあるさ。峰打ちで留めてやろうと思ったが、抵抗するからな・・・。きっとお前には分からないだろうけどさ」

「・・・。」

「それ以前に何故ここに来た??」

「あいつらの侵入を防ぐ為」

「・・・醜い戦だな。呆れたぜ」

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結界組 蟹座の海 シャドウ

「水は嫌だーーー!!!!!」

「落ち着け。これは夢だ!!」

「苦手なのに落ち着け!?そんなのー」

そういった時、ソニックが光の様に消えた。夢から覚めたのだろうか。

「なら僕もやらないといけないのか」

僕は溺れてしまおうか。

 

ロストタワー第2階層

「・・・ゲホッ!!ゲホッ!!」

死ぬかと思った。溺れる手段しか無かったのだろうか??

「よし、これで全員だな。行くぞ」

「ハァ!?」

「今夜の12時25分だ。ちょっと早めに行かなくては」

『・・・カオス!!コントロール!!!』

「!?ソニック、聞こえたか?」

「ああ、聞こえたさ、シャドウ。シルバーは??」

「・・・聞こえた。誰がやってるんだ??」

ここの周りに時空が歪んでしまっている。

「!!!?」

気が付けば僕達の意識が遠くなっていた。

 

目覚めるとそこには目の前に光がある階段の上にたっていた。

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続く。

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人物紹介

グデァイア 本名グデァイア=グルール。ディアの恋人でもある。闇の住民の一人だが、人の世界に興味を持っていたらしい。恋人の為なら殺されても構わないという心構えをしているらしいが・・・。

 

一気に飛びました。本当に(ry 多分7章で100年前の出来事、そして8~9章で黒羽様の世界を一部公開(これはウォイス達目線で)を、10章あたりで番外編をちょっと書こうと思います。 多分これで後半ようやく行ったって感じです。この後もよろしくお願いします!!

 

日本和訳・・・黒から白に(変わる)です。

 

 

 

 

 

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。