夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

幻想の赤月 ??? 守護者狩り 後編

注意・黒羽様の派生作品です。

  ・許可は得てます。

  ・ネタバレ注意です。

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戯言の森 シャオン

「・・・ここって、フェイクループの・・・」

「ああ。看板には入るなって書かれているし、熟練者と共に行動をしないと確実に迷子になる。・・・その為基本入ったら通報されるのだが。」

「でも通報されてない。どうして・・・??」

通報というのはセンサー的な物で感知され、それを警察が見るので潜入は極めて不可能に近い。

「結界の関係者・・・俺やシャドウの様な人は感知されない様になっている。戯言の森は100年前の状態とほぼ同じだ。公の場では『自殺の名所になるのを防ぐ為』となっているが、本当は『紅月の者達に気付かれない様に』なんだ。悪魔がいるとか、踏み入れたら2度と戻れないとかあるけどな。通報されない者は基本結界の関係者か警察の者かのどちらかの可能性が高い。・・・まあとても迷いやすいがな」

「・・・僕が結界の関係者だった。だから??」

「ああ。・・・立ち寄った跡が残っているな。シャドウか、それとも彼か・・・」

「彼・・・??」

「いや、何でもない。気にしないでくれ」

その後、ウォイスは悲しい顔をした。何か理由がありそうだが、聞いても多分聞き流すだろう。無意味だと思ったので聞かなかった。

「・・・確か戯言の森の中央にロストタワーがあるんでしたっけ??」

「そうだ。魔力溢れる所だ。・・・ところでシャオン、今月はどんな形をしている?」

「三日月。下手に魔力を使えば・・・」

「そう・・・やはりな。ちょっと目を閉じろ」

「・・・??」

その後、ウォイスは呪文の様な言葉をブツブツと唱えていた。

「目を開けてみな・・・」

彼の言われた通りに開けてみた。周りが前より明るい気がする。月を見てみると、そこには満月があった。

「僕に何を??」

「・・・異変の影響を無くした。俺は大丈夫だ。幻術や洗脳の魔術は一切効かないからな。証拠として満月前後の姿になっている」

「異変を知っているのなら、解決に向かえばいいのでは・・・?」

「そう考えるのが普通だろうな。だが、この方が好都合だ。こっちは満月だが、あっちは三日月。魔力の量で考えるならこっちの方が有利の位置に立っている。それに俺は犯人を知っている。いざとなれば倒せるしな」

「そうか・・・。あ、」

奥の方に白い羽があった。

「とても綺麗な羽・・・。鳥でもいたのかな?」

「・・・。・・・これ鳥じゃない」

「え??」

「急ごう。嫌な予感がする・・・」

「はい・・・」

鳥じゃない??彼は何を言っているんだろうか・・・??

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??? ガナール

「・・・あーあ、暇だなぁ・・」

術を唱えてから実質暇なのだ。うーん、参った。この服で街中を歩くと明らかに目立つ。あ、そうだ。術使えばいいのか。とりあえず晩御飯を出した。その後にゆっくり考えよう。

「・・・そういや、守護者達は今頃何をしてるんだろうか・・・。」

完全にOFF状態である。異変や事件の最中なのにも関わらず。まあ暇がある事自体、このあとはそうそう無いだろうからゆっくりしておこう。

ちなみに今日の晩御飯はカツサンド。腹が減っては戦が出来ぬ。あっちは人が多いから多分ワイワイしてるだろうけれど、食べ物は出てるか事自体不明だ。

食べてる時に思い浮かべたが、ぶっちゃけ彼に事情を話して、自分の家で待機すればいいんじゃないか??と思った。

そうすれば行こうとなればすぐに行けるし、何より心地良く眠れる。最近は不眠の時が多いのでそろそろ眠った方が良い気もする。ここまでで距離はあまり無いし、まだ存在が判明されてないので普通の住民として過ごすのが、一番妥当だと思った。無理に助けようとすると逆効果の可能性もあった。

