夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

幻想の紅月 ???  守護者狩り  中編

??? ???

「・・・何だ??」

「シャオン!!大変よ!!月が欠けているわ!!」

「・・・分かっている。」

「もぅ~!!うるせぇ~なぁ~・・・どうした??」

「・・・これ、犯人紅月じゃない」

「ハァ!?」と彼女が言っている間にシャオンはそのまま理由を言った。

「だって彼らは魔導師が多いんだよ??満月は魔力が最も出せる時期。それを封じるんだから明らかに不利になる。・・・第三者の敵か味方がやったんだよ。」

「・・・可能性として、住民や過去を知る者、守護者、裏切り者とかやったでいいのか??」

「・・・うん」

シャオンが黙って頷いた。

「ちょっとー!!私無視ですかぁ!?」

「これは重要な異変だから、少し考えさせて、サファリ。ところでエメラルドって今何個だったっけ??」

「判明してるのは4つ。残り3つは不明だ。」

不明である1つは行方は大体分かっていた。シャドウの持っていたエメラルドだ。前に操られた姿で攻撃してきた。おそらく狙われて捉えられたのだろう。そんな彼だが、ウォイスの情報からだとシャドウは『ある少年』に助けられたという。その人は誰?って聞いたが、彼も知らないみたいだった。

(『ある少年』というのは誰だ?シャドウと関係性があるのはほぼ間違い無いけど・・・。彼一匹狼のイメージがあるからな・・・。一体誰だ??)

それ以前に調べて分かった事だが、結界の所有者だと事が一番も驚きだ。・・・だが、彼だけなら不自然だ。彼は結界を剥がされてしまった。にも関わらず、未だに闇の住民が出ない。だからー・・・えっと・・・そのー・・・

「あ~!!もう訳分かんね~ぜ!!コレ!!!」

「えっ!?スパーク大丈夫!??」

「・・・ああ」

俺は夜空を見上げた。さっきまで満月だったのが、今は三日月になっていた。

***********

戯言の森 ウォイス

シャドウを置いてきてしまった。この時聞いたあの言葉。

 

守護者狩り。

 

おそらくこれまで守護者と分かっている奴を捕まえる作戦であろう。

だが、あの口調から察するに俺を守護者では無いと勘違いしてるみたいだ。

(残念。俺は守護者でもあるんだな、これが)

紅月達はおそらく守護者を指揮するリーダー的存在だと勘違いしたのだろう。

口調から分かる事はもう1つあった。そう、『守護者では無い』と確信すればこれは無害である。結果として俺は『ついでに』だった。

この時点で明らかになってないのは3人。だが2人はもう表に出ている。ソシアと俺だ。ソシアはエメラルドの守護者では無いが、近い位置にいるのは明確だ。疑われる者は確実に狙ってくるだろう。あと1人はシルバーなのだが、行方が分からなくなってしまった。確実に狙われる。このままでは・・・!!

「・・・一回ソシアの所に行くか。」

・・・殺されてた可能性も低くはないが。

***********

フロォームスクエア(元ステーションスクエア) シルバー

「!?紅月の奴か!?」

「守護者狩り、まずは1人目・・・」

「!!ぐっ・・・」

・・・リレイドだ。歩いてた所を狙われそのまま気絶、そしてライザに連れ去られた・・・。

(・・・守護者狩り?まさかあいつらを狩って、俺を探す気か・・・??)

少なからず危ない事は分かった。・・・そういえばソシアは??

神々の神殿まで近い。そのまま俺は神殿に行った。

 

神々の神殿

・・・彼女は無事だった。

「・・・どうしたの??」

違和感を感じた。普段彼女は敬語の筈だ。

「・・・敬語はどうしたんだ??偽物」

「・・・バレてしまったらしょうがないわね。」

「ところで、お前誰だ??」

結界の所有者、エメラルドの守護者だとバレない様、知っていても知らないフリをして質問をした。

「・・・私?私はライザ・・・ ねえ、カオスエメラルドって知ってる??」

・・・やはり紅月のやつか。

「知らないな。ところでソシアは何処に行ったんだ??」

この時あまり言葉にしない方が良いと考え、そのまま彼女の事を言った。

「此処にいるわよ。当然渡さないけれどね」

ソシアは気絶した状態で倒れていた。ソシアは何かを言いたそうな感じはしたが、言えない。

「・・・なら、全て戻してやるよ!!」

「なっ・・・!!!」

・・・・・・。

 

簡単だった。ライザはそのまま気絶した。

俺は気付かれない様に伝達鳩のフロームを取って、ある手紙を入れた。

「・・・だが、俺の存在がバレたらマズイな」

「それなら俺に任せな」

「! ウォイス!?」

「・・・記憶処理は得意魔術だからな。シルバーに関する事全て取ってやろう。」

「ありがとな。シャドウはどうした??」

「守護者狩りで狙われた。守護者にテレパシーを使ったが、お前以外反応が無かったからな。それに疑わる人物、いたら不利になる者も兼ねて。」

「・・・俺は無害だ。まあ当然と言えば当然だが」

「起き上がる前に消去する。ソシアはあいつらの方に送らせておけ。」

「了解。」

 

