夢想の針鼠の夢跡

物語に隠されたもう1つの物語 『過ち』を知る物語

幻想の赤月 第?幕 +1章  光の行方

英雄歴0年ー夏、0日目(夜)

 

??? ???

満月の時が来る2日前の夜。

1人の少年と1人の魔導師がとある場所で話をしていた。

「・・・そう」

少年はそう言って、スタンドグラスを見る。蒼い光が彼の身体を覆っていた。一方魔導師は少年を見ていた。

「・・・・・・疲れているのか?」

「そりゃ、2時間程話をしていたら疲れるよ」

魔導師は微笑んで、少年の前に立つ。

少年は口を動かした。

「ー分かった。少しは手加減しろよ・・・?」

魔導師はこの瞬間(とき)を待っていた。

「ありがとう・・・では、行こうとするか・・・」

そう言うと魔導師は術を唱え始める。

少年は術に気がついた。術のスピードと強さが違う。まさかー。

「・・・待って!!そんなに強くしたら・・・!!」

そんな声は魔導師には届く事が無かった。魔導師は唱え終わると、少年の前に手を翳した(かざした)。それに比例する様に少年は目を閉じて、フラフラと立つのが困難になり、最終的に少年は倒れた。

「ー『肉体』だけ頂くよ。君はゆっくり休んでいてくれ・・・」

そう言うと、魔導師は少年を背負った。

 

ーその近くにある魂を拾って。

 

『・・・お待たせ。連れてきた』

そう言うと、魔導師は少年を『とある台』に置かせた。

『お疲れ様』

『ーこれで始められるな・・・。やろうじゃないか。騒ぎになる前に』

『そうだな・・・。さてと、まず肉体を調べるか。器が悪ければ意味が無い』

『そう・・・じゃあ俺は様子でも見てようかな。監視って感じでね』

『よろしく頼むぞ』

『ああ』

そう言って、魔導師は霧となって消えた。

 

第?幕 『銀色に輝く朱い瞳』

***********

1日目(昼)

 

最初にいないと気がついたのはブレイズである。

彼女は前日、シルバーと会った。そしてその際に、通信機を受け取った。

『何かあったら連絡して貰いたい』

彼女曰く彼の身に何か起こると予言したからだそうだ。

シルバーはありがたく受け取った。ブレイズに助けを求められるのは少々恥ずかしいが、それでも助けに来てくれるだけでも十分であった。

しかし。

夜中、シルバーは街を歩いていた。そして家に帰ろうとした時だった。彼は何者かに襲われた。

通信機も全然駄目になっていた。何者かを知る前に遮断されていた。相当のやり手なのだろう。

そしてそのノイズを最後に、シルバーは姿を消してしまったのだ。

彼女はとても急いでいた。友達である彼を探さない友達がいるものか。そう思っていた矢先に見覚えのある3人が声を掛けてきた。

 

ブレイズ 異世界

 

(急がなければ・・・シルバーが)

そう心の底で呟き、この世界と異世界の穴場スポットに向かっていた。時間が無い。こうしている間にもシルバーの生存確率は減っていくのだ・・・。

「ブレイズ皇女!!」

走っている最中、私は友人である白いハリネズミに声を掛けられた。

「ーシグバール、フロスト、DJ!!」

「・・・忙しそうですね。どうかしたんですか?」

シグバールが私の様子を見てそう尋ねてきた。

「実はな・・・」

私はこの事について説明をした。シルバーが昨夜から行方不明になった事、誰かによるものだという事を・・・

 

「シルバーが行方不明!?」

動揺を隠せないシグバール。フロストは少々驚きながら、質問してくる。

「それで、シルバーが行方不明なった所って・・・?」

「・・・ソニック達がいる世界、『異世界』だ。それしか考えられない」

私がそう言うと、3人は落ち着いた顔をした。どうやら私の手助けをしてくれる様だ。

「ーフロスト、DJ」

「・・・そうだな」「ああ」

「行こう!!シルバーがいなくなった『異世界』へ!!」

シグバールがそう言うと、2人は頷いた。

「ありがとう、助かる・・・では、ついて来い!!」

『ハイ!!』

そう言うと、私達4人は穴場スポットに向かった。

***********

ソニック ステーションスクエア

 

「おーい、シルバー?遊ぼーぜ」

さっきから家のチャイムを鳴らしているが、一向に出てくる気がしない。

「シルバー?おい~。聞こえるかー??」

これで5回目だ。流石の俺でもイライラしていた。

「・・・おい、何をしているのだ。ソニック」

聞き覚えのある声がすぐ後ろに響いたので驚いた。驚いた後、俺は後ろを向いて笑った。

「あ~、シャドウ。それがな、シルバーと遊びに行く約束になってたんだが、いつまで経っても来ないからさ。んで体調でも崩したのかなって思って家に言ってチャイム鳴らしているのに出てなくてだな。5回やっても出てこないんだよ」