「よし、今日は彼らのご飯を作って寝よう。うん。それがいいだろう」

勝手に決めたが、問題は無いだろう。そうと決めたら、術で服を変え、そのまま瞬間移動で街中付近に行った。

・・・俺が出ている間は彼はただのオブジェ・・・。

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??? シャドウ

「腹が~!!!」

スパークが叫んだ。・・・成長してないのか、その辺りは。

「・・・確かにそろそろお腹減っていますよね。」

奥の方でワイワイと盛り上がっている。宴でもやっているのだろうか。

「・・・しかし、此処は暇だな」

「ちっ・・・。」

フォン。目の前にサンドイッチが落ちていた。

いや、周りにもおにぎりやホットドックなどが落ちていた。そして紙切れが落ちた。

紙切れにはこう書かれていた。

『転送魔術で食べ物を出した。ゴミはお前達で持っていてくれ。・・・さっきウォイスとシャオンが合流し、助けに行っている。エメラルドも取り返そうと努力をしてるが、取り返せなかったら申し訳無い。・・・牢獄内は魔力が多いのでもし魔導師がいるなら瞬間移動かステルス移動の方が良い。 宜しく頼む。』

誰かは書かれて無かったが、内容から察するに彼だろう。

「・・・決して喜ぶな。影で食べろ・・・。」

僕達の食料。とても重要な物だ。お茶もあるとはとても気がきいている。

「・・・しかし、彼らが合流は初めてじゃないか?」

スパークは食べながら、ひそひそと喋った。

「未だに不明だ。彼らの関係は・・・」

「うん。」

「それ以前に誰が送ったの??第一私達が捕まっているのを何故知ってるの・・・?」

サファリは疑問に思っているみたいだが、守護者達は誰が送ったか薄々だが分かっていた。ただ、どうやって知ったかは分からない。公の場に出てないし、どうやって知ったかは不明だ。だが、知っているのはいい情報だ。隠れる事が出来るからだ。

(ただ、余裕があったという事は、彼今暇なんじゃないのか・・・??)

目立たない為にも影でサポートしてくれるが、やるべき事はやったのだろうからという考えから生まれたのだが、今彼がどんな風になってるかは知る由も無い。

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??? シルバー

「・・・いるか?」

『お前が自ら此処に来るのは久々じゃないか?シルバー』

・・・ある者の声が響く。ある者とは言っても人では無いが。

「・・・ああ、そうだな。こちらにも色々な事情があったからな・・・今は俺しか声は届かない。」

『何があったかは見た。貴方はどうも唯一狙われて無かったな』

「当然だ。公の場に出てないの、俺だけだし」

『どうりで・・・。ソシアらもいなくなった今、結界の場所がバレる可能性があるぞ??ソシアが此処を守っていたからな』

そんな事情があったのか。余計な不安を胸にしていた訳だ。だが、その不安は今は実在している訳である。

「成る程な~。んで、あいつらが助けに行ったから俺は暇人ってな訳でな」

『だから我の所に来た、と?』

「そうだ。フォルカ達にも会おうかなとは思うが時間がな・・・。」

『時を止める事が出来るだろうに?』

「正直暇なのは今だけだ。本音は今すぐ寝たい。」

さらに言うとウトウト状態だ。いつ倒れて眠るか分からないくらい眠い。

『今日の休養はとても貴重だから寝ときたい、と?』

「だってここ5日程寝てないんだぞ!?眠たいのも分からなくも無いだろ!!」

人は1日くらい寝てなくても平気だと思うが、5日となると睡眠不足だ。1日でさえ睡眠不足なのにも関わらず、だ。

『い・・・5日って。流石にそれは酷いな・・・』

「どこかの誰かさんとは違うんだよ。不老不死じゃないんだし」

『どこかの誰かさんって誰だよ・・・』

「・・・紅月とシャドウとウォイスだよ!いい加減にして欲しいぜ・・・」

『不老不死には適わない訳だな?』

「紅月は別だけどさ。よくあいつら起きてられるよな・・・ 実力なら自信があるが」

『・・・まあ、常識外れだよな、お前の能力』

時を操る能力は満月時のウォイスもその能力を持っているが、物を操る魔術は実質存在しない。理由は不明だがウォイス曰く「属性が不明だからだろう」との事だ。属性不明の魔術は大体存在しない事から由来するらしいが、真相は不明だ。