そのまま彼女は目覚め、ソシアを連れて行った。実際連れて行かれるのを2人見たので間違い無い。現在無事が確認されているのは俺とウォイスだけ。

「ウォイスで選ばし者達・・・シャオン達の所へ行け。俺はまだ隠れている。余裕があれば1人で侵入する。」

「・・・いいだろう」

「そういやお前、この異変に影響無いのか??」

「俺にまやかしなど効かない。俺の見る物は真実だ・・・」

つまり彼の見るのは全て正しい。幻想など全く効かない・・・。羨ましいのか悲しいのかイマイチ・・・。

 

「・・・そういや手紙読んで無かったな。読もうか」

ソシアが書いた手紙を開いた。

『ウォイスさんとシルバーさんへ

おそらくコレを読んでる頃には私は敵の集まる方へいると思います。2人なら多分此処に来るだろうなと思い、これを書きました。』

・・・ああ。確かに此処に来た。2人共。

『敵の拠点がどこか突き止めました。しかし言葉で言っても分からないので地図を入れときました。おそらく私達はここにいます。シルバーさんの持つカオスコントロールで行けると思うので助けに行ける余裕があるのなら助けてください。おそらくですが、シャドウさんを始めとする守護者の人達で内側から壊すと思います。拠点にはウォイスさんとシルバーさん以外のエメラルドがあります。・・・スパークの父、スペードさんのエメラルドも。チャンスはいずれ来ると思うので来ていただくと幸いです。しかし、拠点は拠点。紅月は此処にいるでしょうし、ましや私達の所まで来れるかというと判断しかけます。いずれこうなるだろうと想定していた私はある物を作っておきました。・・・多分選ばし者の一部は連れて行かれるでしょう。その時は貴方方が選ばし者を知る者として、助けてあげてください。私の部屋、ある物はあります。』

・・・スパークの父、スペード。彼女に頼んで忠告を出したのは良かったが。ウォイスも警告はしていたのは分かっていた。ある方がそこを滅ぼした。誰がやったかはもう分かっている・・・。

・・・昔話は後にしよう。とりあえず今は彼女の部屋に行くべきだ。そのまま俺は彼女の部屋に行った。

 

ソシアの部屋

少々暗いが、明るいとも感じた。明るく感じるのは俺とウォイスだけが見える満月の光からだろうか。

「・・・これだな。」

誰もいないか確認して開けてみた。

「ありがとうな、ソシア」

ウォイスの方は何かの砂と呪文集とクラウディアアイスの杖と変わった靴があった。

そして俺の方は銀製のナイフと懐中時計と杖『ディファレート』と見覚えのある服があった。

ウォイスは今までで一番喜んでいる顔を浮かべていた。

「・・・ウォイス、何故喜ぶんだ??」

「この砂・・・。珍しい砂なんだ。俺の杖の上を目指す時に必要な」

「他は持っているのか??その上は??」

「ある。その上は『フローズンレファル』。俺の知る限りでは氷・水強化杖はこれが最上級だった。『ディファレート』はちょっと変わった杖でな。持つ者によって属性が変わるんだ。人によるが、使い方次第では俺の杖と同じくらい強くなる」

中身的にこれは俺のでは無い。・・・これはー

「・・・これは、彼の物だ。彼を呼ぶ」

「ガナールを呼ぶのか??」

「ああ。」

「分かった・・・」

***********

??? ???