「・・・シルバーは・・・いないぞ」

「どうしてそれを断言出来るんだ、シャドウ?」

「ー知らないのか?シルバーは昨夜辺から行方が取れて無いんだぞ?」

「え・・・」

「それどころか、行方が分からなくなった時以降、何処にいるかすら分からない。ー絶対にいる訳が無い」

「それって何処の情報だ!?」

「GUNに決まっているだろう。つい最近の話だ」

「ーそれって本当かよ・・・」

「ああ。本当だ」

「・・・・・それってマズくないか?」

「そうだな、今集めている所だ」

「おーい!!ソニック~!!大変だよ~!!」

「おう、テイルス。・・・シルバーが行方不明になったっていうのは本当の事なのか!?」

「うん・・・どうしよ。今度未来道具持ってくる予定だったのに~。これじゃ出来ないよう~!!」

「流石に未来道具持ってくるのはOUTの様な気もするが・・・・・。だが、その事件は相当やばくないか・・・?」

「ああ、下手すれば被害がこちらにも及ぶだろうな」

「ーそれは助けないとな!!シャドウ、異世界とかに行くぞ!!」

「・・・異世界の方では無い。ブレイズがそう言っていたぞ」

「ブレイズも来ているのか!!・・・これは大事になりそうだな・・・とりあえず、探すぞ!!テイルス、良いよな?」

「うん!!シルバー見つけないと!!探さない友達なんていないよ!!」

「決まりだな。ーシャドウ、何処にいるか、彼が行きそうな所に行こうぜ」

「そうだな・・・・シルバー、無事だといいが」

シャドウはそう言うと、空を見上げた。

「で・・・でもこの世界の何処かって広すぎない?」

とても心配そうに言うテイルス。

「ー何、それくらいGUNの仕事では容易い事だ」

仕事気分でそう言うシャドウ。

「とりあえず、探そーぜ!!な!!」

そして遊び感覚で言う俺。

同じ事件でもこの気分の差は一体・・・と思うと、笑えてきた。いけないいけない。冗談抜きでやばいから、絶対見つけないと。

俺はとりあえず、この街を探してみる事にした。

***********

??? ???

 

「さて、どうしようかな」

魔術で映し出された『英雄組』と『異世界組』を俺は見ていた。

『ーそうなるとは思っていたけど・・・大丈夫なのか?』

そう言うと、シルバーは俺の元に寄ってきた。

シルバーは、今肉体の無い状態である。そう言うシルバーの姿は実際の所は『魂』である。俺は魂の声を聞く魔術で、彼の声を聞いている。

「大丈夫だろう。・・・それに、この方が面白いし」

『面白い発言はよしてくれ。彼らからすれば本気で困っているのだぞ?肉体が無いからこうして寄ってはいるけどさ・・・』

「おお、いい子だな。ー分かっていると思うから言わないでおこう」

『・・・お前といえど、やりすぎだ・・・せめて「しばらく旅行に行ってくる」とか言えば』

「少々手遅れだったけれどな」

『半分アンタのせいだがな』

そう言うと、シルバーは怒っている様に魂が赤くなった。

「ーまぁまぁ、これは面白いから良いじゃないか。しばらく見ていよう・・・と」

『これから何が起きようとしているんだ・・・?』

***********

ソニック ステーションスクエア

 

「畜生~・・・見つからないな」

かれこれ探し初めてざっと1時間は経っただろうか。俺達はステーションスクエアをあちらこちらと探していた。

「おーい、ソニック~、テイルス~」

聞き覚えのある声を聞いた。俺は振り向いてみる。そこには2人の少年少女がいた。

「カリン!!アックス!!」

「どうかしたの?探し物?」

俺達の事を見た限りではそうなるだろうと思った。テイルスはあの事を言った。

「違うよ!!シルバーが行方不明になっちゃったんだ!!」

「え!?・・・ええ~!?シルバーが?!」

「うん、今ソニックとシャドウとで探しているんだけど・・・」

「だったら、私も手伝うよ!!」

「俺も。皆で探した方が手間が省ける」

「ありがとう!!」

そう言って、カリンとアックスもシルバーを探し始めた。事が大きくなっていくのが目の当たりにした。シルバー、本当に何処に行ったのだろうか?