「まあ、そうだな。そろそろ本題入っていいか・・・?眠い・・・」

『どうぞどうぞ。』

「・・・結界の中と持久はどれくらいだ?それだけ確認したかった。」

『持久は68%くらいだ。結界内はこれだ』

万華鏡みたいなのが出てきたので覗いてみた。

 

・・・? 魔術が効いている・・・?誰がやったんだ・・・??

とりあえず闇の住民は悲鳴を上げている。

《ソコニイルノハワカルヨ、シルバー・・・》

そんな声を聞いた。その声はー・・・。

(・・・未だに根に持っているんだな、あいつ)

 

『どうだったか?』

「とりあえず凄い事になってるのは分かったぜ。・・・ディアの恋人、唸っていたぜ・・・」

『・・・シルバーは分かっているんだな。闇の住民を』

「当然だ。特徴は掴んでる。守れるかは不明、だが・・・」

『シャドウはどうだ??』

シャドウ。あいつは結界の所有者だった。だが、奴らのせいで溶けている。

「守護者狩りで捕まった。残っているのはシャオンと俺とウォイスだけだ。知ってる限りでは・・・」

『捕まってる守護者は皆、エメラルドを無くなっている奴だけだったか・・・』

「ああ。それ以前にあいつら勘違いしてるっぽいし」

『・・・?』

「・・・シャオンを探す方が目立っていたみたいでな。あいつら守護者だと全く気づく気配無しだったぜ。多分指導者として見てるぜ。笑える話だよな・・・」

『・・・指導者か。まあ間違ってはいないけどな』

「まあ、そうだよな。忠告するの大体彼かソシアだもんな・・・。」

『そうか。・・・ところで今何時だか分かっているよな??』

「ああ、今、夜の8時だ。8時21分。」

厳密に言えば今22分になった所だ。

『・・・どうせなら8時20分と言えばいいのに。』

「・・・中途半端でも言ってしまうんだよな、これは」

『まあ、よい。そろそろ帰りな。明日は多分早いぞ?』

「そうだな。しばらく行けなくなるが、申し訳無い。」

『しょうがないじゃないか。まあ、大丈夫だ。行きな』

「ああ・・・。今日はありがとな。結界者、ルミール」

そう言って俺は家に戻った。

 

シルバーの家

久々にお風呂に入れる。とりあえず身体を洗いたかった時が何度かあった。

ウォイスはまだ水を操れるから身体を洗おうとなれば洗えるが、シャドウは大丈夫だろうか。彼を思い浮かべたら苦笑いをしてしまった。

「・・・。あいつら、大丈夫だよな・・・」

お湯に浸かっていながらポツリと呟いた。

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??? ウォイス(満月姿)

「此処が拠点付近・・・?」

「ああ、そうだ。」

拠点付近。そこにはかつてラリネウス王がいた魔導王国『アファレイド』があった所の近くだった。

(ラリネウス様、約束していた通りに来ましたよ・・・)

ラリネウス王は100年前(厳密に言えば大体だが)に当時側近の立場にいた紅月によって殺された。俺も側近の関係に位置する関係にあった為、実質紅月とは面識がある(当然生身の状態で)。彼は王子までもを殺そうとしたが、殺しにくるだろうと察知した俺は王子を隠し、ラリネウス王の代わりとして王子を育てた。その王子というのが彼なのだが、正直言って王子らしさは無い。記憶を失っているのだろう。