「・・・くっ」

「やはり貴方もですか・・・スパークさん、サファリさん」

「・・・シャオンは逃げる事に成功したんだな」

「ああ。まさかお前が所有者だったとは・・・」

「そうだろうか??・・・あいつに助けられたが、また捕まったか」

「・・・あいつって誰ですか??」

「・・・正直言ってあまり覚えてない。姿を隠していたし、しいて言うなら声がー」

「静かにして。誰か来る」

サファリの声に反応し、静かにした。

「・・・!?ちょっと、大丈夫!?」

守護者が倒れている。・・・正直名前を聞いてないので分からないが。

「守護者狩りか・・・。酷いよな、また襲ってくるんだし」

「・・・多分、全員だよね・・・。どうしよう・・・。闇に包まれちゃう・・・」

「大丈夫です。守護者はまだいます。それも、とても強い人が」

「だが、これで8人~9人くらいだぞ? まだ会ってない守護者は2人だけ。手遅れだと思うが。シャオンしか・・・」

「いや、貴方は6人会ってます。それも近くにいた人がそうです」

「・・・? それとさ、月が欠けているよな?何故だ??」

「この術を一瞬の内に出来る奴・・・あいつだけだな」

「あいつって・・・??」

「・・・永遠の魔導師の従者・・・」

「・・・誰なの?」

「いずれ会うだろう。言わないでおく」

「えー!?教えて教えて!!」

シャドウはそのままツンとした感じで立っており、サファリはシャドウのお腹をポコポコと殴っていた。

守護者はあと2人。その内1人会った事のある人物・・・? 誰だろうと考えながら牢獄の時を過ごした。

「しばらく見ない内に成長したんだな・・・」

シャドウの言っている意味も少し考えたが。

***********

??? シャオン

サファリ達を置いて行ってしまった。でも、皆捕まったら救えない。逃げた。

「・・・どうしよう。エメラルドも取られちゃったし・・・」

と呟きながら行ってみると、ある事に引っかかった言葉を吐いた者の声を聞いた。

「しかし、そんな事してもスパーク達を助けられるかどうか・・・」

・・・?スパーク??とりあえず話をしている人を寄った。

「ちょっといいか?スパークって選ばれし者・・・ですよね??」

すると黒い服でまとった人(男か女か分からない声)が言った。

「ええ。そうですよ。・・・貴方はさてはシャオン??」

「敵か!?」

「いいえ。紅月とは対立の関係です。それに私は過去に貴方と共に戦ったではありませんか」

「えっ・・・?僕は知らないー」

「そうでしょうね。記憶を失った部分の所ですからね・・・。」

「え・・・?じゃ、貴方は」

「そうです。私・・・僕は100年前の英雄の1人です。隣、ウォイスも」

「・・・覚えてないだろうと思ったぜ。しかし、守護者狩りの最中に選ばれし者となったお前を見つけるとは・・・。」

「お前にとっては初めましてだな。俺はウォイス、隣はガナールだ」

「・・・以後、お見知りおきを」

「!?ウォイスってまさか・・・」

「魔導師としての知恵はあるみたいだな。そうだよ、永遠の魔導師だ。」

「ウォイス様、今は自己紹介してる余裕はありません。記憶を元に戻さないといけませんし・・・」

ガナールは丁寧な口調で話している。・・・この人はソシアみたいな人物なのだろうか・・・?

「そうだな。だが、それは後でで構わない。とりあえず助けに行くぞ」

「・・・はい」

ウォイスとガナールは答えがまとまったみたいだ。するとウォイスが問いかけてきた。

「・・・シャオン、助けに行く勇気と自信はあるか??」

「あります。頑張ってみます。」

「・・・決定ですね。行きましょうか」

「そうだな・・・。この夜が終わる前に」

彼はそう言った。彼らが言うからには、彼らは敵の本拠地にいるという。シャドウの行方を問いかけてみたが、知らない様だった。助けたのは不明のまま、らしい・・・。 

・・・これが終われば過去を渡してくれるだろうか??もしそうなら、この事件で、スパーク達が知る僕はこれで最後となる・・・。

記憶を取り戻しても友達として笑ってくれると信じて、僕は彼らの言う通りにした。

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??? ガナール

「・・・それではここで失礼します」

「?何故行かないんだ・・・??」

「用事が出来たんです。申し訳ありませんが、2人で助けに行ってください」

「・・・分かった。2人で行こう。だが・・・」

「大丈夫です。もう仕組んでますから。では、失礼します」

そう言った後俺は闇魔術で消えた。

???

「誰にも、邪魔はさせない・・・。例え友人や兄弟でも容赦はしない・・・。過去にそんな事はやった・・・。邪魔する者は俺が操るだけだ・・・!!」

過去にも・・・あった。この様な形は・・・。あの時は彼が邪魔をしてきた・・・。だが、今は違う。守っている・・・・ 俺を守っている。それはとても心強かった。綺麗な音が聴こえる。今は俺の方が有利・・・。神に抗う者に勝る者は無。神に逆らえし者は罰を受ける定め・・・。倒す。絶対に・・・

此処が元々いるべき所・・・。今なら出来る・・・。さらに敵側を不利にさせる魔術を。それは他人の魔力を自分のに変える魔術。長期戦になればなる程、相手は弱っていく・・・。これを仕組めば、確実に・・・。

「・・・ウォイス様、準備は出来ましたよ。確実に仕留める魔術を・・・」

後はあいつらがどう動くかに任せよう・・・。まあ結果幻に終わってしまえばいいのだが・・・。

「Cry of the soul、Despair、Barrier、Cage、Loneliness・・・」

魂の叫び、絶望、結界、檻、孤独感・・・。激しい雨の中で、お前は何を望む・・・??

・・・まぁ、後ででも構わない。この結界は守護者と戦う時も使える。チャンスは来る。いずれ・・・。

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後編へ続く・・・。

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あとがきは後編で。更新が遅れてスミマセン><

 

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。