***********

ブレイズ ???

 

「っと」

出た先には晴天で熱帯と化した公園だった。どうやらステーションスクエア近くに来れたらしい。

「ー着いたぞ・・・って・・・・フロスト!!シグバール!!DJ!!何処だ!!」

大変な事になった様だ。

 

・・・どうやら移動した所が皆バラバラになってしまった様だ。

「・・・仕方がない。申し訳無いが私だけでも調べさせて貰うぞ」

そう私が呟いた後、私はステーションスクエアに向かった。

***********

シグバール とある森

 

「うわぁああ!!」

急に空間の歪みが解けて、俺達はそのままズドーンと落っこちた。尻餅した気分で地味に痛い。

「痛テテ・・・DJ、大丈夫か!?」

「ああ・・・痛」

起き上がった所は森の様だ。空を見ると、雲1つない夜空。星が幾つもあり、真上に十三夜~十四夜辺の月が浮かんでいる。

「・・・本当にソニック達の世界に来たんだな」

「そうだな・・・」

時間を超えたのか、此処と向こうの時間の流れが違うのかは分からないが、どうやら向こうよりも早く(遅く?)来た様だ。

「ところで、ブレイズとフロストはどうした?」

DJがそう言うので、周りを見てみた。

「・・・あれ、いない・・・え??」

『もしかして俺達・・・』

 

『はぐれてしまったのかー!?』

 

そう叫ぶと俺達は少々落ち込んでしまった。

その矢先。

カサカサッ・・・。

「!!誰だ!!」

草が揺れる音がしたので、その方向に向けた。そこには黒い服でまとった子がいた。暗い影響もあるのだが、帽子を深くかぶっており、顔が見えなかった。

「・・・・・・。」

ブツブツと物事を言うその子は正直不気味だった。嫌な予感がした俺は逃げようとした。

が。

その子は瞬間移動した感じで目の前にフッと姿を現した。駄目だ、避けらないー。

「迷子なんでしょ?」

「ーそ・・・それが何?」

「なら・・・4人全員が捕まえば迷子じゃなくなるでしょ?」

「・・・シグバール!!」

「捕まえば・・・!!」

「!!うわああぁああ!!」

「グッ・・・苦し・・・」

息の根を止められ、俺達は呼吸困難になり、そのまま気絶してしまった。

***********

シルバー ???

 

「フフ、捕まえたか。ー過去まで来てもらって正解だったな」

『・・・か・・・過去?』

シルバーが何を言っているんだと言いたげにそう言う。

「ー奴らは、もうすぐ此処に来ると思うが・・・・だが、暇だな」

『暇・・・・?』

「もう少しだけ遊びたい。ーそうだ・・・アレなら死者は出ないな」

『何をーするんだ?』

「良いじゃないか。それくらい。そうとなれば」

『ー!!』

彼はそう言うと、術を唱え始めた。十分に長かったが、これが何の意味かが一瞬で分かった。彼は『異変』を発生させる気だ。抵抗したいが、肉体無しではどうする事も出来ず、ただ見守るくらいしか出来なかった。

『や・・・止めてよ』

ようやく口に出来たのがこの言葉だった。しかし彼は涼しい顔で「大丈夫だ。・・・それに彼らの底力とやらを拝見したいしな」と言って、その言葉はかき消された。

『・・・助けてよ・・・ソニック・・・シャドウ・・・・・・』

俺はそう言って、彼の頬に触れた。

暖かく、そして奥が凍りそうなくらい冷たかった。

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続く。

next +2章 Voices in the dark

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あとがき

音速ねずみ様、セイリア様、オリソニ借りました。この幕では沢山使うので、よろしくお願いします!

これは合作漫画を小説化した物です。あの件についても知っているので。書きたかったんです、この物語をww 一部オリジナルという形でリメイクさせて頂くのでお願いします。

 

さて、?幕にした理由が気になりますよねw 理由はですね、これより前の物語が何作かあるからなんです。実質これは1幕では無いってことですww 一応この時点でソニック達はウォイスと顔見知りなので。顔見知り前の事件が幾つかあったりするのですが、それは別のお話で。

一応注意しときますが、『+*章と書かれたモノはソニックが死ぬ事件よりも前のお話』です。お間違いの無い様、気をつけてください!!

様々な事件が沢山続き、遂には心髄にまで及んで行って、己の中でそれを重く、鋭く貫くのだ。 嘘だらけの世界で信じる事が出来るのは、己自身ただ一人。痛い思いとかしても良いんだ、嘘をつくのはもうこれで最後にしよう。だからお願い。早ク逃ゲテ。