元々紅月とは仲は良かったが、あれ以来両者敵視する様になってしまった。ソニックを死に追いやった原因の1つでもある。シャオンやスパークは1年前に存在を知り、シャドウやシルバーは100年前にも存在を知っていた。だが、おそらくだが紅月の元々の姿を知るのは今回の事件の関係者としては彼自信と俺だけだろう。今回この様な事件があった原因は俺と紅月の対立からだ。多分これを知るのはあいつらだけだ。正直言って罪悪感がありすぎて、時にはそれによる頭痛などもあった。

その後はそれに近い者が努めていたが、紅月の手により崩壊をしている。

「此処も崩れかけてますね」

「ああ。・・・ラリネウス様。申し訳ありません。この100年間の事件を防げられなかったのは・・・私のせいです。」

「・・・?」

シャオンは理解出来てなかった。そのまま俺の懺悔は続いた。

「・・・好戦的な性格の彼・・・紅月は今世界を滅ぼそうとしてます。私も努力は尽くしてはいますが、彼の勢いが凄くあまりよろしくない状況です。過去に彼を説得すれば良かった・・・。けれども過去は元に戻せません。あの仲が良かった頃には戻る事が出来ないのです。思ってみればソニックの死へ追いやったのは私と紅月なのです。・・・彼らが攻撃を仕掛け、私はそれを守り続けた結果がこれなんです。いずれ決着を付けないといけないー・・・」

「・・・!?」

シャオンは動揺していた。当然である。関係があったとは誰にも言って無かった。

「・・・あの事件が無ければ皆幸せに生きていけたのに。平和を戻す為なら、彼を殺めざるを得ない事になります。その時俺はどんな顔でいればいいか分からなくなります。笑っていいのか泣いていいのか怒っていいのかでさえ・・・。ラリネウス様、私は・・・俺は永遠の魔導師の顔あるのですが、もう1つの顔があります。私は本来いる筈の無い人物なんです。・・・私は、俺は元人間の神様なんです。いずれ言おうと思ったけれど、殺されてしまい100年も黙っていました。宗教とかで出てくるウォイスは私の事です。ーお許してください。紅月をこの手で殺める事になっても、この世界を守れなくとも、守れてもー・・・」

「・・・ウォイス・・・??」

自然に涙が出てきた。儚く悲しくて虚しい過去が嫌だった。

「もう、嫌だよ・・・。彼もこんなの望んでないのに・・・。何故抗わないといけないんだ・・・? ラリネウス様ならどうしますか? このような関係を持っていたとすればー・・・」

「もう・・・言わないで・・・」

シャオンの方を見てみると彼はもう既に泣いていた。

「・・・どうして・・・どうしてずっと黙ってきたの?? ねぇ、約束した筈だよ??ウォイスー・・・」

彼の目にはあの時と同じ瞳を持っていた。間違い無い、この瞳はあの時のー

俺はそっと彼を優しく包む様に抱きしめた。

「・・・記憶が戻ったんだな、シャオン」

「・・・忘れていてごめんね、ウォイス・・・!!」

どのような原理でこうなったかは分からない。でもここは素直に喜ぼう。シルバーにも伝えておかないと。

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 真実の鏡 シルバー

「・・・彼の関係は主と従者だったんだなー」

俺は魂の状態(睡眠状態なので)で真実の鏡にいた。

「フォルカも元気そうで何よりだ」

「ハイ。まさか過去に紅月とシャオンに関係があったとは思いませんでした」

ウォイスは過去に酒を飲んでいた時に聞いた。『事件ちょっと前にシャオンと関係がある』と。正直言わなくとも大体分かっていた。紅月に対しても考えが微妙にズレていたので過去に何かあったのだろうとは思っていた。

「・・・三角関係だったんだな。紅月がシャオンに対して何か変だったのはこの為か。」

言われてみれば3人共魔導師だ。魔導王国出身だったからだ。ウォイスはもっと前からなので、彼にとってはお世話になった国だ。

「ルミールはどうだった?」

「元気そうだった。今では俺にしか声が届かないと思うとアレだよなー・・・」

「・・・うふふ、そうなんだ」

神様である事、俺はそれを知っていた。初めて会った際、こんな事を言っていた。

『・・・俺はウォイス。永遠の命を持つ水神ー』

水神。水の神様の略である事は多分皆分かるだろう。

「・・・永遠の時を刻む、か」

「そうね。今日はもう遅いから帰りな」

「ああ。ありがとなこんな夜中に」

「ええ。」

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??? ???

彼の声は俺のところまで及んだ。

・・・敵なのに、泣いてしまった。・・・それは俺も同じなんだよー・・・

思った瞬間、頭痛がする。

「大丈夫ですか!?紅月様!!」

「アア・・・ダイジョウブダ・・・ウォイス・・・シャオン・・・」

彼らがあの所に育った所だ。そして、オレも。

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??? ガナール

俺の懐中時計が光っている。おかげですぐ戻る事が出来た。

・・・シルバーには悪い思いをしてしまったかもしれない。あの時言っていれば良かったと少し後悔した。

だが、もうそんな時間は無い。

本名も正体も言っていなかった。本名はあるのだが、あの時以外言った事が無い。正体も。

色々な意味で謎に包まれている。語ろうとしない。

「・・・俺は・・・」

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シルバーの家 シルバー

俺はあの時、彼らの過去を知ってしまった。

今回の、これまでの事件の黒幕はー・・・『彼ら』だったと。

やっている事が善でも他の人から見れば悪にも見える様に。

必ずしも悪が全て悪い訳ではない。善にも悪い所があるのだ。

やはり欲望の戦いに飲み込まれていた。分かっていたさ。あの魔導王国に何があったんだろうか・・・?

これで、分かった。全て分かってしまった。

これで全ての事件の関連が見つかった。ウォイスは全て体験している。その次に体験が多いのは・・・紅月と俺とシャオンとシャドウだ。4つの事件が今回関連してる事が分かった。4つの物語が1つの物語を作っているのだ。・・・怖い。

(・・・もしかして彼は最初から知っているんじゃ・・・)

普通に考えるならそうなる。時を運ぶ魔導師。

・・・。考えすぎてしまった。俺はそのままベッドに行こうとした。

『・・・聞こえるか?シルバー』

『今寝ようとしてたのに、一体何だ?』

ウォイスのテレパシーだ。

『・・・シャオンの記憶が戻ったんだ。何故かは知らないが』

『お前、さては魔導王国にいるな?』

『!?何故分かった・・・?』

『ガナールからの情報でな。ついでに真実の鏡で見ていた。当然あの関係も知っている。いや、とっくのとうに、な』

ガナール。彼はこう言っていた。

《・・・ウォイスと紅月とシャオンの気配が普通の人とは違うんだ。何故か3人だけ違うんだ。ーその3人の気配はほぼ同じなんだ。・・・シルバー、どうしてだと思う?普通に考えるなら特別な所にいたとしか考えられないよ・・・?》

実際スパークはあまり興味を示さなかった事の疑問もあったので、尚更信じられた。俺は調べてみた。すると魔導王国の本があったので読んでみると一致したのだ。その、気配に。その気配はラリネウス王の側近だった者だったのだ。

それが、1つの事件と関連すると分かった理由だ。

『・・・黒幕を知っているんだな。まあいい。』

ウォイスは予想していただろう、声に変化が無かった。

『黙っていてゴメンな。ー正直言ったら戦えなくなるんじゃないかと思って・・・』

『いや、いいんだ。気づかれるだろうなとは思っていたから』

『そうか・・・』

『それだけ報告したかったんだ。シャドウ達を助けたら、もう一度かけるよ』

『分かった。頼むぞ・・・。エメラルド、取られないようにしろよ』

『ああ・・・』

それを最後にウォイスの声は消えた。

「・・・ガナール、俺は分かったよ。お前が言いたかった事がー・・・」

そう言って、俺は眠りについた。

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??? シャドウ

今眠りについてないのは僕とソシアだけだった。

おそらく残りの人は夢の中だ。

「・・・そう言えば、気を失う前、ウォイスさんとシルバーさんを見ました。」

「・・・本当か?」

「ライザさんに襲われて気を失うフリをしていたんです。連れ去ろうとした時、シルバーさんが現れてライザさんを気絶させたんです。」

「だが、そんな事をしたらー・・・」

「大丈夫です。その後ウォイスさんが来て2人で記憶を消しました。その後、私が用意した物を取りに行ったんですが、その際シルバーさんが伝言を」

「・・・内容は?」

「・・・『魔術で結界魔術を作った。相手の魔力を奪う魔術を。シャオンとウォイスが助けに行くだろうから待っていてくれ。』って言った後、ウォイスさんと共に行きました。行く間にライザさんが目覚めて気絶させ移動されました」

「そうか・・・」

補助魔術を使ったのか。相手をさらに不利の状況にしようという訳だ。

僕はスパークを見た。

「・・・結構成長したな、スパークも」

「・・・?知り合いですか?」

「ああ。スペードから赤ちゃんが生まれたとの事で1回、そして引き取られた後の修道院に月に1回のペースで来てたな。」

「そうなんですか・・・」

「だが、修道院の方はシルバーのお願いからだ。まさかそこから仲が良くなるとは思わなかったが。」

「では、きっかけを作ったのはシルバーから何ですね?」

「ああ。当時彼も大変だったらしいしな。」

その後世間話に花を咲かせた。どうこう話をしていたら、もうすぐ朝が来るところだった。

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??? ???

守護者狩りで狩られた者は大勢いた。だが、シャオンとシルバーとウォイスだけ捕まって無かった。守護者だと気がついてない。シルバーならまだ分かるが、ウォイスは指導者と勘違いをしていた。探してた方が目立っていたみたいだ。その勘違いは色々な意味で有利だ。

選ばれし者も捕まってた。シャオンだけ逃げれたのはいい方であるのだが。

かつて俺が差し出したエメラルドの守護者。シャドウとシルバーとウォイスは100年間守護者として過ごしてきた。残り5人は引き継ぎ形式でこの件が終わればー・・・。結界の所有者もあと1人。3人でどう行動するかで変わってしまう・・・。

真実を知った針鼠と過去を取り戻した針鼠と魔導師の針鼠ー・・・。

「シルバー、シャオン、ウォイス・・・頼むぜ。」

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『永久の月光花』・『紅月の月光花』へ続く・・・

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あとがき

思っていた事全て書こうとしたら1万程行ってしまい、迷い込んだ末、3つに分けました。そして後半色んな情報である事が分かったので、それを書きました。いや薄々ではあるが気がついてはいたって感じです。んである物を見て断定出来たので書きました。私は4つの事件が関連していると書いてますが、物語に直接関係するのは2つです。残り2つは彼らの能力・過去が分かる事件です。3つは黒羽様と私の作品を見れば理解は出来ると思いますが、残り1つは不明です。ここだけの話ですが、不明の1つと3つの内の1つの計2つは私のオリソニの裏設定です。その裏設定は幻想の赤月に多少出てます。さっきも書かれた通り、関連はしません。

正直「ん?」って思った部分があった筈です。おそらく大きく上げるなら3つくらい。それを新しい方で書こうと思います(不明点の方を優先に)。では。

 

守護者狩り編で出てきたキャラは、黒羽様の物語で現在存在が明らかになっているキャラを書かせていただきました。

・紅月&ライザ&スパーク&サファリ&スペード 黒羽様

・リレイド&シャオン 赤虎様

 ・フィート JUN様 

勝手にお借りして申し訳ございませんでした。

 

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。